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【ツエーゲン金沢】 J1昇格へ向けて動かした大きな力。J1ライセンス申請へ 【J2】

2015/06/10 19:51配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:ニュース


現在J2戦国時代において、3位の位置につけており、2位ジュビロ磐田との勝ち点差1という好位置に付けている、ツエーゲン金沢。
J3から昇格してきたばかりの金沢は、現状のままではJ1ライセンスは満たさず、J1昇格という目標を置くことができなかったが、J1昇格に必要なJ1ライセンス取得申請書をJリーグへ提出することが分かった。

ツエーゲン金沢は当初、来年以降のJ1ライセンス申請を目指していたが、現在J2で好成績を刻み上位の位置で長い期間戦っていることから、前倒ししJ1ライセンスを申請することを決めたというのだ。
現在はクラブハウスも専用の練習場も持っていないツエーゲン金沢だが、安原スポーツ広場の多目的グラウンドを拠点グラウンドとし、クラブハウスを新設し、天然芝と人工芝の2面を持つ方針だ。

今季のライセンス交付の判定は9月末であり、時間がなく簡単な道のりではないものの、チームの戦いが大きなチカラを動かした。


●チームの次の一歩を動かしたリーグでの戦い

今季のJ2は強豪と資金力のあるクラブが多く、戦国時代と表現され、いつも以上に熾烈な戦いとなっているが、その中でも今季J2での大事件のひとつとして挙げられるのはツエーゲン金沢の戦いであろう。

J3から昇格したツエーゲン金沢だが、開幕戦となった大宮アルディージャとの試合でその存在感を早くも示した形となった。
前評判としては大宮に何点取られるかというほどの下評価だったにも関わらず、試合がはじまってみると決死ブロックを中心に記憶に残る試合を展開し、0-1の惜敗。
そこからジワジワとツエーゲン金沢らしさをJ2でも表現し、気づけばリーグ最少失点。(現在は大宮が最少失点)
2失点以上を喫したのは、横浜FCとジュビロ磐田のみとなっている。

安定した守備とカウンターから成る攻撃を軸に、現在J2で強敵として数えられることが普通となった。
ツエーゲン金沢に注目を置く関係者も多く、今後の戦いにも注目だ。

J3からの昇格を果たし、すぐに今のような位置になるとは嬉しい想定外だったであろう。
現場はもちろん挑戦者の立場で全力で戦うものだが、クラブとしては先回りしてさまざまなことを想定しなければならない。
数年はJ2で戦いながら力をつけ、その間にJ1ライセンス基準に満たすクラブへと進み、J1を目指すという方向性だったと思われる。

しかし、その方向を変えたのは、今のツエーゲン金沢の戦いと力であろう。
上位で戦い続けるその力はチームの未来を動かした。
J1昇格という次の一歩なく戦うのではなく、次のステップに急務ながら進もうという決断をさせたのは、チームの力あってこそだ。

ライセンス交付の判断は9月末。
申請を出してからJリーグが審理することとなるが、当然それには数々のいばらの道が待っていることであろう。


●知っておきたいライセンス制度

まず必要なのは地域との連携である。
現在でも、Jクラブとして金沢は金沢市と連携を取りながら運営を行っていることと思うが、現在金沢市が持つスポーツ施設を拠点として、グラウンドの整備やクラブハウスの建設などを行い、ツエーゲン金沢の施設として使うためには、金沢市の協力と容認がなくてはならない。
J1ライセンス申請をするとクラブ側がまとめた段階であり、金沢市にはこれから話を持っていくことになるという。

そして気になるのが観客数だ。
ツエーゲン金沢には熱きサポーターがたくさんいるが、観客数として見るとまだまだ少ない。
ホーム開幕戦に6000人を超える観客を集め、現在9試合のホーム試合を行い平均観客数が4000人ちょっとというのは寂しい数字だ。
今季ホーム試合で一番観客数を集めたのはコンサドーレ札幌戦の6657人。
これから先、セレッソ大阪やジュビロ磐田、ジェフ千葉などの有名選手が在籍するクラブとの対戦では数字が伸びそうだが、今のままでは観客数の動員が多いとはいえない。
もちろんJ1昇格という先があるという戦いになると、結果に伴い応援しに駆けつける人も増えていくであろう。
しかし、J3参入条件であっても平均3000人以上が必要となる今、J1に参入するからには観客数は伸ばしたいところだ。
試合によっては1200人代だった試合もあり、集客にむずかしさを感じていることであろう。

観客動員についてはJ1ライセンスのAランク項目で必要とされるのはスタジアム規模の1万5000人以上という施設規模の話しながら
観客動員=観客収入に繋がることになるため、動員人数の縛りはなくても収入という部分で大きく反映されるため、少しでも観客を集めることが求められる。

さらに、現在ツエーゲン金沢は今年度のスポンサー収入が目標よりも4000万円ほど少ないという。
収支の面に一番厳しい目が向けられるライセンス制度。
資金の面での先行きをどう予定するかによって、審理結果に大きく関わることになるであろう。

ここでJ1ライセンスに必要な事項を確認しておきたい。

ライセンス交付に関しては、クラブライセンス交付第一審機関(FIB)が審査することとなる。

クラブライセンスは3つの等級基準が存在する。
A等級基準…44項目。ライセンス交付のために無条件に必須の基準
B等級基準…3項目。達成しなかった場合に処分が課せられた上でライセンスが交付される基準。
C等級基準…9項目。必須ではないものの推奨される基準

5つの審査基準

1競技基準
2施設基準
3人事体制、組織運営基準
4法務基準
5財務基準

主なA等級基準

・競技基準

承認されたアカデミープログラムを持っていること
アカデミーチーム(U10.U12.U15.U18)を持っていること
選手の医療面でのケアができること
プロ選手との書面による契約があること

・施設基準

公認スタジアムがあること
スタジアム入場可能数 J1 1万5000人以上
医務室・救護室があること
国内法令に沿った安全性が確保されていること
承認された避難計画があること
常用できるピッチ、クラブハウス、メディカルルームなどトレーニング施設があること
アカデミーのトレーニング施設があること

・人事体制、組織運営基準

クラブ事務局があること
代表取締役、財務担当、運営担当、セキュリティ担当、メディア担当、マーケティング担当、石、理学療法士、
トップチーム監督、トップチームアシスタントコーチ、アカデミーディレクター、アカデミー監督、アカデミーこち、警備組織、警備員がいること。

等。

・法務基準

クラブ登記情報
他クラブの経営等えの関与の禁止

・財務基準

年次財務諸表(監査済み)
選手移籍活動によって生じる他フットボールクラブに対する危険経過未払い金の皆無
ライセンス交付の決定に先立つ表明書
予算及び、予算実績、財務状況の見通し
財務状況の見通しの修正義務

ツエーゲン金沢に関わりそうなライセンスA等級基準としては
やはり施設基準、そして財務基準ということになりそうだ。


J1昇格という先の見通しがまだ整っていない中、チャレンジャーというモチベーションで強く戦ってきたツエーゲン金沢。
J1昇格へ向けてという戦いができるようになると、チームとしてもさらなる目標ができる。

昨年はJ1昇格資格を持たないギラヴァンツ北九州がプレーオフ圏内の順位でシーズンを終えた。
その素晴らしい戦いは記憶に新しいが、
ツエーゲン金沢の一年目の挑戦の先に、金沢の大きな夢の一歩があると期待したい。


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