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【2016】 Jリーグな人々へ―。 【Jリーグ】

2016/02/26 12:06配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム


Jリーグが始まって以来初の2月開催となる2016シーズンの開幕が迫っている。
リーグ最終戦からの期間を考えると日数としては空いているものの、移籍や退団を経てチーム編成が定まり新チームとしての始動からの期間を考えるとやはり今年のオフはあっという間だったと感じる。
各チームキャンプインのタイミングも例年よりも早く、ゲームを重ねての調整も急ピッチで行われた今年。
いよいよ、Jリーグ開幕がやってくる。

Jリーグの日程が出ると同時に先の今年の過ごし方が決まる。
ホームのスケジュール、対戦相手を照らし合わせていつの時期に山場が来るかを考え、どこのアウェイゲームに行けるかなと模索したりと、
スケジュール帳やスマートフォンのカレンダーを片手に、Jリーグの日程とにらめっこしながら悩ましい日々を送る。

シーズンオフとなった日々の中で、やらなくてはならないことが存在する。

戦った一年を振り返る日々。
戦ったその精神面、そして身体を癒すこと。
チームを去らなくてはならない、去る選択をした選手たちへのお別れ。
新加入選手の特徴の把握と仲間として受け入れる準備。
新しいユニフォームが発表され、新しい戦いに纏う特別なユニフォームへの入魂。
シーズンを戦う上での身体作りと、開幕を迎える準備。

選手やチームだけでなく、シーズンとして1年を観ていく者にとって必要な準備が存在する。
サポーターも戦いの日々がはじまるのだ。

天気予報のチェックを何日も前から行い、持ち物のチェックをしながら、訪れる地の開幕戦情報を日々チェックし、開幕戦で会うであろうfootballな仲間たちの顔を思い浮かべ、戦いの準備をする―。

今年もJリーグな日々がやってくる。


昨年、Jリーグの総来場者数が900万人を突破した。
過去最高の動員数となり観客数がJリーグ全体では増えたという統計となった。
昨年は逆転勝利や試合終了間際のゴールなど劇的な瞬間が多く生まれ、よりエキサイティングな試合が多く見られた年だったという。

サッカーを観るきっかけってなんだったかなと思い出してみてほしい。
さまざまな理由がそこにはあると思う。
人に誘われて観に行った、五輪やW杯など大きな大会で日本中から注目される機会をきっかけに興味を持った等、行くきっかけはそれぞれライトなところから始まる。
実際にサッカーをスタジアムで観て、次も行こう、もっと行きたいに繋がる理由がスタジアムに観に行ったことによって生まれ、それを重ねたからこそ、日常に大きく影響するほどにサッカーのある生活にたどり着いたはずなのだ。

スタジアムでサッカーを観るということは、テレビで観るよりもわかりづらい。
選手の顔がテレビ中継のようにUPで観られるわけでもないし、選手の名前が選手紹介以外で出るわけでもない。
何度も観て選手のシルエットが頭にインプットされなければ、どの選手がボールを持っているかさえわからないであろう。

誰かが解説をしてくれるわけでもないし、見る角度によってはどのくらいゴールに近づいたかもわからないこともある。
シュート数もわからないし、誰がゴールを決めたのかも確認できないこともある。
スローでゴールシーンを振り返らないスタジアムも存在する。

テレビで見ていたほうがよっぽど見やすいかもしれない。

でも、スタジアムへと向かう。
スタジアムで観ることに、footballの魅力が詰まっている。
スタジアムにはスタジアムにしかない、特別な価値が存在する。


電車に乗るとたくさんのユニフォームを着た人たちや、グッズを身に付けている人たちに遭遇する。
あの人はこれからサッカーを観に行くんだな同じ場所に向かっているんだなという同志である気持ちが昂り、スタジアムへ向かうまでの道を進むにつれてそういった人たちがどんどん多くなっていき、footballな空気感が心地良い。

たくさんの人々が応援という共通した目的意識を持って集うスタジアムの独自の雰囲気の中に身を溶かす。
スタジアムグルメを食べたり、仲間たちと挨拶をして世間話をしたり、イベントブースへと出向いたり、チームマスコットと戯れる。
footballな空気で包まれる中、試合前のリラックスタイムを過ごす。
そんな時間もスタジアムに行きJリーグを楽しむ時間のひとつだ。

スタジアムに向かう時間も、試合までの時間も、共通の話題で盛り上がることのできる仲間たちとの会話も、すべてが大切なその時にしかない瞬間だ。

試合が始まると、自分の視点で試合を観ることができる。
ボールのないところの動きも、ボールのないところで起きている選手の声のかけあいや指示も、ベンチでチームメイトたちが大きな声を出しピッチの選手たちへ気持ちを送る姿も。
その日、その瞬間に起きていることすべてに目を向けることができ、その瞬間を記憶することができる。
スタジアムにいるからこそ、見えてくる部分が多く存在するのだ。

スタジアムはサッカーを観に行く場所ではあるが、難しいサッカーのあれこれがわからなくても、全然いいのだ。
ゴールを誰が入れたかも見えなかった。
ボールを長い時間持っていたように見えたけど、試合を支配していたかどうかも、それが戦術なのかもわからない。
システムが途中で入れ替わったことも、選手がどのような働きをしているのかもわからない。

わかるに越したことはないが、わからなくてもいい。

football溢れるその場所で。
歓喜を、悔しさを、幸せを 喜びを 怒りを 感動を
受け止めることができる。

それがスタジアムにいる魅力ではないであろうか。

スタジアムの力は無限だ。
一人一人が持っている力を集約し、大きな力と変えられることがある。
チームも選手も持っていない新たな力を生み出せる力も存在することは確かだ。
そのひとつとなれる可能性を一人一人が持っている。

同じ空間で、共に共有できる特別な一瞬。

逃すわけにはいかない一瞬が、そこにはある。

Jリーグの歴史を創るのは、チームや選手たちだけではない。
スタジアムを染めるサポーターの声や想いが生む瞬間も存在し、歴史となって刻まれる。


お年を召している方々が、ユニフォームを着て、大きな声を出し応援する。
小さな子供たちが、まだブカブカのユニフォームを着て、笑顔いっぱいに選手の名前を呼ぶ。
ボールを持ってきているサッカー少年たちが、スタジアムの周りでボールを蹴って憧れの選手のプレーの真似をする。
チームカラーでコーディネートしたファッションでスタジアムに駆け付け、仲間と共に戦う強き女子たち。
好きなものの共有で大人の男達が大きな声で笑い合えるほど、そして共に真剣に戦えるほどの強き絆で結ばれる。

スタジアムでは
サッカーが好きで、チームや選手を応援しているという共通事項があれば、たくさんの人たちとの巡り合いを創り生み出す。
チームの仲間、そしてJリーグの仲間が生まれていく。


2016シーズンも、最高の瞬間が生まれる証明者の一人となる。
開幕という特別な日を、迎えられることに幸せを改めて確認しよう。


「Jリーグな人々」の一人として、
たくさんのことを観て、聞いて、伝えていきたいと思います。

昨年は術後から始まった一年でしたが、もう一年も経ったのだなと改めて感じます。
今年も元気に全国を飛び回ることができますように。

たくさんのJリーグな人々に出会えますように。
たくさんの瞬間に立ち会うことができますように。

改めて。
2016シーズンも、よろしくお願い致します。


Jリーグ開幕は、明日―。

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