リオ組、日本代表選出の意図
2016/06/01 21:46配信
カテゴリ:コラム
日本代表にとっての6月シリーズ
キリンカップに臨む25人の代表メンバーが発表されました。
今回のキリンカップは、初戦でブルガリアと
第2戦目でボスニア・ヘルツェゴビナかデンマークと当たる2連戦です。
欧州中堅国と2試合できるとともに
2戦目はどちらと当たるか直前まで分からないというトーナメント形式であり
選手はもちろん、監督やスタッフにとっても、対応力を養うことができる
極めて重要な国際Aマッチウィークとなります。
今回の選出メンバーの注目点は
リオ五輪の有力候補の中から3人招集したことでしょう。
既にキャップを持っている遠藤航や、代表合宿の招集経験を持つ浅野拓磨とともに
今回、初招集となる大島僚太が選出されたことは
この世代の能力の高さ、個性の強さを示すものといって良いでしょう。
浅野と大島は現在、トゥーロン国際大会のために
U-23日本代表に帯同中(浅野は1試合を残して帰国)ですが
この過密日程をなんとか乗り越えてほしいものです。
ハリルホジッチが大島僚太に期待すること
その中でも特に、大島の招は大きなトピックと言えそうです。
ハリルホジッチ監督は
「若手を2人呼ぶ」
と予告していたため、戦力というよりは若手のお試し枠である可能性もありますが
会見の席においては
「ずっと追い続けてきた」
とし、招集の機会を窺い続けていたことを明かしましたので
過密日程をものともせず、招集に踏み切ったということは
戦力として計算する算段が付いたという見方も出来るでしょう。
さて、大島の競争相手と言えば
同学年、同ポジションの柴崎岳を挙げたいところですが
「競争に入っている」とし、今回もバックアップメンバーとして名前の挙がった
柴崎を差し置いて、大島を初招集する運びとなりました。
大島と柴崎を分けたものはなんだったのでしょうか。
それはやはり、伸びしろや期待値と呼べるものだと思います。
柴崎はハリルホジッチ政権になって以来
代表では「デュエル」そのものにおいて、また「デュエル」に必要なコンパクトさと
背後のスペースに念頭を置いた守り方にも適応できなかったことが挙げられ
バランスが取れないうちに、攻撃面でも才能発揮出来ないことが続き
本メンバーから外されて久しいという状況です。
大島は攻撃面、特にオンザボールにおいて特徴を出せるといった
柴崎と似たような能力を発揮している選手ですが
ハリルホジッチ監督は会見で、そういった大島の特徴を挙げつつ
「守備も向上している」
とし、その伸びしろを下敷きに、期待を表しました。
今回、チームにとっても大島にとっても最善なのは
大島がこのチーム、このポジションのプレーモデルへの適応を示すことでしょう。
そうすれば、柴崎を始めとするこのポジションの競争相手にもプラスとなり
さらにこのチームの競争は激化することとなります。
次点としては、今回の試合前合宿や試合でプレーモデルを目の当たりにし
クラブに持ち帰って、大島が伸びることでしょう。
大島は、ここまでで示した才能と若さによって
ハリルホジッチ監督からそのような期待を受けていると言えます。
W杯と言う大目標へ向けて重要視される、伸びしろと適応力
「サッカー選手は何歳になっても成長できる」
これは1つの真理であり、サッカーという競技の面白さと言えます。
ただ、伸びしろの大きさに関しては
若い選手、キャリアの浅い選手の方に分があることは否定できません。
まして、A代表にはロシアW杯という近い将来の目標があります。
現在のA代表にとって大切なのは
そこを見据えた計画的な強化だと言えます。
これが、現在の代表メンバーに関して、年齢が1つの重要な要素となる理由です。
とはいえ、柴崎と同じように今野泰幸がバックアップメンバーに入りました。
彼は現在33歳ですが、ハリルホジッチ監督は
「年齢は関係なく、競争に入っている」
としました。
代表メンバー選出において、特に層の薄いポジションに関しては
年齢による足切りは存在していないと言えるでしょう。
そして今野は、球際に強さを発揮できる選手です。
このチームへの適応に関しては、心配していないということでしょう。
逆に、一部界隈では招集が期待されている大久保嘉人は
会見ではハリルホジッチ監督に
「フィットするかが疑問で、招集を躊躇した」
と明言しています。
そして、前回の代表招集の際には
「もう少し若ければ」
と、年齢に関する不安を挙げています。
つまり、伸びしろとチームへの適応力が不安視されているということです。
それらの重要な要素において不安を持たれ、それでいて
この年齢にして、彼を中心に代表チームを作るほどの実績を挙げたとは
少なくとも代表においては言い難い、というのが現状と言えます。
だから大久保は、招集されません。
この期間にEUROのような大陸別選手権が行われるのであれば
若さに裏付けされた伸びしろというものが、考慮されないことも考えられます。
しかし、ご存知の通り、そのような大会は開催されません。
今回招集された若い選手は、何を期待されているのかと言われたら
適応力と、ロシアW杯を念頭に置いた伸びしろです。
それを今回のキリンカップ、並びに合宿から
そして、次の9月シリーズまでに見せ続ける必要があります。
それが出来なければ、若手という名のカードの効力が切れ
次第に代表から遠ざかるようになるでしょう。
若手もまた「結果」を求められています。