CHANT(チャント) 日本 U-23代表

ファンそれぞれのサッカー観と U-23アジア選手権

2016/02/10 20:13配信

武蔵

カテゴリ:コラム

AFC U-23アジア選手権が終了しました。

日本はグループリーグから決勝まで全ての試合で勝利し

最大の目標であったリオ五輪の切符を獲得すると同時に

優勝の栄冠に輝きました。

これで、リオ五輪へはアジア第1代表として

乗り込むこととなります。

日本チームの「内容」への賛否

サッカーは「結果」と「内容」に分けることができ

前者は、日本は最高のモノを手にしたと言えます。

では、後者はどうだったでしょうか。


具体的な数字でいうと

3枚のリオ五輪切符を懸けた

準決勝のイラク戦までの5試合で2失点でした。

グループリーグのサウジアラビア戦の

非常に不可解なPKによる失点も含んでいるということで

日本チームの失点の少なさは

最大の武器であったと言えましょう。

とりわけ重大なピンチとなる

被カウンター状態を作り出すことを避けるため

守備時や攻撃のビルドアップ時には

できるだけCBを中央から動かさないなどの守備的戦術が

「結果」のために奏功したということでしょう。


ただ、今大会中において

その守備的戦術や、それにより表れる試合内容に対して

見る側から異論が相次いだことは事実です。


代表的なものとしては

「遅攻の形が見えない」

「マイボールを簡単に相手に渡してしまう」

「試合の主導権を握る時間帯が少ない」

といったものが挙がります。

中には

「アジアの中でくらい、パスサッカーで相手を圧倒してほしい」

と書くブロガーもいました。

概ね、手倉森ジャパンに対する異論は

決して少数派とは言い切れない、今大会期間でした。

サッカー観を確認する良い機会ではなかったか

上記のような「内容」への不満を漏らす向きがありました。

当然ながら、何よりも「結果」に満足した方々もいることでしょう。

つまり今大会は、サッカーを見る側のサッカー観が

それぞれ割合はあるものの、突き詰めれば

2つの派閥に分けることが可能であることが

改めて証明された大会と言えます。

さらに、それぞれが自分のサッカー観を確認する

結果として勝てば良い「結果」派

試合の主導権を握ってほしい「内容」派

とりあえず、この2つに分けることができると思います。

どちらが正解ということは、恐らく無いでしょう。

そして、サッカーは理想を目指すべきであり

それはつまり「結果」と「内容」の両立です。

ただ今回は、その「内容」の中身について

もう少し詳しく考えてみたいと思います。

「結果」と「内容」1つの指標

サッカー観を表すのに有効となる1つの指標があります。

それは「どういう負け方なら許せるか」というものです。

例えば、昨季の明治安田生命J1リーグにおいて

34試合のうち、2桁の10試合を負けていないチームは5チームしかありません。

その半分の試合で勝てているチームも6チームに過ぎません。


つまり、サッカーは全勝することが難しいスポーツです。

それどころか、半分勝てているチームですら少数です。

これはサッカーの動かしがたい性質です。


一方で、スポーツであるからには興行です。

そのチームのサポーターから一見さんまで

いつもいつでも勝利の快感を得ることができる

とは限らないこのスポーツを、興行として長く成立させていくには

外れとみなされがちな負け試合を

外れとは思わせないような内容が必要となります。

つまり、その負け方が重要となってくるのです。

例えば

「ボール支配率では上回ったが決定機逸とカウンターに泣いた」

「相手より多く走り、気持ちを見せたが及ばなかった」

「数多くの得点が生まれた打ち合いの末に敗北」

「現状、出来るだけのことはやったが、力負けした」

といったようなことが

言い訳の立つ負け方と言えるでしょう。

「内容」派に限りませんが、特に「内容」派にとって

どのような負け方なら許せるかということは

特にサッカーというスポーツの興行を見るにあたって

とりわけ重要と言えるでしょう。

負けが許されない代表戦

ただ、今回は年代別とはいえ日本代表の公式戦であり

リオ五輪出場権を懸けた試合でした。

つまり、どのような負け方なら許せるか、と問われれば

そもそも負けが許されない、が正答だったと言えるのではないでしょうか。

この時点で、事が日本代表の試合である時点で

「内容」派は「結果」派へと多少なりともシフトするのが

フェアな見方というものだと、言うことは出来ないでしょうか。

日本代表ともなると、そのファン層にも変化を生じます。

国民的関心事である五輪出場を逃せば、大きな損失となるところでした。

経済効果は男子サッカーだけで300億円とも言われ

サッカー界のみならず、日本の経済を左右することと言えます。

つまり手倉森ジャパンは

年代別代表特有の制約ある時間の中においても

絶対に「結果」を残すことが求められたのです。

その中で「内容」派の言い分を達成することは

少々、難しかったように思えます。

少なくとも、負けが許されないこの状況において

守備的戦術を非難することは、公平とは言い難いのではないでしょうか。

また「内容」派には今大会の日本のサッカーを

「先に繋がらない」とする論調がありました。

つまり、能動的、攻撃的なサッカーを

パスによる崩しを見せてほしいとするものです。


しかし、それこそサッカー観の違いというものです。


では、ボールを握る=主導権を握るというサッカーで敗れた

ブラジルW杯を、皆は許せたでしょうか。


我々は昨年、ブラジルにおいて

代表チームは「結果」を残すことこそが重要だ、ということを学び

そのために何をするべきかを考えるようになったのではないでしょうか。

また、ボールを握るだけが試合の主導権を握る方法ではありません。

現に準決勝のイラク戦では

イラクのパスを守備網に引っ掛け

見事なカウンターから先制点を取っており

それによって優位に試合を進めることが可能となりました。

このチームの強みは、劣勢においても

11人、ともすれば23人全てが同じ方向を向ける点にありました。

強みを「結果」に結び付けられたチームを

非難することは妥当でしょうか。


また、先、つまり強化のことを言うならば

この世代はU-20W杯の出場を逃し続けたことから

ロンドン世代に続き、直近の世界大会を知らない世代です。

だからこそ、この手の大会での勝ち方や

世界大会を知ることが最善の強化策とも言えます。

そのために勝ちにこだわる試合をする必要があり

その結果、尊い達成を得たと言えます。

これは私見ですが、内容とは

「結果を得るための再現性あるシステムを示せたかどうか」

と考えます。

そういう意味で今大会の日本は

失点は少なかったものの、幾度となく被決定機を迎えたということで

私も、内容を示すことができたとは言いにくいと思います。


ただ「結果」は出ました。

その「結果」とは、この世代にとって

また日本サッカー界や日本全体にとって何よりも重要だったことは

今大会を語る上で忘れてはならないことだと考えます。

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