CHANT(チャント) FC町田ゼルビア

【FC町田ゼルビア】 現在2位 慢心にはならず自信と勢いを持って一歩ずつ先へ―。 【J2】

2016/04/10 20:53配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


5連勝―。

現在J2首位を走るセレッソ大阪に開幕戦で惜敗してからはじまった、4年ぶりのJ2での戦い。
7試合を消化し、現在FC町田ゼルビアは2位という位置に付けている。

第7節アウェイ山形戦にてPKでの1点を守り切った町田は5連勝を記録し、首位セレッソ大阪に直接対決で負けを喫した1試合差をつけての2位の位置にピタリと付けているのだ。

3試合連続完封。7試合で失点は3。
失点の少なさはここまでセレッソ大阪の3と並び、現在リーグ1の少なさとなっている。
昨年のJ3最少失点という記録を引っ提げてJ2へと挑戦しているが、今季もこれまで失点の少なさが際立っているということは「町田らしさ」を出すことができているといって良いであろう。

始まったばかりという時期を過ぎ7試合を経過して2位という位置は、もう偶然ではない。


●はじめての対戦となった上位対決・札幌戦

第6節、4位と5位という上位対決という位置で迎えたコンサドーレ札幌戦。
連勝の流れで迎えるホーム野津田でのコンサドーレ札幌戦は、クラブ史上初めての対戦となった。

対戦としては初めてであったもののFC町田ゼルビアにはキャプテン李、守護神高原、SB松本と札幌で戦ってきた選手が多く在籍していることもあり、縁がないわけではない。
自身初のハットトリックを記録するなど得点ランキング首位を走る札幌・都倉が体調不良で欠場ながらも、何度もJ1で戦った経験を持ち、誰もが知っている選手が在籍している札幌は、町田にとってチャレンジをする側となる試合であった。

試合は序盤から町田が豊富な運動量を持って、後手に回らずにボールを奪いにいった。
セカンドボールをしっかりと取ること、寄せる時には相手よりも早く動きボールを奪取することを徹底した。
かなりコンパクトに体形をスライドさせながら集中して守備を敷き、その中でスペースを見つけると素早く攻撃を仕掛けた。

前日に横浜FM・中村俊輔のFKでの得点では通算22ゴール目となる素晴らしいFKを観て刺激され、決めたいと思ったと話した鈴木崇文が放ったFKは、
ゴールよりも上の軌道から勢いよく落ちていく孤を描き、ゴールネットを鮮やかに揺らした。

後半に入ると得点を奪うためより攻撃的な選手を送り出したコンサドーレ札幌は、前半の戦いからガラリと流れを変えることに成功し、町田のディフェンスは押し下げられラインが下がってしまう。
ラインが下がってしまったことで間延びし、そこで出来てしまうスペースを使われる形でコンサドーレ札幌の攻撃が続く中、札幌に8シーズン在籍しゴールマウスを守った経験を持つ現町田の守護神・高原がビッグセーブを魅せる。

その後、札幌は2種登録を完了したばかりの17歳・菅を投入し、さらに攻撃にアクセントを加えたものの、町田は札幌の攻撃を前に我慢の時間帯を凌ぎ続ける。
そして試合終了間際。途中交代でピッチに入った重松健太郎が中島のクロスを頭で合わせ、追加点を重ねたことで試合を決めた。

この上位対決に勝利できたことが大きく、2位に浮上したFC町田ゼルビア。
先制してからは苦しい試合だったものの、結果的に失点は0。
相手の攻撃に何度も変化がありながらも、よく対応して耐えることができ、その中で試合を決める追加点を決めることができたことも大きかった試合となった。


●PKでの1点を守った山形戦

非常に風が強い中での試合となった、アウェイ山形戦。
前半、風上に位置した町田は、ボールがうまくピッチで転がらない状況も把握し風の力を借りることのできる時間帯を活用し、
長いボールを使って山形ゴール前にボールを運ぶという試合運びを選択。
ゴール前で鈴木孝司が倒され、PKを獲得しそれを鈴木孝司自らが落ち着いて決め、町田が早い時間に先制することに成功した。

その後、先制したことで得点を急いで取りに行く必要がなくなった町田は、いつものコンパクトな状態ではなく最終ラインが低い位置取りをしたことでスペースを与えてしまう場面もみられた。
山形はそのスペースを使って攻撃に出るものの、なかなか攻撃をうまく構築することができず。
町田は攻撃にも守備にも人数をかけきれない状況もあった中で、山形の攻撃を受けるものの我慢の時間帯を失点のないまま耐える。

後半に入ると山形が風上となったものの、一発レッドで選手が一人退場するなどし10人となり
数的優位となった町田はカウンターを仕掛け、攻撃を開始。
追加点を奪いに向かい得点こそ奪えなかったが、1-0のまま試合は終了。

勝ち点3を重ねうことに成功した町田は2位の位置をキープするとともに、5連勝。
開幕戦を手ごたえのある中で敗戦、続く2戦目を追いつく形でドローとし、3戦目から連勝を続けている。


●現在2位。その要因とは。

現在J2で2位の位置にいる町田がなぜこんなにも結果を出せているのであろうか。
まずは、選手たちのサッカーに対する姿勢にあるであろうと考える。

町田の選手たちはJ2での戦いを前にひとつひとつを噛みしめながら、チャレンジャーの立場で試合に入れている。
現在結果を出しているが、それでも慢心となることはない。今の結果に自信を得ながらも、結果に満足することはない。
J1やJ2といったクラブで揉まれてきた選手たちが多く、苦しい想いを経験し壁にぶつかってきた選手たちが多いこともあり、簡単ではないことを知っている。

