CHANT(チャント) FC東京

G大阪vsFC東京 「武藤の2ランホームラン」

2015/03/09 15:35配信

武蔵

カテゴリ:マッチレポート

待ちに待ったJリーグが開幕しました。

Jリーグといえばまずは新規スポンサー。

一説によると50億円とも言われる超大型契約を結びJリーグ・タイトルパートナーになってくださった明治安田生命様に感謝を。

本当にありがとうございます。

3月7日の土曜日にはJ1の開幕節・9試合が行われました。

その中でも特にメディアに取り上げられていたのはなんといってもG大阪とFC東京の一戦でしょう。

「プラチナ対決」

と言われた

G大阪・宇佐美貴史とFC東京・武藤嘉紀の92年生まれのエース対決、これは比較的大きく取り上げられたと思います。

また、NHK総合での全国放送ということもあり注目度も否応なくして高かったものと思われます。

なぜそのような話を改めてしたのかと言いますとそれだけの露出に見合った内容であったかというと、非常に不安だからです。

特に試合の大部分の内容と、前半の誤審です。

これはJリーグ開幕戦、地上波全国放送に相応しかったかと言われれば大いに疑問が残ります。

では、なぜそのような内容になってしまったのでしょうか。

G大阪の「塩試合」仕様とFC東京の手詰まり

G大阪のシーズンはこの日から1週間半前の2月24日から始まっています。

その日はACLのGL初戦の日です。

G大阪の公式戦はその広州富力戦から始まっているのです。

そこから、富士ゼロックススーパーカップ・浦和戦と

ACLのGL第2節・アウェイの城南FC戦とこなしており

2週間で4試合目という、いわゆる過密スケジュールとなっていました。

これを前提とすると前から追いーの、ハメーの、という試合をするのは苦しいでしょう。

また、過密スケジュールにおいて重要となるのがターンオーバーです。

ボランチには日本代表の遠藤と今野がいますが、今野がケガでアウト。

遠藤の相方は目下のところ、新加入の小椋とベテランの明神ということになります。

前に出ていってボールを刈り取るプレーが持ち味の小椋ではなく

最近はベテランらしい、巧みなスペース管理を見せる明神の起用ということで

ドッカリと腰を据えた体勢で試合に臨むんだぞ、という姿勢が見てとれます。

これがG大阪の下準備、「塩加減」でした。

対するFC東京

昨年からの課題であった遅攻の部分の改善はPSMの福岡戦で見てとれました。

それは、2つあって、1つは崩しの仕組みに依るものです。

4312の前線の動き出しにより、相手のCBやボランチを動かし

そのスペースを他の選手が使うというものです。

空いたスペースが真ん中であればインサイドハーフが

サイドであればSBが走り込むという形を、福岡戦では頻発していました。

そしてそれは、スペースを出来るだけ空けないで待ち構えるG大阪の

この日の守り方にガッチリとハマってしまうことになります。

つまり、FC東京の遅攻時のアイデアとG大阪の守り方が噛み合ったことが

退屈な試合内容となった原因です。

もちろん、長谷川健太監督の守備のやり方

または明神の起用を代表とする選手起用

これらを考えると、この展開はG大阪の術中であったと言えます。

FC東京の改善点

そのもう1つは梶山とカニーニを起用することによるポゼッションの安定と

縦パスや総じてビルドアップの精度を高めることに依るものです。

カニーニはともかく、昨年のレギュラーである高橋秀人に代わっての

梶山の起用というのは、それでなくてもより攻撃的に

ボールを保持した状態から相手のゴールを狙うように、という意図は

ギンギンに伝わってくるものがあります。

そしてその効果が攻撃面で発揮されないうちに

守備面での逆効果を発揮することになります。

「スペース管理」に失敗した梶山

今節の3大誤審と言っても良いだろうそれを発端にして先制を許したFC東京

2失点目は言い訳の出来ない形で喫してしまいます。
http://youtu.be/7nAVU8-QlJ8?t=2m34s

これは2失点目となったPKを与えた場面ですが

