【footballほぼ日】 Jリーグ25周年…開幕のあの日覚えた特別な感覚。今、感じるJリーグ。
2018/05/15 11:37配信
カテゴリ:コラム
1993年の今日―。
この時間には国立競技場の近くで、あの時にしか感じることがなかった緊張感と高揚感を抱えて
Jリーグ開幕までの時間を とにかくなにをしていても楽しく待っていた。
Jリーグという、まったく新しい世界。
輝く色とりどりのユニフォームに、響くチアホーン。
サッカーというスポーツが一気に日本中に届けられる瞬間。
たくさんの人たちが、プラチナチケットを握りしめ国立競技場に集まった。
数万人もの人がスポーツの試合に集まるという会場に行くこと自体がはじめてで、
若き日の私の記憶に強烈に刻まれた一瞬、一瞬。
フェイスペイントをして、手にはミサンガを巻き、チアホーンを持って
それがサッカーのサポーターと呼ばれる観客となるという新しい感覚。新しい文化。
とにかくどれもがキラキラと輝いていて、すべてが特別だった あの日。
1993年5月15日。
後に聖地と
自然と言われるようになった国立競技場でのJリーグ開幕戦。
ヴェルディ川崎×横浜マリノス。
25年が経過し、ヴェルディが川崎をホームタウンとしていたことも
横浜マリノスにFが付いていない、そのFの意味を知らないという人も多くなったと感じるだけの時間が経った。
それらを含め歴史は、今のJリーグに欠かせない積み重ねた大切な歴史ながら、必ずしも知っていなくてはならないという歴史ではない。
もちろん忘れてはいけないこともたくさんあるが、Jリーグを観る上で必ず知識として必要ということではなく
歴史・過去も大切な積み重ねではあるが、未来を創っていくことが大切となる。
このスタート時は、開幕なのだから当たり前かもしれないが
とにかく明るい未来しか見えなかった。
Jリーグというプロリーグがスタートするという背景には、もちろんそれまでの日本サッカーの歴史があり
世界に少しでも近づこうという熱き想いや、サッカーというスポーツを日本でメジャースポーツにしたいという想いがあったからこそ
生まれたもので、その歴史も非常に大切なものであるが
新しく生まれたJリーグは、良い意味でそれを感じさせず、とにかく未来を感じさせ、希望に溢れていた。
当時はインターネットはなく、情報はテレビと新聞が主。
サッカー雑誌も今ほど多くはなかったが、Jリーグ開幕時には選手たち個々にクローズアップする雑誌や
ファッション誌などにも多く選手たちが掲載された。
インターネットほどの一日の情報量がない時代であっても、連日Jリーグに関する特集が放送されるなど
とにかく日本中がJリーグで染まっていた。
Jリーグのチームを舞台にしたテレビドラマや映画、CDの発売も多く
全国にカテゴリー1という名のグッズショップが登場。
現在ではオリジナル10と呼ばれる、Jリーグ開幕時の10チームのグッズが全国で購入できた。
JリーグチームのキャップやTシャツ、ジャージを小学生が着て歩き
ペンケースやシャープペン等を使う中高生。
スポーツや遠足にはJリーグチームのタオルを持ってくる子供も少なくなかった。
選手カードの付いたお菓子やアイスを収集するのが流行り、とにかく所属チームと選手の名前を憶えて
一人でも多くの選手を知っていることが自慢になった。
ブームと言われるほどに日本中をJリーグ旋風で巻き込み、現象といって良いほどに人々を動かした。
それがJリーグだった。
あれから、25年―。
Jリーグが生まれてから四半世紀が過ぎた。
自分が子供の頃から当たり前にプロ野球が存在したように、今の子供たちにとっては
Jリーグというプロスポーツがあることが当たり前となっていることであろう。
10チームだったJリーグクラブは現在J1からJ3まで54チームとなり、
多くの都道府県でJリーグを身近に感じられるようになった。
当たり前になったということは、浸透という意味では良い面もあるが
逆をいうと珍しくなくなったことで、露出が減り、一般的な関心はワールドカップや五輪のような
大きな大会での日本代表という視点でしか高まらなくなった。
その一方で、インターネットという新しい情報発信ツールができたことで
人々の関心を寄せる事柄や、視点に変化も出てきていて、クラブからの発信にも変化が起きている。
サッカー以外の部分での関心の高まりや、インターネット発信から世間に届く情報や関心。
ピッチから離れた活動の情報発信など、その可能性は無限となったと言えるであろう。
インターネット配信のDAZNがJリーグの放映権を獲得し、大きなお金が動くリーグとなったことも
これからのJリーグに大きな影響があり、インターネットとJリーグの関係性はもっともっと強くなっていくと思われる。
25年前のあの日から、Jリーグを観ているという方も
今日からJリーグに関心を持ってみようかなと思った方も
全員が時系列関係なく、楽しめる。興奮できる。
Jリーグは誰が観ても来ても楽しめる。そういう場であってほしいと心から、願う。
自分にとっては何度も通っている場所であっても、その日がはじめてという人もきっと存在する。
自分が初めてサッカースタジアムに立って興奮したその気持ちを大切に持って、思い出し
Jリーグにようこそ!と手を引くつもりで 自分もサッカースタジアムづくりの一員になりたい。
正直、楽しいことばかりじゃない。
のめり込めばのめり込むほどに、楽しくないことも悔しいことも苦しいことも経験する。
それが、Jリーグ。
でも、結果それらを全部ひっくるめて。
最高、といえる。
それも、またJリーグなのだ。