モイーズが根源ではないユナイテッドの真の問題
2014/04/24 21:08配信
カテゴリ:コラム
失望はしているが、解任自体に驚きはない
2014年4月22日、デイビット・モイーズがマンチェスター・ユナイテッドの監督の任を解かれた。正直に申し上げると私は失望している。モイーズの解任が遅すぎたからか。いや、そうではない。モイーズを解任したユナイテッド経営陣の判断に失望しているのだ。ユナイテッドは”サー”・アレックス・ファーガソンの勇退以降、多くのものを失ったが、今回の解任はさらにもう1つ大事なものを捨てることになった、そのようにさえ感じてしまう。(大事なものとはモイーズのことではないということは、念のため、付け加えておこう。)
ただし、失望はしているものの、解任自体には驚きはなく、致し方ないと思わせる要素も多々ある。巷では、なぜ解任がこの時期になったかについて、様々な憶測が飛び交っているようであるが、結論が出た今、そんなことはどうでもいい。注視すべきは、この解任を機に、ユナイテッドが復権を果たすかであろう。日本人にとっては、香川真司の扱いがどう変わるのかも、注目すべき点かもしれない。
ユナイテッドの真の問題はプレーメーカーの不在にある。
「モイーズという諸悪の根源が去ったことにより、ユナイテッドの問題は解決に向かう。」、「ライアン・ギグスが暫定監督に就任したことにより、このプレイングマネージャーと近しいビジョンを持つ、香川の未来は明るい。」、そのような意見もあるようであるが、私に言わせれば、あまりにも短絡的すぎる意見だ。ユナイテッドが抱える最も重要な問題は監督ではない。モイーズはあくまでユナイテッドが抱える真の問題を解決できなかっただけであり、モイーズそのものが問題の根源ではない。CHANTにおいて、これを主張するのは初めてになるが、私は以前からユナイテッドの真の問題はクリエイティビティ溢れるプレーメーカーの不在にあると主張してきたが、その考えに今も変わりはない。
ユナイテッドで最も信頼のおける2人のミッドフィルダー、マイケル・キャリックとダレン・フレッチャーは、あくまでオーガナイザーであり、クリエイターではない。コンディション不良により出遅れたものの、シーズン終盤に出場機会を増やしたマルアン・フェライニも、正確なパス技術を有しているものの、その長所は別のところにある。トム・クレバリーについては、彼には申し訳ないが、ユナイテッドでプレーできるレベルにはなく、言及するに値しない。
ユナイテッドにとって理想的な人材は、、、
監督が違ったとして、手駒にこれしか人材がいないのだ。一体、誰がチームにクリエイティビティをもたらすことができたというのか。こう指摘すると、しばしば、ファーガソンは同じメンバーで勝っていたという指摘を受けるが、私はそうは思わない。仮にそうだったとしても、ユナイテッドは当時からクリエイティビティを欠いており、モイーズになってからこの問題が発言したわけではないことは明らかである。昨シーズンは、選手のモチベーションと、単調なサイドアタックの精度が今シーズンより高かっただけに過ぎない。最もそこにファーガソンとモイーズの大きな差があるのだが、、、私は以前、ユナイテッドがこの問題を抱えるに至った経緯について、ある記事を書いている。今回はCHANTにそれを転載させて頂くことにしたので、ぜひともご覧頂きたい。
"サー"はなぜ問題を解決できなかったのか → http://chantsoccer.com/posts/83
クォリティの高いプレーメーカーを確保しない限り、ユナイテッドが抱える問題が解決されることはない。ユナイテッドにとって理想的な人材は、チェルシーのオスカルのようなプレーヤーであろう。オスカル本人は獲得不可能な人材だが、世界には彼と同等のポテンシャルを持った選手がもう1人いる。オランダのアダム・マヘルである。今シーズンは新天地のPSVで本来のパフォーマンスを発揮できずにいるようだが、私はマヘルこそがユナイテッドの問題を解決する人材であると考えている。以前、ユナイテッドはベルギーのスティーブン・デフールに興味を示していたが、結局、デフールを獲得することはなかった。この判断は私にとっては、非常に不可解なものであった。現時点で、ユナイテッドが、マヘルに興味を示しているという情報はないが、今回こそは納得いく答えを示してくれることを期待したい。