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リオ五輪女子サッカー・アジア地区最終予選 日本vsオーストラリア 「澤ロス」って具体的には何を指すの?

2016/03/02 23:51配信

武蔵

カテゴリ:コラム

リオ五輪女子サッカー、アジア地区最終予選が始まりました。

この最終予選には6カ国が参加し

総当たりによって決まる上位2カ国のみが本戦に出場できるという

非常にシビアな戦いとなっています。


しかし、今まではこのレギュレーションを勝ち抜き

ロンドン五輪では銀メダルを獲得しました。


「周囲の期待」を力に換えて、出場権を掴み取ってほしいところです。

「澤ロス」と「周囲の期待」

なぜ「周囲の期待」に関して言及するかというと

今回はその「期待」の取り扱いの難しさがあるからです。


「期待」は「重圧」に換わることも多々あります。

そして、その「重圧」を和らげることができるのは

やはり、経験豊富なベテランです。


現在、サッカー女子日本代表は未曽有の過渡期に入っています。

それはご存知の通り、日本サッカー界で一番のレジェンドである

澤穂希が現役を引退したからです。


選手としての澤がいない女子日本代表というのは

単純に考えて、1992年以来ということになります。

その頃は、なでしこリーグの前進であるL・リーグの

そのまた前身であるJLSLの時代でした。

かなりの隔世の感があります。

もちろん、着実にやって来るサイクルの終焉に向け

なにも手をこまねいてきたワケではありません。

日本女子代表は、チームの作る取り組みとして

ロンドン五輪後には、アルガルベカップや強化試合において

澤を始めとしたベテラン勢を招集外とし

「澤ロス」に向けたチーム運営を試みてきました。


ただ、その結果は

澤未招集の2013、2015は決勝トーナメントに進めず

澤を招集した2014では準優勝と

見事なまでに、結果に差が出ています。


この頃は「澤を招集さえすれば・・・」ということが言えました。

澤を招集し、ベンチに置き

機を見て投入できる状態にしておくことが

2015W杯の準優勝に、どれほどの貢献をしたかを

測り知ることはできません。

ですが、澤の現役引退後

つまり、このリオ五輪最終予選においては、そうはいきません。

「澤ロス」は大きな問題ですが、乗り越えなければ未来はありません。


また「周囲の期待」がなければ

プロとして戦うことはできませんので

そこを否定するのも間違っています。


澤ほどではなくとも、数々の栄冠を勝ち取ってきた

宮間あや、大儀見優季、川澄奈穂美らが

その問題を解決してくれることを望みます。

オーストラリアの「策」にハマる日本

とはいえ、これもご存知の通りですが

オーストラリアに1‐3で敗戦し

リオ五輪に向けた、大事な初戦を落としてしまいました。

「澤ロス」の文字が

ここぞとばかりに、新聞各紙を躍ります。

では、敗戦の反省はそれだけで良いのでしょうか?

