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遠回りした生まれながらのストライカー 3/3

2014/05/23 01:28配信

ミノル・スアレス

カテゴリ:コラム

小さな選手がポストプレーを苦手としているという捉え方は、正しくない。


「高さがない。」

 

「ポストプレーができない。」

 

大久保嘉人、あるいは岡崎慎司、佐藤寿人も同様であるが、

彼らのような身長の低い選手をワントップに推すと

必ずそういった声が挙がるが、あまりにもナンセンスな考え方だ。

私がそう考える理由は大きく2つある。
まず、現在の日本代表は、前線に高さを求めてはいない。

ハーフナー・マイクや豊田がどのような扱いを受けて来たか、

皆さんも目の当たりにしてきたはずだ。

 

本田や香川は、高さを求めていないどころか、

高さを活かす術を知らないようにすら思える。

 

次に、ポストプレーができないという点についてだが、岡崎はともかく、

小さな選手が一様にポストプレーを苦手としているという捉え方は、正しくない。

ポストプレーは何も相手を背中で押さえ込むプレーだけを指すわけではない。

前線で味方からの縦パスを受け、攻撃の起点を作るのがポストプレーだ。

 

本田、香川を中心に考えるのであれば、日本代表に必要なフォワードは、、、


大久保は、ポストプレーが苦手ではないどころか、むしろ得意としている。

大久保は、ポジショニングのセンスに優れているため、

相手を背負うことなく前線でボールを受けることができる。

また、言うまでもなく、ボールスキルが非常に高いので、

狭いエリアでも正確にボールをコントロールし、局面を打開することができる。

 

川崎フロンターレの試合をみれば、大久保がフィニッシュだけでなく、

ポストプレーにおいても重要な役割を果たしていることが、お分かり頂けるはずだ。

 

香川や本田は、良くも悪くも中央の狭いエリアで細かいパス交換をして、

相手ディフェンスを崩そうという傾向がある。

日本代表に必要なフォワードは、そういった局面でのプレーを得意とする選手だろう。

 

そういった意味では、相手を背負ったプレーを苦としない大迫や、

ボールコントロールに優れた柿谷が代表に選ばれたのも納得がいく。

ただし、それはあくまで、「日本人フォワードの中では」という相対評価の結果でししかなく、

実際、彼らの代表でのパフォーマンスは十分とは言い難い。

だからこそ、私は大久保に期待してしまうのだ。

大久保が現在のレベルに到達したことに、何ら驚きはない。


また、下がってきて、組み立てに参加できるのも大久保の
1つの特徴だ。

かつては、それが前線での恐さをスポイルしてしまうことに繋がっていたが、

現在の大久保は、相手でフェンダーへの脅威を失わずに、組み立てにも貢献することができる。

 

大久保の能力と経験をもってすれば、代表の前線に恐さを加え、

香川や本田の良さをより引き出すことが可能だろう。

 

大久保が現在のレベルに到達したことは、

彼のポテンシャルからすれば当然であり、何ら驚きはない。

むしろ、時間がかかり過ぎたくらいだ。

 

そうはいっても、キャリアを誤り、才能が花開くことなく終わる選手も少なくない中、

遠回りしたとはいえ、大久保がそのポテンシャルの全てを

見せてくれる可能性が残ったことを嬉しく思う

 

ピッチに立てば、大久保は必ず結果を残す。

私はそう確信している。

 

残る問題は、ザッケローニの采配だけだろう。

私は、ザッケローニの英断を切に願っている。

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