CHANT(チャント)

サポーターはなぜサポーターを批判するのか。

2014/07/06 21:25配信

ミノル・スアレス

カテゴリ:コラム

不定期連載コラム『サポーターとは何者なのか。』

はじめに~当コラムについて~ ※Vol.1からの転載

私はこれまでサッカーに関する記事を書いてきましたが、最近は「ブログを書くことに一体、何の意味があるのか。」という自問自答を繰り返しています。

なぜかといいますと、私は一サポーターとして、何らかの形でサッカーに貢献していきたいと考えているのですが、その気持ちが強くなるにつれ、「自分はそもそもサポーターと言えるのか。」、「自分は何か少しでもサッカーに貢献出来ているのか。」といった疑問が湧いてきたためです。

そこで今回から今までと少し志向を変えた連載コラムを始めることにしました。
このコラムでは、サポーターにまつわる様々な出来事や意見をもとに、

「サポーター論の必要性」

「サポーターの定義・役割」

「サポーターによるサポートの手段」

について考察していきたいと思っています。

最終的には、何らかの結論を出したいと考えていますが、多くの時間を要するかもしれません。
手探りで進めていきますので、本来の目的とは逸れるような話を取り上げることもあるかもしれません。

ただ、そこから何か発見があるかもしれませんので、あまり縛りを強くせず、色々な話題を取り上げ、皆様と意見交換しながら進めていければと思っています。
よろしくお願いします。

Vol.2 サポーターはなぜサポーターを批判するのか。

日本代表の試合の日は、渋谷に若者が集まって大騒ぎするのが恒例行事となっています。
以前からこういった行為には批判の声があがっていましたが、今回のW杯敗戦を契機に起こった渋谷での騒ぎとそれに対する批判はこれまでとは異なるものでした。

これまではモラル的な観点からの批判であったのに対し、今回の批判は「日本代表が敗戦したにも関わらず、なぜハイタッチして騒いでいるのか。」というサポーターとしてあるまじき行為だというものでした。

このような声を聞いて、私の中にいくつかの疑問が沸いてきました。

それは、「仮にサポーターはこうあるべきだという模範的なサポーター像があったとして、それに該当しない人はサポーターではないだけであって、それを強制する必要はないのではないか。」という疑問です。

そもそもサポーターとしてのあり方は多様なものであるべきかもしれませんし、仮に一様なものであったとしても、少なくともサポーターではない人に強制できるようなものではないはずです。

サポーターは、なぜ敗戦後も渋谷で騒いでいた人達を批判するのでしょうか。モラル的見地からの批判は、このコラムのテーマからは大きく逸れますので、今回はあくまでサポーターとしての批判に目を向けたいと思います。

私がすぐに思い浮かべたのは、『同調現象』です。

これは、人々の意見がある1つの論調に偏ることを指す言葉です。
同調する人達は必ずしも心の底からその意見に賛同しているとは限りませんが、誰も異論を唱えずその意見が絶対かのように振る舞います。

異論を唱えようものなら、たちまち批判の批判の矛先となり、異論を強引に押さえ込もうとします。
端的に言えば、皆が色を同じにすることが望まれ、他の色が認められなくなるのが同調現象です。

渋谷で騒いでいた人々は、敗戦を悲しむサポーターからすれば、『色』が異なっていたため、サポーターは彼らを攻撃した。
そのようにも考えられます。

ただし、自分で言っておいて恐縮ですが、この一件を同調現象として片付けてしまうのは、やや浅はかに思えます。

もちろん、批判している人の中には、単に多勢の意見に流されているだけの人もいるかもしれませんが、その中には、そういった声を最初にあげた人がいるはずです。

そういった人は何らかの意図があって、渋谷で騒いでいた人々を批判したはずであり、そこには「思いをともにして欲しい。」という強い気持ちがあったのではないかという気がしています。
そして、それは同調を求めるという点では同じかもしれませんが、いわゆる「同調現象」とは異なるものだと考えています。

私の主観で申し上げると、渋谷で騒いでいた人達はとてもサポーターには見えませんが、サポーターであることは強制されるものではありませんので、それで良いと感じています。

しかし、サポーターの中には、そういったサポーターとは思えない人達にも同じ思いでいて欲しいと考えている人がいるようです。

この点については、また改めて考察してみたいと思っています。

今回はあまり発見がなく、同調現象の始まりに着目するだけとなってしまいました。
このコラムは考察していくことに重きをおいたものですので、毎度発見があるというものにはならないかもしれませんが、今後もお読み頂けますと幸いです。

バックナンバー

Vol.1 失意のうちに終わったW杯。今、サポーターはどう振る舞うべきか。

Good!!(100%) Bad!!(0%)

この記事も読んでみる