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【地域リーグ】 日本一厳しい戦いと言われる地域決勝 昇格を手にするのは 【2014】

2014/10/08 15:07配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:まとめ


日本一厳しい戦いといわれている大会があることをご存じだろうか。

これはレベル的な話ではない。
日本一ハイレベルな戦いが行われているのは当然のことながらJ1の優勝争いだが、そうではなく、日本一厳しい戦いであり、突破が厳しい戦い。

それが地域決勝と呼ばれる大会だ。

全国地域サッカーリーグ決勝大会。
それがその大会の名称だ。

今年も刻々と地域決勝の時期が近づいてきている。

●地域決勝とは

http://youtu.be/0-A6JI4h_lw

日本のサッカー組織は
一番上にはJ1が存在し、その下にはJ2、そして今年から新設されたJ3、その下にJFLがあることくらいまでは周知されていることだろう。
さらにこの下に存在するのが全国を9地域に分けた地域リーグだ。

9地域に分けた各地域リーグを優勝したチームが集まり全国大会を行う。
さらには同じく地域リーグや社会人リーグのチームが集まり各地域でトーナメント式で戦い、全国で戦う全社と呼ばれる全国社会人サッカー選手権大会で、3位以内に入ったチームの計12チームが戦うこととなる。

9地域のリーグで優勝できなかったチームが、地域決勝に出るための切符を取る機会となる全社も大変な戦いではあるが、地域決勝は全社とはまた違った熾烈な戦いが待っている。

北海道・東北・関東・北信越・東海・関西・中国・四国・九州
この9つのリーグの優勝チームと全社の上位3チーム計12チームを4チームずつ3グループに分け、1次リーグを戦う。
そして1次リーグでグループトップになったチームと、各グループの2位を比較し一番成績の良かったチームの計4チームで決勝ラウンドをリーグ戦にて戦うこととなる。

この地域決勝を戦ったチームが今Jリーグでも活躍している。

記憶に新しいのは松本山雅。
地域決勝でその時まで地域リーグのチームながら1万人以上の観客を集め、ホーム・アルウィンでJFL昇格を決めた時は話題となり、地域リーグも最高潮の盛り上がりをみせていた。

私が観てきた中でも、J2では岡山、北九州、熊本、讃岐、長崎。J3に至ってはほぼすべてのチームがこの地域決勝を戦い抜いてきたチームとなっている。

日本一…時には世界一と呼ばれることもあるほどに厳しい戦いとされるこの地域決勝。
一時期の激戦時期よりもJFLやJにチームが昇格していったことにより、今の地域リーグは一時期よりも緩やかにみえるが、それでも各チーム上へあがることを目的としているチームは1戦1戦が死闘だったはずだ。

地域で優勝しただけでは上がれない。
地域で優勝し、なおかつ全国で勝たなくてはいけない。
そこで負けてしまうとまた1から次の年、地域リーグの0の状態から始めなくてはならないのだ。

プロではない故に、同じ戦力で戦えることは少なく、各クラブの資金的な問題やスポンサー的な問題はJリーグに比べると当然難しいものがある。
アマチュアクラブにお金を出すメリットはどうしても少ないからだ。
しかし、それでも絶対にスポンサーは必要となる。度重なる遠征費は選手たちが個人負担であることもあるが、全国大会となると選手たち個人では負担もできない。
さらにJFLに昇格すると加盟費が約1000万円もかかり、さらに遠征が全国行脚規模となるためスポンサーなくては運営していけないのだ。

厳しい環境の中で模索し、協力してくれるスポンサーを見つけてもその年に上がれなかった場合には次の年にはついてくれないなんてこともザラだ。
近くにJのクラブがある場合はサッカーを観たい人たちは当然プロクラブに流れていき、スポンサーもお金を出すメリットとしてプロクラブに出した方が確実にメリットが高い。
そんな状況でも、必至に営業活動をしスポンサーを確保しつつ、地域に浸透する活動を取り入れながら、選手たちは仕事もこなし練習もこなす。