ペナ内で宇佐美を梶山が倒してしまいPKを与えてしまいます。

だから単純に梶山の責任、というワケでは決してなく

FC東京の守備戦術であるゾーンディフェンスの原則から外れたことで

PK献上という結果となったことが問題なのです。

ゾーンディフェンスにおいて重要なのはボールマーキングです。

ボールをいわゆる「クローズ」の状態にすることが求められます。

この場面、この試合においてパトリックを

スピードに乗せないことを優先して他の試合よりも

比較的、人に付いていたカニーニが

この場面でもパトリックに前を向かせないように出てきます。

この時もその目的は達成しています。

ただ、足下でパスを通されて、背後のスペースへとパスを送られています。

これでは背後のスペースをデッドに出来ていないということです。

つまり、その角度においてボールをクローズに出来ていません。

これはカニーニの責任です。

しかしそれ以上に問題なのはフリーランニングをしてくる大森への対応です。

この場面、フリーランニングをする大森に付いてしまった梶山は

DFラインの前のスペースを空けてしまいます。

3センターのアンカーとしての原則はいくつかありますが

その内の最初に来るべきものは

「アンカーはDFラインの前でフィルターになり、そのスペースを空けない」

というものです。

もちろんゾーンディフェンスの方法論と同じでケースバイケースですが

この場面での梶山の行動は、アンカーとしての責務を果たせていないということです。

この場面での正解は、大森のランニングによって移動する

パトリックから大森へのパスコースを切りつつ

自然にDFラインの前のスペースへ入って行くことでしょう。

そのスペースにいることで、少なくとも宇佐美へのパスは防ぐことが出来ます。

これは結果論では全くなく

そのスペースがアンカーのオリジナルポジションです。

そこに戻ってくることは、復元といったり、元に戻るというような表現が出来ます。

つまり梶山は、自然なポジショニングを怠った、ということが言えます。

全て、本当にすべてを帳消しにする「武藤の2ランホームラン」

・攻撃的戦術の不発
・誤審
・守備的戦術のミス
・ここでは触れていませんが、編成の不備

これらを全て帳消しにしたのが、FC東京のエース・武藤のマンパワーでした。

1点目のターンの速さ、ターンからでも正確なシュートを打てる技術

2点目の、説明のしようがないゴラッソ

この2つの個人技により、FC東京がドローに持ち込みました。

実際には二発ですが、一瞬でのことという感じを表現するため

それと、この日の両チーム通じての走行距離トップで

1点目のアシストをし、2点目の起点となるボール奪取をした前田を

ランナーに例えて「2ランホームラン」という表現を使いました。

そのFC東京は相変わらずの武藤頼み

・・・と言われても仕方のない内容でした。

攻撃に関して機能しなかったのは、この日のG大阪という相手が悪かったとも言えますが

次節も守備に、加えて待ち構える守備に定評のある横浜FMということで攻撃的に臨みたいところです。

もちろん再度、梶山の起用をするべきですし攻守において、今回の失敗を生かせるかが問われます。

また、ケガの太田と、さらには河野の状態が心配です。

この日の河野は何も出来ませんでした。

別メニュー調整の影響があったのでしょうか。

一方、追いつかれたG大阪

プラン通りだったとは思いますが、武藤の個人技2発で悔しいドローとなりました。

こうやってプラン通りにいっても、力技で勝ち点を失うというのは

なかなかJリーグではなかった事でしょう。

だからこそ逆に、ACLの予行演習となったと切り替えてほしいところです。

個人的なところで言えば、大森を挙げたいです。

彼のような選手が代表の、11人でなくとも23人の中に居たら素敵なことだと思います。

チームを最適な状態にする為に頭と体をフルに使えるこの選手は

パトリックがいなく、本田と香川のいる日本代表において

ひょっとすると、宇佐美より先に必要とされる選手かもしれません。

Good!!(0%) Bad!!(0%)

この記事も読んでみる