毎日プロサッカー選手としてサッカーをする場所があることを、当たり前ではないと感じたことのある選手たちもいる。
プロサッカー選手であることが当たり前の日常ではなくなった日を経験した選手たちが多いからこそ、絶対はないことを知っている。

FC町田ゼルビアの練習風景を観ていると、一人一人がサッカーを大切にしていることが伝わってくる。
ひとつ、またひとつと相馬監督の発する言葉に耳を傾け、自分のものにしようと努力を重ねる。
練習が終わっても誰一人として引き上げることなく、自然に全員がボールを蹴り続ける。
長くボールを蹴り練習が終わった選手たちからは、今日もサッカー楽しかったといったメッセージが伝わってくる。

プロ選手であるということは、サッカーが楽しいだけでは当然ない。
苦しいことも厳しい現実にぶつかることもあるのがfootballであり、慢心となり実力を出せない選手や、思い描くサッカー人生を送れない選手も多く存在する。
その中でも原点回避として、サッカーが好きだ。サッカーが楽しい。と実感しながらプレーすることが理想だが、なかなかそうはいかない現実もある中。
町田の選手たちがさまざまなことを乗り越え、さまざまなサッカー人生を送り、「今」町田でサッカーをしていることが大切なのだとその姿から伝わってくるのだ。

J3での昇格争いは、長い間緊張感が張りつめた長い戦いだった。
昇格争いを戦いながら、天皇杯ではベスト8まで勝ち上がりチームの総合力を持ってJ3だけでなくJ2のチームともJ1のチームとも戦うという経験を経て、
入替戦という最終決戦を戦ってJ2昇格を決めた。
その簡単ではない道程をチームが一体となって歩んだこと、結果を得てきたことで、「今」があることを噛みしめて戦っている。
当たり前ではない、J2の舞台のひとつひとつが町田にとってチャレンジとなる試合なのだ。

対戦相手の対策はもちろんする上で、自分たちのサッカーをベースとしてしっかりと敷く。
初戦のセレッソ大阪戦では、強豪クラブであり個の能力が非常に高いチームながら、手ごたえを感じることのできた試合だった。
しかし、1点が遠く、1本のセットプレーで失点し敗戦となったその試合も悔しいながらに、それも勝負でありfootballであることを痛感したFC町田ゼルビア。
その厳しい結果がスタートだったことも、チームとして改めて奮い立つ材料となったのかもしれない。

勝負は簡単ではないのだ。それを町田は経験としてJ2から降格してから4年で何度も感じてきた。
簡単な試合などない、当たり前の試合などないというのはJリーグで戦う全員が持っていなくてはいけないものかもしれないが、それを全員が同じ方向を向いて持って試合に入ることは実は難しいのかもしれない。
町田はそれを持っているチームだと感じる。

そして堅守の町田といわれる失点の少なさ、だ。

J3で最少失点チームだった町田だが、守備陣には大きな変更があった。
センターバックを務めていた選手の移籍もあり新たな選手を迎えての再構築となった町田のディフェンスだが、ここまでの戦いを重ねながらチームとしてより守備の強化に成功しているように感じる。
リーグスタート前にヨン・ア・ピンが加入したことや、センターバックの選手を多く獲得したことで昨年のセンターバックが不動だっただけにその空いた枠をかけて競争できたこともプラスだった。

ヨン・ア・ピン加入後は、ヨン・ア・ピンの能力を最大限にいかすためヨン・ア・ピンに自由に動いてもらい、それに合わせるという形で他の選手たち意識し動いているといい、ベースを持ちながらも個をいかす守備を形成している。
さらにJ1でもJ2でも経験豊かな守護神高原が安定したセービングをみせていることや、適切なコーチングやポジショニングによって、J3よりも数段強力となるJ2の強力な攻撃陣に対しても失点少なくここまできている。
東京V、札幌、山形と攻撃陣が豊富なチームに対し、失点0で続けて勝利し勝ち点3を得ている結果は、大きな結果といって良いであろう。


●研究されるであろう今後

開幕戦の試合後から、今後はこの試合が材料となって研究されるだろうと相馬監督が口にしたように、
選手たちも試合を重ねる上で今後は研究されることになるだろう、といった言葉を口にする。

結果を生んでいるということは、それだけ今後の対戦相手たちには警戒され、町田を研究し試合を迎えるチームが増えるであろう。
J3から上がってきたチームだからという理由や、シーズン序盤だからという相手にとって存在するであろう「余裕」とみられる時期は徐々に過ぎていることは間違いない。
7試合が終わって5連勝、失点3という結果は警戒されるべき結果であろう。

試合をこなせばこなすほど、町田がどう戦っているかの材料は多くなり、把握されることとなる。
だからこそ、徹底分析される前に勝ち点をできるだけ多く稼ぎたいというプランを持っている。

後半期を迎えると一度対戦したことで、町田の戦い方も選手たちの特徴も掴んで対戦することとなり、おそらく今のようにはいかない部分も出てくるであろう。
慢心になることなくそれをしっかりと今後に見据え戦えていることで、「今」出来ることを出し切る試合をできていることが町田の「強み」だ。

慢心になってしまうのは良くない。
しかし、勢いを持って戦うことは強みになる。

現在2位であるという自信を持って、続くアウェイで迎える千葉戦でも何かを起こしたい。
もちろん、目指すは勝ち点3だ。

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