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【Jリーグ】 クラブライセンス制度 プロクラブ最低水準の施設条件 【2015】

2014/10/07 16:39配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:コラム

9月27日。
Jリーグは2015年度のJリーグクラブライセンス判定結果を発表した。

このJリーグクラブライセンス制度は2013年より導入されているが、ライセンス発行に難しさを感じているクラブも多い。
なぜ突然こんな制度を作ったのかと思う方も多いかもしれない。
この制度があることにより、J1に昇格ができなくなったクラブやJリーグを目指し戦っているチームたちが頭を抱えていることだろう。

しかし、基準はあったもののそれを近い未来に達成できれば良いと曖昧にしてきた結果、Jクラブが安易な状態で増えてしまった。
これは良くも悪くもまずはこの20年で日本全国に浸透させるためにクラブを増やし、その地域にサッカーを浸透させるために必要なことだったのかもしれない。

しかし、その結果。
環境が整っていない状態でプロクラブが存在する現状や、毎年赤字となり経営難となってしまうクラブが出てしまったり、選手たちの待遇に大きな差が生まれてしまったりとJリーグ内格差は大きくなっていくばかりだった。

そこでJリーグとしての価値をきちんと整わせること、プロという環境の向上、観に来る側の快適さや見やすさなども考慮した上で
応援する人たちをより満足させるため、そしてクラブの安定のため、リーグの価値の水準向上のため
JリーグクラブライセンスはFIFAや欧州の基準に揃えた形となった。

●プロだからこそ必要な施設

今回はそのクラブライセンスの中でも施設という部分に問題点を集中したいと思う。

クラブライセンス基準にはA B Cという等級に区分されており、A等級はライセンス交付には絶対不可欠であり、B等級はライセンス交付には必須となっておるが、それを理由にライセンスを失うまでにはならず制裁が科せられる。
そしてC等級は将来的に必須になる可能性のあるものと分けられている。

Jリーグクラブライセンスの中で施設に関する項目は以下の通りだ。

施設基準

・スタジアムの入場可能人員がリーグの規定(J1は15,000人、J2は10,000人)を上回っていること←A基準
・スタジアムの観客数1,000名あたり、洋式トイレ5台以上、男性用小便器8台以上を備えていること←B基準
・スタジアムに観客席の3分の1以上(B基準)または観客席すべて(C基準)を覆う屋根を備えること
・クラブが年間を通じて使用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面・屋内トレーニング施設・クラブハウス・メディカルルームがあること←A基準


注目したいのはまずはトイレに関する問題だ。

スタジアム基準においてトイレの設置に関する問題は実は大きい。
サッカーは45×2で行われるスポーツであるが故に、どうしてもハーフタイムにトイレに立つ人が集中している。
試合前・ハーフタイム・試合後。
この3つの時間にトイレを利用する人の数が多い。

収容人数に対してのトイレの数が指定されているが、収容人数が多ければ多いほど当然トイレの数も多くなくてはならない。
ハーフタイムに長蛇の列ができるスタジアムが多く、トイレの導線ができているスタジアムは良いが出入口がひとつしかないスタジアムも今の段階では存在する。

トイレの基準として洋式トイレという指定になっているのにはワケがある。
現在の日本において和式トイレは旧式という認識になっており、和式トイレでは用を足せない人も増えている。
特に子どもは和式トイレを避ける傾向にあり、学校でも洋式トイレへの移行が進んでいる。
和式トイレが家にないという家庭がほとんどのため、子どもにトイレへの行き方を覚えさせるにあたり、まず洋式スタートとなり、商業施設などでも現在和式のトイレは少なく経験させる場もないからだ。
和式トイレでトイレができないなんて という親の責任に転換する偏見者もいるが、そうではない。
子どもは今の現代に沿ってきているだけであり、和式トイレが使えないのは仕方ないといってよいだろう。

女性にとっても和式トイレでは…という点がある。
女性の多くが洋式トイレを好んでおり、その結果和式トイレ主流で洋式トイレが少ないスタジアムでは洋式トイレを求めて長蛇の列となっていることも多い。

