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【黄金世代】 いまだ輝く黄金の光。日本サッカーをけん引してきた35歳の戦士たち 【Jリーグ】

2014/12/11 14:54配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:コラム


2014シーズンが終わったJリーグだが、今年も首をかしげてしまうような発表がシーズン終了前から飛び交った。
近年のJリーグはベテランたちが軽視され、若い世代にクラブが席を譲るような形が取られている。

もう少しで35歳を迎える遠藤保仁が、MVPに初選出され檀上で言葉にした

サッカーは年齢ではない。

現在活躍するJリーグを引っ張っている存在は、こういった世代なのにも関わらず、Jリーグ全体でベテラン切りは絶えない。


●気になる黄金世代の去就

黄金世代。
現在はU-20世界選手権と言われているワールドユース大会において、世界で準優勝した年代を黄金世代と指すが、もう15年も前のことだ。
しかし、15年が経った今でも黄金世代を超える成績を残したことは各年代、そしてA代表であっても経験がない。
日本が最も世界と近づいた日。それがワールドユース準優勝の結果だった。

小野伸二や稲本潤一、高原直泰、中田浩二、小笠原満男、本山雅志、そして遠藤保仁ら79年組と呼ばれる世代は世界と対等に戦った。
黄金世代がA代表に入ることで迎えたコンフェデレーションズカップでは準優勝。そしてその後の日韓W杯では日本初めてのベスト16。
フランス大会でW杯初出場を果たした日本代表が、次の大会でまさか予選リーグを突破し決勝トーナメントに駒を進めるなんて誰が予想できたであろうか。

その後、世界ランク当時1位で圧倒的な強さを誇っていたブラジルに圧倒する試合を展開したり、ユーロ2004で優勝したギリシャ相手に勝利したりと、日本サッカーが世界と対等に戦える位置に黄金世代は深く関わっていた。
彼らが集大成の時期となった2006ドイツW杯ではまさかの惨敗という結果となり、チームがひとつになってなかったりと自滅のような結果となってしまったものの、彼らが日本サッカーを引っ張ってきたことには変わりはなかった。
海外サッカーに彼らが次々と旅立ったことで開いた門もたくさんあった。

そして現在。
35歳を迎えた彼らの中には、まだJリーグで活躍する選手も多くいる。

しかし。
出場機会もベンチ入りも減っていた中田浩二が、現役引退を発表。
来年度の提示があったのかはわからないが事実上の構想外となり、次の去就についてJリーグで唯一チームとして探してくれるチームであり、選手をファミリーという鹿島アントラーズからの「次」についての案を断り、サッカー人生をこれまで一本で過ごしてきた鹿島アントラーズで終えることを決断した。
鹿島アントラーズでは多くのタイトルを手にし、人気も高く、存在感も大きかった中田浩二。
鹿島アントラーズ以外には考えられないと、サッカー人生を締めくくった。

そして、川崎フロンターレ稲本潤一が構想外を宣告され、次のチームを探すこととなった。
川崎フロンターレでは今季スタメン出場した試合は3、途中出場は11試合と少ないが、それは負傷期間もあったもののチームの戦力として戦うことができないからではなく、監督の人選によるものだ。
もちろんサッカーである以上、監督が使いたい選手を使うのだが、それでも稲本が他の選手たちに劣っているとは考えづらい。
稲本の年俸を考えると稼働率なども考えてしまいがちだが、それでもチームが推定7000万円を用意する価値がこの選手にはあるということだったのだ。
ベテランだからというだけでその数字は出てこない。プレーの質や価値に関しての評価でもあるはずだ。
しかし、フロンターレでは稲本を風間サッカーの拠点としては考えなかった。
35歳という年齢だが、稲本以上のボランチが今日本に何人いるだろうかと考えてもその価値が貴重価値であり、3列目からの攻撃参加、タイミングを計ったボールの配球、そして特にスライディングでボールを奪取するというのはこうやってやるんだというほどにお手本になるプレー。
その数々はまだ日本有数であり、その能力を魅力と感じ手を挙げるチームは多いことだろう。

中田浩二と同じく鹿島アントラーズに所属している本山雅志の去就も気になるところだ。
近年、鹿島アントラーズでは世代交代が進み、スタメン、ベンチ含めての年齢をみるととても若いチームになった。
それでもどの選手が出場しても「鹿島」のサッカーをやってのけるのだから、鹿島アントラーズの凄さを感じるのだが、鹿島の中で途中から出場する選手で一番嫌な選手といえばというと、本山の名前が一番に挙がる。
途中出場が多くなっていたものの、後半から出場してくる背番号10が繰り広げる世界観で、一気に鹿島のサッカーにスイッチが入り、予測のつかないような攻撃を仕掛けてくる。それを相手にするのは本当にイヤだというくらいに本山という武器は鹿島にとって大きな大きな武器だった。
しかし、今季はリーグ12試合の途中出場。昨年に比べて激減した。
本山の表現するサッカーは天才という言葉を連想させるようなプレーであり、ドリブルは天下一品。
止めることは難しく、特別足が速いわけではない本山だが、たくさんの選手が置いて行かれるのは絶妙な間合いとポジションの取り方が存在するから。
サッカーセンスを感じさせるプレーというのはこういったプレーのことを言うというほどに、本山独自の世界観を持っている選手だ。
しかし。出場が激減し、来季の契約や来季の去就は気になるところだ。

