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「Jリーグはスピードが遅すぎる」を検証する

2016/06/14 20:30配信

武蔵

カテゴリ:コラム

日本代表の6月シリーズが終わり、またJリーグが再開されました。

1stステージ優勝を狙うクラブにとっては大事な連戦となります。


そんな中、とても興味深い記事が出回りました。

それはJリーグの特性、ともすればJリーグのレベルに言及するような

そんな内容の記事でした。


その内容とは、G大阪の東口順昭が代表招集期間中に

「Jリーグのスピードが遅すぎる」と言われた、と言うのです。

それを言った当の本人は海外組の選手とのことで

欧州リーグとJリーグを比べた上での、助言とも言うべき発言だったのでしょう。


それを受けて東口は

「自分も海外でプレーできれば・・」

と、より高いレベルでのプレーへの意識を匂わせました。

「スピードが遅い」の中身

その記事中で東口は

「Jクラブは相手のミス待ちと言える守備をする」とし

「これはハリルホジッチ監督にも言っていることだ」としました。

その海外組選手だけでなく、現日本代表監督にも指摘されているということで

ある程度は客観的な意見と言えるでしょう。


また、同じ文中では

Jリーグでは守備時にボールを奪う事よりも

相手を遅らせることを優先させる傾向にあることが

その「ミス待ち」と絡めて指摘されています。

確かに、欧州のサッカーは高速化の傾向があります。

代表的なのはクロップ期のドルトムントであり

ボールを失った際に発動するゲーゲンプレッシングにより

ボールを奪った相手にボール保持と陣形を整える時間を与えることなく

また、見る者からも息吐くヒマを奪うような高速サッカーが

一大旋風を巻き起こして久しいと言う事ができるでしょう。


日本代表の海外組とはすなわち欧州組です。

従って、このような動きにより攻守の切り替えの速さ重視

また、更なる高速化、攻守一体化への道のりを歩む欧州サッカーシーンを

日頃から肌で感じている海外組が物足りなく感じ

Jリーガーに高い要求を出すことは当然なのかもしれません。


ただ、そういったトレンドへの反応が、Jリーグでもないワケではありません。

チョウ・キジェ監督に率いられた湘南が「ノータイム・フットボール」を掲げ

奪ってからフィニッシュまでの時間を短縮する仕組みを持つなど

高速化というキーワードに迫りました。

このチームは2015年に、クラブ史上最高順位の8位(J1)を記録するなど

結果を出したと言えます。


ただ、これもJリーグでトレンドとなったワケではありません。

Jリーグの中では異端という扱いを受けましたし

クラブ規模の関係もあってか、リーグ内での影響力は高くありませんでした。


実際のプレースピード、そしてそれへ向けた意識において

Jリーグが欧州トップリーグより劣っているというのは否めません。

あるブラジル人Jリーガーの言葉

ただ、Jリーグのプレースピードについて考える時

必ずと言って良いほど思い浮かぶフレーズがあります。

それは、あるブラジル人Jリーガーが言った

「日本はスピードが速い」というものです。

続けて曰く

「ブラジル全国選手権1部よりも試合の流れが速いこともある」

とのことでした。

どういうことでしょうか。

それでは、Jリーグのスピードは欧州リーグよりも遅いが

今や数多のセレソンを抱える全国選手権よりも速いのでしょうか。

日本が世界と伍して行くために

現在のプレースピードで問題ないのでしょうか。


ですが、今回に限っては、そんな楽観論の出る幕ではないのです。

同じブラジル人選手は

「日本はスピードが速いが、単調で緩急が無い」

と付け加えました。

確かにJリーグでは、ポゼッション時における

特にブラジル人の付ける緩急がアクセントとなるケースが多くあります。

カバーリングとボール奪取が特徴のレオ・シルバでさえ

ボールを持った際の落ち着きが

チームへ好影響を与えていると言えます。


日本人と緩急、と考えると

ザッケローニ期の日本代表で遠藤保仁を欠いた試合では

攻撃面で精彩を欠くことがしばしば見られたのも

興味深い現象と言えるでしょう。

そしてそれは、ビルドアップなどのプレー精度の問題だけでなく

プレー速度も関係する問題だったのかもしれません。


そして現在の日本代表においても

柏木陽介が遠藤と似た役割を担う事が多いですが

その柏木は、先のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で

W杯本大会で遠藤が先発を外れたのと同じ理由

すなわち守備面で苦しんだことにより、45分での交代を余儀なくされました。


そして遠藤が外れた際の日本代表と同じく、攻撃の構築に苦しみ

そしてバランスを欠き、相手に決勝点を献上してしまいました。


確かに日本は、緩急という要素で苦しむことがあります。

日本の問題点とこれから

これらを総合すると、現在の日本のプレースピードは

欧州トレンドと言えるトップスピードよりは遅く

また、一本調子の傾向があるため、ブラジルを始めとして南米に弱さを見せる

ということが言えるでしょう。

これらがJリーグのプレースピードの現状であり

これからの選手強化における問題点と言えます。


これから日本はどうすれば良いのでしょうか。

もちろん、プレースピードを上げることを怠ってはいけないでしょう。

日本でも活性化してきた、認知・判断・実行の速度を上げる努力

そして、チームとして連動する際のスピードを上げる取り組み。

ただ、スピードに関しては身体能力に依る部分もあるでしょう。

そうすると、ブラジルのような緩急も重要となってきます。

「縦に速い攻撃」を掲げるハリルホジッチ監督が柏木を起用するのも

その点を考慮してのことと思います。

その問題は、日本にとって重要な問題と言えるのかもしれません。


果たして日本は、その問題をクリアすることは出来るのでしょうか。

Good!!(100%) Bad!!(0%)

ウェブの記事などで「スピード」について具体的な話が出ていない点が気になっています。
これが、足の速さを意味するのか、パススピードのことを言っているのか、判断の早さのことをいっているのか、はたまた他の点について行っているのかによって、その後の話は大きく変わってきます。
それを具体化せずに、ただ単に「スピード」という言葉だけが先行しているように見えて仕方ありません。

名無しさん  Good!!4 イエローカード0 2016/06/17|17:12 返信

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