良いはずがありません。

オーストラリアの「策」に日本がハマったまま

抜け出せなかったということを検証する必要があり

メディアや、女子日本代表に期待をする周囲には、その責任があると考えます。


では、オーストラリアの「策」とはなんだったのでしょうか。

それは、この日の中継に特別ゲストとして出演した

解説者としての澤さんの言葉を借りると

「日本は距離感が悪い」

ということに集約することができます。

では、オーストラリアはどうやって「日本の距離感を悪く」したのでしょうか。

日本はお馴染みの442です。

442の良い点として、各ポジションに2人ずつ配置することで

場面ごとの役割分担が明確になるというものがあります。

それにより、無闇やたらに動くことを減らし

陣形をコンパクトに保つことができます。

そして、守備時のチャレンジ&カバーや

攻撃時にボールを失わない、ボールを運ぶといった

サッカーに勝つために必要なことがやりやすくなる

というメリットが生まれやすくなります。


逆から考えると、442の攻略法とは

そのコンパクトネスを失わせることに主眼を置くべきです。


また、一般論として日本の攻略法は

身長など、フィジカル的ミスマッチを発生させることにありますので

442を攻略することと、日本を攻略することには

非常に関連性が高いと言えるでしょう。

オーストラリアは433です。

フォーメーション的に「浮く」アンカーと

サイドに張ったウイングを生かすことで

相手にスライドを強い、遂には横のコンパクトネスを失わせることが狙いです。

では、横のコンパクトネスが失われるとどうなるでしょうか。


守備時にクロス、センタリングを入れられた際に大事なことは

①単純に競り勝つ

②そうでなくともレシーバーに体を寄せ、自由を効かせないこと。

③できれば数的優位を作り、複数で対応すること。

以上の3点でしょう。

そして、横のコンパクトネスが失われると

DFとDFの間で、容易にクロスに触られてしまいます。


形としては、2015W杯・ラウンド16のオランダ戦で

散々に苦しめられたものと言えるでしょう。


前半25分に先制点を決められたシーンは

まさにその通りの形を作られてしまいましたし

この試合では、得点に繋がらなくとも

クロスにフリーで合わせられる場面が複数回ありました。


日本はオーストラリアの「策」にハマり

そこから抜け出せないまま、アンラッキーな追加点を許す

苦しい展開となってしまいました。

「澤ロス」の中身

前半ロスタイムの追撃弾は

結果的にサイドチェンジとなったクロスから

有吉佐織のインナーラップを生かし

最後はエース・大儀見が詰めたもので

非常に良い攻撃でした。

前半のうちから大野忍に代わり

身長はそれほどではなくとも、腰が強くキープのできる

横山久美を投入したことにより

攻撃において時間が生まれ、全体を押し上げることで

縦のコンパクトネスは保つことができていました。


ただ、オーストラリアのサイド攻撃に対しては

有効な手立てを打つことができなかったため

横のコンパクトネスを回復することができず

ボールを奪った時点で選手間の距離が広がっていたため

有効にボールを繋げず、運べない状況が続いてしまい

結局、全体的な趨勢を覆すことはできませんでした。


後半はオーストラリアのクロス対応の甘さを生かしたチャンスがありましたが

ゴール前、横山がシュートを打てなかったシーンを始め

決定機らしい決定機を作ることはできず

逆に後半33分に追加点を許し、最終スコアの1‐3となってしまいました。

リオ五輪へ向け、非常に苦しいスタートと言えます。

日本の佐々木則夫監督は、コンパクトな陣形を保つようにとの指示を

試合中、盛んに飛ばしていました。

コンパクトさは、フィジカルで劣り技術に優る日本の生命線だからです。


その他には「球際強く行こう!」という指示も飛んでいましたが

コンパクト無き「球際強く!」は間延びをもたらすだけですので

コンパクトネスあっての球際と言えます。


そのため、オーストラリアの「策」にハマり

コンパクトネスを失い、そのコンパクトネスを回復できなかったことは

日本の主たる敗因と言えるでしょう。


選手としての澤がいれば

つまり、ピッチ上で強いリーダーシップを発揮でき

かつ、球際においては無類の強さを誇った澤がいれば

この敗因を一挙に解消することができたかもしれません。


つまり、統率力でコンパクトネスを回復し

その上で、球際強く行けるという澤がいなくなったこと。

これが「澤ロス」の中身と言えるのではないでしょうか。


少なくとも今までの日本は、そうやって勝ってきました。



男子でも女子でも、どんな強豪国にも訪れるのが

このようなサイクルの終焉です。

次世代の選手たちが出て来ず、時代の中に埋没していった国々は

これまで、いくつもありました。


日本はその轍を踏むことになるのかどうかは

ここからの4戦における、挽回に懸かっています。

Good!!(100%) Bad!!(0%)

澤ロスではなく宇津木ロスだという意見もいくつか見かけましたが、私個人としては武蔵様と同様、
やはり澤穂希の不在が大きく影響していた様に感じました。

宇津木も良い選手ですが、個だけで何とかするタイプの選手が1人入ったところで、
大したプラスにはならなかったと思われます。

個々の距離が遠く連動出来ず、修正もされない状況でしたので、
そういった部分を修正できる澤の様な選手が足りていないなと感じました。

名無しさん  Good!!0 イエローカード0 2016/03/16|03:07 返信

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