●黄金世代がいまだ引っ張る強豪チーム

遠藤保仁も黄金世代の選手だが、遠藤は今が一番旬なのではないかというほどに今季のプレーをみていると遠藤の限界を感じさせないプレーが続いた。
遠藤はW杯前には調子を落とし、遠藤なくては戦えないとさえ言われていた、ザックJAPANにおいて直前で難しい位置へと後退した。
あきらかに落ちていた体力と、フィジカルの不安定さは遠藤の限界を告げるメディアもあったほどだった。

しかし、W杯から帰った遠藤は見違えるようにコンディションを上げた。
その要因はライバルの出現と、W杯での敗戦だったのではないだろうか。
日本代表不動のボランチと言われながらも、本大会では3戦スタメン出場はなかった。
日本代表の心臓と言われながらも3戦で控えに回ったこと、そして予選敗退が決まった最終戦では途中出場もできなかったこと。
これは遠藤にとって大きな傷となり、そして大きな重りとなったはずだ。

年齢が進み、日本代表一番のベテラン。そして海外へは出ずに日本にこだわり続けサッカーをしてきた遠藤。
この悔しさが遠藤にさらなる道を与えたのかもしれない。
中断後からはガンバ大阪に新たなスパイスが加入し、今野がボランチにコンバートされたこともあり、遠藤は自分らしさを存分に表現した。
奏でるかのようにプレーする姿は今までの遠藤のスタイルを超越し、その結果ガンバ大阪を優勝に導き、自身初のMVPを獲得した。
35歳のベテランだが、進化することができる。まだまだ成長できる。ということを示した遠藤の可能性の無限さ。
サッカーは年齢ではないと言い切ることができる姿は誰も二言はないであろう。

鹿島アントラーズは今若い世代が突起しているが、それでも鹿島の心臓となっているのは35歳小笠原満男である。
小笠原は鹿島サッカーを表現する上で、最重要選手であることは今も変わりなく、あの手この手で鹿島のサッカーを繰り出す。
黄金世代と呼ばれる世代の選手であり、ベテランと呼ばれる位置にいるが、今でも鹿島の選手たちの最大限を表現として出してあげることができる選手は監督ではなく小笠原のプレーであろう。
セットプレーでなにか起きる期待を抱けるキックを持ち、背中が語るキャプテンシーと選手のカラーを引き出す最高なパスを供給できるチームの心臓だ。
今シーズンベストゴールに選ばれたDF西大伍の素晴らしいワールド級のゴールも、小笠原の絶妙なパスが生んだ西を最大限演出したゴールだった。
35歳という年齢でありながらも王者と呼ばれる鹿島アントラーズの舵を握っている。


黄金世代にスポットを置いたものの、今年はもうひとつ上の年代である
日本サッカー界において偉大な選手たちが引退や契約満了を通告された。

ベガルタ仙台・柳沢敦の引退。
水戸ホーリーホック・鈴木隆行の契約満了。

日本代表、そして鹿島アントラーズの黄金期の中心にいた二人の引退や契約満了は本当に寂しく、心を痛める知らせだった。

その他、全体的にみてもベテランを構想外と切り捨てるチームが多く、若い選手主導の編成に切り替えるチームが増えてきた。
たしかに金額的なものもあるのかもしれないが、それでも今のベテラン選手たちからポジションを奪ったりベテランたちを自分たちの手で極地に追い込んだのなら納得はいく。
もうやれない選手なのだとしたら、それは必要がないという判断になっても仕方ないからだ。

しかし、チームの未来のためにクラブ側がわざわざベテランを排除し、若手に席を空けてどうぞと差し出すようなことがあるから、チームの若手たちはなにかを得る前に用意された席にどっかりと座ることになり、若手育成という部分でいまいち伸びないのではないだろうか。
サテライトリーグなき今、チームのベテランたちから経験からくる技を盗むべきであり、小学校から中学高校、もちろんユースでも良いが、そこまで年齢の離れた選手たちと一緒にプレーしたことがないからこそ、プロになりベテランと呼ばれる自分たちよりもサッカーを知る選手たちから、いろんなものを吸収するのではないのだろうか。
そしてプロの壁を感じ、成長するのではないのだろうか。

経験豊富な選手が在籍するということは、若い選手たちにとっての身近なお手本として最大のコーチになり
そしてクラブがここぞという場面で、メンタルが強く勝負に強い場面で使うことができるのではないだろうか。

山形のGK山岸の活躍をみて思う。彼は78年生まれの選手だが、やはり場数をこなし長年サッカー選手として立ってきたからこその、「今」だと。

横浜FマリノスのDF中澤佑二も2年連続のフル出場。
まだまだ若い選手には負けないという姿が見える。毎朝早朝に起き、練習場に一番に姿を見せ、オフなく身体を動かすのは変わっていない。

今の若き選手たちが将来、今の遠藤や今の小笠原…といったようにこのベテランたちようにやれているだろうか。
と、考えると難しいだろうなと感じる。
彼らは黄金世代と呼ばれるきっかけとなったアジアを 世代別ではじめて制したU-17からずっと日本サッカー界で名を轟かせ続けているのだ。
現在35歳前後の彼らのような選手は今後、生まれるのだろうか。


今後も日本のサッカーを大きく動かすのは、まだまだ彼らだ。
若い世代の選手が主役になるのならば。
まずは彼らの同年代だった頃を 自分たちの手で追い抜いてみせてほしい。

一人でも多くの選手たちが日本サッカーでまだプレーしてくれることを願う。
それは知名度でクラブの客寄せパンダとしての扱いではなく、彼らの持つ世界に一番近づいたその経験と質の高いプレーをチームの力として、そして受け継がせたい新たな選手たちに与える刺激とプラスになる存在へ。

彼らの輝きはまだ、輝きを失ってはいない。

そんな簡単に消えるほどの 光ではないのだ―。

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