ただし、洋式になったからといって快適かといわれると疑問は残る。
洋式トイレが多いことは和式主流のトイレよりは向上するが、外のスタジアムが多いためトイレが非常に寒く便座が冷たいことが多い。
そして外のスタジアムが多い現状、虫がたくさん死んでいたり飛んでいたりということが多いのも気になる点だ。

日本は世界から評価されるひとつとしてトイレのキレイさが挙げられることが多い。
空港評価などでよく目にするのはトイレが日本はキレイという評価だ。
しかし、スタジアムにおけるトイレの在り方は札幌ドームのように屋内だからこそのキレイなトイレや、埼玉スタジアム、豊田スタジアム、あたたかい便座があるNACK5スタジアム大宮などキレイとされているトイレを持つスタジアムも多い。
一気に工事をするには大変だが、個数からはじまったライセンスながらスタジアム評価の部分で欠かせないのがトイレ設置、そしてトイレの在り方というのは切っても切れない問題だろう。

話をライセンスに戻そう。
この基準を満たしていないと制裁が加えられることになる、ということなのだ。
1000名の観客に対し、洋式トイレ5台、男性用小便器8台という基準であり、観客数の60%入場として計算する方法で計算される。

●屋根のあるスタジアムが少ない日本のスタジアム


そして屋根の問題も死活問題だ。

日本のサッカースタジアムといえば屋根がついていると想像する人は少ないであろう。
屋根はスタジアムの1/3、そして将来的には観客席の全面に屋根ということが見込まれる可能性すらある。

トイレの設置も屋根の設置も当然容易ではない。

クラブの持ち物となっているスタジアムもあるが、自治体が持っているスタジアムがほとんどであり、改修には自治体の協力も必要だからだ。
自治体もその金額に見合う結果を望むことになり、今後の集客人数やそのクラブがあることによって自治体にどのような影響を与えるかなど関係性も必要であり、自治体にとってメリットがなければスタジアムの改修費に数十億円、数百億円といった改修工事費を見込めないであろう。

海外のスタジアムにはスタジアム内に直結する駅を持っていたり、スタジアムに高速道路が繋がっていたりと地域を上げて街づくりをしているところもたくさんあるが、歴史的には大きな違いがある。
サッカー文化が根付くのには時間がかかり、長く日本スポーツ界でプロとして君臨しているプロ野球のチームであってもそこまでの浸透はしていない。

しかし、野球のスタジアムも変わったと思う。
ドームが増えたことは十数年前に比べて多くなったり、球場も大きくなり、快適なスタジアムが増えた。

野球のスタジアムがなぜ変わったのかまでは調べず申し訳ないが、それでも変化を付けることができるということなのだ。
もちろんプロ野球は動くお金の単位がJリーグよりもケタ単位で多く、収入の在り方も個別売上制度でありJリーグのように計上して分配される制度とは違うため、違いはあることだろう。

しかし、野球球団の存在があるから自治体が動いたという力は大きい。
大きなスタジアムで屋内のスタジアムが増えたのは球団ありきのまちづくりの部分もあるだろう。

ただし、今それをJリーグのクラブが自治体に求めることができるかというと難しい。
クラブライセンスができたことにより、基準を満たしていないことにはクラブは制裁を加えられその結果赤字となりライセンス失効や、スタジアム問題によりライセンス失効という可能性も否定できないからだ。
クラブがなくなってしまうことで打撃が大きい自治体だってあるはずだ。
それをライセンスという基準によって自治体に訴えることができるかも、注目である。
Jリーグのクラブがあるという価値は自治体にとってどれだけの大きさであろうか。

それはもちろん集客や影響、そして現在までの歴史や結果などから反映されるものであり、評価に値するかどうかは各クラブによって違いがあるであろう。
国単位としての文化はもちろんだが、地域性という部分をとっても一定にして考えるのは難しい。

 