上を目指して―。

それが集まる大会が、地域決勝なのだ。

●今年の出場チーム


・北海道リーグ代表 十勝フェアスカイFC

北海道といえは常連のノルブリッツ北海道だが、今年はそのノルブリッツ北海道を押さえてリーグを制したのが十勝フェアスカイFCだ。
北海道にはJFLチームはなく、長年JFLを目標にしているがなかなか実現していない。
ノルブリッツ北海道が地域決勝で勝ち残り栃木ウーヴァと最終的に1席を争う形となったもののあと一歩のところで実現ならなかった。
地域決勝で北海道勢として唯一決勝ラウンドに進んだノルブリッツ北海道を押さえ制した十勝フェアスカイFCは、Jリーグ経験者の選手を有し帯広・十勝を中心とした地域密着でJFLを目指す。

・東北リーグ FCガンジュ岩手

東北リーグはかつて現J3のグルージャ盛岡や福島ユナイテッドといった強豪ひしめくリーグだった。
現在はそれらのチームが昇格を果たしたことで東北リーグから注目は遠ざかっているもののそれでもコバルトーレ女川やラインメール青森FCなど実力あるチームが属するリーグだ。
FCガンシュ岩手はもともと、グルージャ盛岡から分離し、独立したチームであり、なんと今季は18試合で129得点という圧倒的な結果で東北リーグ代表を決めた。
その爆発的な得点力が全国で魅せることができるか注目だ。

・関東リーグ 浦安SC

強豪揃いの関東リーグを制したのは今年は浦安SCだった。
天皇杯でJ3グルージャ盛岡を倒したことは記憶に新しいだろう。
関東リーグは近年、5チームも地域決勝で勝っており昇格を果たしているだけにリーグ全体のレベルが高いといって良いだろう。
このチームのアドバイザーを務めているのは、なんとゲルト・エンゲルス氏。京都で天皇杯を制したことで覚えている人も多いのではないだろうか。その他、浦和レッズや横浜フリューゲルスで指揮を執った人物だ。
決勝ラウンドに駒を進めるのではないかという優勝候補の一角であることは間違いない。

・北信越リーグ代表 サウルコス福井

北信越リーグといえば松本山雅、JAPANサッカーカレッジ、長野パルセイロ、ツエーゲン金沢といった強豪が同じ時代に属していたことで激戦区といわれていた地域だ。
今はほとんどが昇格を手にしたことで北信越リーグの存在感はあの頃より薄れてしまった感はあるものの、サウルコス福井が北信越の意地を全国で魅せることができるだろうか。
過去に2度地域決勝に出場経験があるがどちらも1次リーグで敗退してしまっているが、目指すは当然決勝ラウンドだ。
ホームスタジアムはプロでも使うことのある素晴らしいサッカー専用スタジアムを有しており、施設としてはサッカーを観るには素晴らしい環境となっているだけに、昇格を手にして今Jの世界で北信越を盛り上げるチームの後を追いたいところだ。

・FC鈴鹿ランボーレ

三重県から初のJを目指すチームとして戦っているこのチームは東海リーグを制した。
かつてFC岐阜や藤枝MYFCなど激戦区と言われた東海であらたにJ入りを目指すチームとしてはじめて三重県から立ち上がったチームであり、東海リーグでは2位以下に勝ち点差10以上付けた圧倒的な強さを誇った。
2年ぶりとなる地域決勝で実力を示すことができるか、東海を代表し進むことができるか注目だ。

・関西リーグ 奈良クラブ

関西リーグは奈良クラブが制した。今地域リーグのチームの中で一番知名度のあるクラブだといって良いだろう。
なんといっても岡山一成の加入が大きかった。
岡山を所属選手として迎えたことのあるチームを応援したことがある人間ならわかるはずだ。彼がもたらす、引き出す、まだ見たことがない力を。
チームもサポーターをも奮い立たせ、熱くさせるその姿はたくさんの可能性を引き出してくれる。
その結果、奈良クラブは奈良からJリーグを目指し関西リーグを制した。
そして大きなジャイアントキリングも起こした。J1ベガルタ仙台に天皇杯にて勝利という結果を残したのだ。
サッカー界を揺るがしたこの結果を持って奈良クラブは2度目の地域決勝をどう戦うのであろうか。
決勝ラウンド行きが期待され、優勝候補のひとつだ。

