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ACL・4月攻勢の日本勢 二兎を追えるチームと追えないチーム

2016/04/15 23:36配信

武蔵

カテゴリ:コラム

Jリーグと並行して行われているのがヤマザキナビスコカップとACLです。

ヤマザキナビスコカップは、グループリーグ全6戦のうち

3戦が国際Aマッチウィークに行われ

もう3戦がリーグ戦の間のミッドウィークに行われます。

従って、サポーターを始めとしたクラブの関係者には

リーグ戦優先という暗黙の了解が出来上がっている場合が多く

また、そもそものコンディション面の事情から

フレッシュな選手を起用した方が、短期的にも長期的にも

結果に繋がりやすいと言える面もあります。

しかし、ACLは違います。

もちろんコンディション面も考慮しますが

基本的にはベストメンバーと言えるような

これで負けたらしょうがない、と言えるメンバーで臨みます。

そして、それがコンディション面や、相手チームへの対策の不備という点で

リーグ戦に悪影響をもたらすことがしばしばあります。

これが「ACLは罰ゲーム」と一部で囁かれることの大まかな図式と言えるでしょう。


今年もACLには、Jリーグ代表として4チームが出場しています。

リーグ戦を消化し、コンディションが整い始め

4月攻勢を掛けるJリーグ勢ですが

その反面、リーグ戦においては悪影響が出ているチームもあります。

ACLでの歓喜から一転・・広島とFC東京

広島はACLで連敗スタートとなってしまいましたが

タイのブリーラムに連勝して息を吹き返しました。

特に4月5日の第4節では、Jリーグ勢にとっては難所である

タイ(東南アジア)のアウェイをクリアし、調子を上げつつあることを示しました。


グループリーグ突破に関しては厳しい条件が続きますが

まずは4月20日、ホーム戦では敗れている山東とのアウェイ戦に全てを懸けます。


しかし、そのブリーラムでの成功から中4日で挑んだアウェイ鹿島戦では

完全に運動量で上回られてしまい、1‐4の敗戦を喫してしまいました。

先制された後、塩谷司を浮かせるシステムと

ピーター・ウタカの素晴らしいターンによって同点としましたが

その後は突き放されてしまいました。

自慢のビルドアップが、鹿島のエネルギーを費やした数的同数プレスにより沈黙し

その切り替えの部分で後れを取ってしまいました。

勝ち越しゴールを許したシーンは

どうしても空中戦に弱さが出てしまう柏好文のところで

見事に空中戦での1対1を作られてしまいました。

中で余っていたカバーリングに入るはずの選手の足が

軒並み止まっていたのは気になるところです。


昨季年間王者は、初のACLベスト16と

リーグ連覇の2冠を追い求めることとなります。

待っているのは、想像以上に厳しい道のりだと言えそうです。

FC東京もACL第4節では勝利を挙げました。

特にクラブ史上初となるアウェイ中国での勝利でグループリーグ首位となり

その突破を大きく手繰り寄せたと言えます。


しかし、そこから中3日の柏戦では敗戦を喫しました。

しかも、柏にとっての今季リーグ戦初勝利を献上することとなりました。


その試合内容も、ACLの影響を色濃く残すものであり

前半は3度の決定機を作ったものの得点には至らず

迎えた後半は見るからに足が止まり、全くの劣勢となり

最後はPK献上→失点と決壊してしまいました。


同点の後半途中から新加入のムリキを投入しますが

バッタリと足の止まった後続のフォローも無く

柏の3~4人のディフェンスに対するムリキ

という構図がしばしば見られるに留まりました。


これからも続く過密日程の中で求められるのは

それこそ江蘇戦のような効率の良い得点と言えるでしょう。

勝ったG大阪よりも充実を示す浦和

効率といえばG大阪でしょう。

第6節はアウェイの仙台戦でしたが

前半16分までで3得点を挙げ、試合を優位に進めることに成功します。


その後にPKで失点すると守りに入り

攻撃人数を掛けず、3枚の交代枠は全てバランスを考えた策に充て

仙台に23本ものシュートを浴びたものの、逃げ切りました。


この4日前に行われたホームでの上海上港戦での敗北により

ACLのグループリーグ突破は厳しいものとなりましたが

このリーグ戦での勝利により

リーグ戦にその悪影響が及ぶことは避けられつつあります。


宇佐美貴史とアデミウソンの併用によるバランスの問題など

解決すべき課題はありますが、リーグ戦に注力できるようになれば

たちまち、リーグ屈指の強豪としての力を発揮することでしょう。



G大阪とは違い、第6節の浦和は勝利を収めることが出来ませんでした。

しかし、内容面で一番の試合を見せたのは、G大阪ではなく浦和でしょう。

横浜との好調同士の上位対決となった一戦では

シュート数が15対5と、3倍のシュートを放ち

横浜のそのシュート5本のうち、枠内シュートは

後半立ち上がりのパスミスからの被カウンターでの1本と完全に抑え込みました。


多くのチャンスを作り、押し込みながらも得点に至らず

結果としては0‐0の引き分けとなってしまいましたが

連勝中の横浜をアウェイで圧倒した内容は、チームの充実を示すものと思われます。

ACLで「金星」を挙げた広州戦から5日後のこのビッグマッチにおいて

ダメージを感じさせずに、着実に勝ち点を積んだことはポジティブと言えます。


そのACLでは王者・広州恒大を破って2位に浮上し

次節のアウェイ・シドニーFC戦でのグループリーグ突破決定を目論みます。

そしてリーグ戦では、この引き分けによって順位を落としたものの3位に付け

今現在で、二兎を追うことを一番実践出来ているチームが

この浦和レッズであると言えるでしょう。


ともかく、この4チームにはJリーグ代表として

国の威信と来期以降のACL出場枠を懸けて

全ての試合を勝つつもりで戦い抜いてほしいと思います。

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