●プロクラブであることの最低条件

近年、自分たちの練習場を持ち、自分たちのクラブハウスを持つクラブが増えた。
というと今まで少なかったように聞こえてしまうが、専用の練習場を持ち、クラブハウスを持っているのが当たり前だったが、それが当たり前ではなくなっていた。
Jリーグに新たに参入してくるクラブの多くはまだ年間を通して練習できる専用の練習場とクラブハウスを持っていない現状にあった。
後付けというと言葉は悪いかもしれないが、それでよしとされてきたのだ。
その結果J1であっても毎日のように練習場が変わり、クラブハウスもないというクラブが存在していた。
しかし、このクラブライセンス制度によってクラブハウスと練習場を新たに得たクラブは多い。

プロクラブとして練習場とクラブハウスがあることは必須だと言い切って良いと思う。
プロクラブだからこそ、そういった環境はしっかりとしたものでないと目指される場所ではなくなってしまう。


クラブとして強化し、強くなることも当然求められるが
環境が整ったり豊なことと結果は決してイコールではないが、それでもプロクラブとしての在り方はJリーグのクラブとして必要だ。

お金がないからという言い訳でクラブハウスも練習場も持たないのであればそれはプロクラブになるべきではない。
プロクラブという日本のトップ機関に在りながら練習場もクラブハウスも用意ができないのならなぜプロのクラブにという疑問さえ持ってしまう。
今現在練習場もクラブハウスも持たないクラブには厳しい意見となってしまうが、練習場もクラブハウスもクラブを象徴するものであり、選手たちがそこでプレーをするためのクラブ強化のための起点だ。

家のない生活 のようなものではないだろうか。
お金がないから持てないではなく、それを持つために努力しなくてはならない。
だからこそ、A基準とされているのだ。

見る側にとってはそれはスタジアムにも同じことがいえるのかもしれない。
見やすかったりトイレなどの設備が整っているからこそ安心していくことができる
天候を気にせず向かうことのできるスタジアムが好ましい。

理想ではなくそれを基準とすることでさらなる高い水準を目指す。
それがこのライセンスの持つ影響力ではないだろうか。


クラブライセンス制度には賛否両論あるが、プロクラブになるために基準が甘くすぐにプロクラブが発足してしまうようなものであれば、それはリーグとしての価値を下げてしまうことになるかもしれない。
基準が甘かったからこそ、クラブハウスも持たない練習場も持たないクラブが存在したのではないだろうか。

現在クラブハウスも練習場も持っていないクラブがまだ存在する。
クラブを強くすること、結果を残すことで上に上がれるだけではなく、プロクラブとしてしっかりとした環境が整っている目指したい場所とすることもクラブの価値を高めるために必要なことではないだろうか。


スタジアムと屋根の問題で制裁対象となるクラブはなんと24クラブも存在する。
両方をクリアできていないクラブも11クラブにも上る。

Jリーグは制裁という形でお金が欲しいわけではない。
制裁というなんの形にも残らないお金を支払うのであれば、形あるものにお金を投資し、変えていこうという考えになってほしいという方向性だ。

もちろんこれはクラブだけの問題ではなくスポンサー的な問題や資金、自治体レベルの大きな大きな問題だ。
ただし、変えようとしないことには変わらない。リーグ発足から20年を数えJリーグが採った大きな舵だ。

クラブライセンスを獲得したクラブはもうすでに来年のクラブライセンスに向けて取り組みを始めていることだろう。
気のゆるみがすぐにライセンス失効に繋がる。
そのくらい緊迫し、高い場所を意地すること。それがプロクラブに求められている場所なのだ。

 

目指される場所へ
そして向かいたい場所・向かわれる場所へ

 

在り方の基準を作ることも必要なことなのだろう。


 

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拝読しました。
チームのインフラに関する文章はいつくかありましたが、提言まで含んだ文章は久しぶりに見ました。

東京在住柏ファン  Good!!1 イエローカード0 2014/10/16|23:04 返信

大変遅くなってしまいましたが、コメントありがとうございます。
ただ単にあれがダメこれがダメというのは簡単ですが、自分の考えも盛り込むようにしています。
読んでいただきありがとうございます!また読んでいただけるような文章を書いていきたいと思います!

飯守 友子 (CHANT編集部)   Good!!0 イエローカード0 2014/11/07|12:38

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