・中国リーグ 松江シティFC

中国リーグは今実力という部分では劣っているとみられているものの、なにが起こるかわからないのが地域決勝である。
中国リーグに昇格し、5年で初優勝を手にしたチームははじめての地域決勝に臨む。
全国の実力にどこまで力を魅せることができるだろうか。

・四国リーグ 高知UトラスターFC

現在四国の3つの県にはJクラブが存在する。
徳島県には徳島ヴォルティスが、愛媛県には愛媛FCが、そして香川県にはカマタマーレ讃岐が存在する。
四国で唯一Jクラブを持たないのが高知県なのだ。
その高知県勢が四国リーグを制するのはなんと9年ぶり。
このチームは高知大学と提携し、高知大学の現役選手やOB選手などもプレーしているのだ。
四国は強くなることは難しいといわれながらも全国で結果を出すことも多くなった高知大学との提携によって強化してきたチームが地域決勝でどんな戦いを魅せてくれるだろうか。

・九州リーグ 未定…新日鉄住金大分サッカー部?

九州リーグも長年強豪たちがひしめくリーグだった。
Vファーレン長崎やロアッソ熊本、ギラヴァンツ北九州をはじめ、その後もHOYOやヴォルカ鹿児島、FC KAGOSHIMA(統合し鹿児島ユナイテッドFCへ)など激戦時代が今一息をついた形となっている九州リーグ。
その中で今首位を走っているのが新日鉄大分だ。
いつも九州上位にいながらもなかなか長年続いたJを目指すチームたちの次に甘んじてきたが、今回は地域決勝への切符を手にしそうだ。
ドイツで活躍する清武の兄も所属するチームであり、長年続いた九州代表のJを目指すチームではなく企業チームとしてどんな戦いをするのか楽しみだ。


・全社枠 FC大阪・クラブドラゴンズ・VONDS市原FC

FC大阪は奈良クラブと最後まで関西リーグで譲らない戦いをしたものの2位となってしまったが、前者で優勝し地域決勝への切符を得た。
この奈良クラブとのライバル関係により、お互いに良い刺激となっているのではないだろうか。
そして全社2位のクラブドラゴンズは流通経済大学傘下のクラブだ。流通経済大学サッカー部の強化の仕方として試合経験を積むということがひとつのやり方となっていたが、JFLに参入していたものの大学リーグとJFLでの二種登録が不可能と変わり、その結果クラブチーム化。
しかし、降格をしそのチームは流通経済大学FCとして関東1部に所属しているが、さらに下の選手たちの強化の場として社会人リーグ出場用に組まれたのがこのクラブ・ドラゴンズなのだ。
流通経済大FCは今回地域決勝には出場しないため、ここで結果を出すと立場が逆転するという結果に結びつくことも。
チームとしての戦いはもちろんだが、大学リーグで戦う1軍とされる選手や関東リーグで戦う2軍選手たちとの戦いも秘めて地域決勝で戦う。
そして関東リーグ所属のVONDS市原FCが全社3位で地域決勝に挑む挑戦権を得た。


この12チームがJFLへの切符をかけて11月から熱戦を繰り広げることになる。

未来のJクラブとなるクラブがこの中に存在する。

今年の日本一厳しい戦いはどのような結果を生むのか―。


まだリーグが終わっていないリーグもあるが、地域決勝に向けて戦いはもうすでに始まっている―。

 

そこに行けること

そこで戦えること

それはたくさんの人々に支えられたから

という感謝を持って

ありがとうを持って

各チーム、決戦へと挑む―。

 

http://youtu.be/xKgFOm2UGcE


 

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最近読み始めてレベルの高さにアーカイブを読み進めていましたが、今回のテーマが地域リーグとはちょっとビックリしました。まさか全部の地域に足を運んでいる?ような文章とサッカーへの愛情が感じられる言葉に唸るばかりです。

名無しさん  Good!!1 イエローカード0 2014/10/14|19:18 返信

大変遅くなってしまいましたが、コメントありがとうございます。
地域リーグのサッカーはかなり前から注目し、たくさんの試合を観て触れてきました。
とても熱くてこのステージだからこその良さがあって大変注目しています。
いつも読んでいただきありがとうございます。

Tomoko Iimori   Good!!0 イエローカード0 2014/11/07|12:35

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