今なお健在…小笠原満男が見せた“支配力”
2018/03/07 20:09配信
カテゴリ:コラム
決して簡単なゲームではなかった。J1第2節、鹿島アントラーズとG大阪との一戦。
ハイプレスから高い位置でボールを奪取し、次々と決定機を作り出した鹿島だったが、日本代表GK東口の牙城を崩すことができず、なかなか得点をあげることができない。
しかし、後半33分、途中交代でピッチに入った鈴木優磨のクロスに反応した金崎が値千金の決勝点を挙げ、見事、リーグ戦初白星を飾った。
こういった難しいゲームでもきっちり勝ち点3をもぎ取る姿を見ると、ついつい「鹿島らしいなぁ」と思ってしまう。
そして、この日、“鹿島らしさ”を体現したチームの中心には小笠原満男の姿があった。
勝敗を分けた中盤の“支配力”
小笠原がJリーグのピッチに立ったのは、実に昨年8月26日のセレッソ大阪戦以来。
レオ・シルバの存在や三竿健斗の台頭により、ベンチを温める日々が続いていたものの、
鹿島のバンディエラは久々のJリーグの舞台でも以前と変わらぬプレーを見せつけた。
この日の勝敗を分けたポイント、それは両チームの中盤における“支配力”の差だと思う。
小笠原と三竿がボランチを努めた鹿島アントラーズは、素早い攻守の切り替えからハイプレスを徹底。
中盤の底からG大阪の攻撃を操る矢島と市丸の自由を奪い、相手にゲームのペースを握らせなかった。
後半からはトップ下でプレーしていた遠藤を一列下げて、リズムを作ろうとしたG大阪だったが、鹿島は小笠原を中心とした組織的な守備で対応。中村敬斗の抜け出しを許したシーンはあったものの、その他はほとんど決定機を作らせず、試合を終始コントロールしてみせた。
試合後、金崎が小笠原の守備時の的確なコーチングについて言及したように、彼がチームに及ぼす影響というのは計り知れない。
今年で39歳を迎える小笠原だが、まだまだ健在であることを見せつける結果となった。
豊富な人材をどう使い分けていくか
サッカーに「もしも」はない。それは充分承知しているが、川崎Fに逆転を許した昨季終盤、もしもピッチに小笠原の姿があれば勝ち点を落とさずに済んだゲームは確実にあったと思う。
ボランチのファーストチョイスであるレオ・シルバは素晴らしい選手だが、ゲーム全体を支配する能力で言えば、小笠原には及ばないように感じる。
レオ・シルバ、三竿健斗、永木亮太、そして小笠原満男。中盤に優秀な人材を数多く揃える鹿島アントラーズ。昨季の雪辱を果たすためには、ゲームに応じて彼らを上手く使い分けていくことが鍵になってくるかもしれない。