【サンフレッチェ広島】 広島には、サンフレッチェ広島がある―。新スタジアムの必要性 【J1】
2015/12/25 12:56配信
カテゴリ:コラム
サンフレッチェ広島が、クラブワールドカップにおいて3位という結果を勝ち取った。
2回目となる出場で、日本勢最高位タイとなる3位という成績を残したことは非常に誇らしい結果であるが、結果以上のインパクトを残したと言っても過言ではないであろう。
2位のリバープレートには、内容で勝りあと一歩というところでの悔しい敗戦、アジア王者であり近年日本サッカーのライバルともいえるバブル続く広州恒大との譲れない一戦では
今季日本勢の前に何度も立ちふさがった相手に、逆転勝利をおさめた。
チャンピオンシップから続く過酷な日程の中、サンフレッチェ広島は総力を持って
試合を重ねるごとに確実にまた強くなっていることが伝わってくる、一戦一戦だった。
だからこそ、あえてここで叫びたい。
広島には新しいスタジアムが必要ではないか、と。
●サッカーを観るために特化したスタジアムの実現
現在のサンフレッチェ広島のホームスタジアムは、エディオンスタジアム広島だ。
1992年、Jリーグオリジナル10の中の1チームとして、Jリーグスタートを華々しく迎えた1チームであるサンフレッチェ広島のホームスタジアムとして、その当時から使われている。
このスタジアムはJリーグ開幕のサンフレッチェ広島のためというよりも、開催が決まっていたアジア大会、そして国体のメイン会場としての使用を目的に建設された。
当時はまだ5万人という大人数が収容できるスタジアムは少なく、6万人が入る国立競技場が最大であり
当時の基準として芝生席なども認める形での15000人以上という今に比べるとかなり緩めのJリーグ基準だったこともあり、それ以下や2万人ほどまでのスタジアムがほとんどであり、大人数収容のスタジアムの数は少なかった。
日韓W杯という日本全体においてサッカーが浸透する大きな大会があったことで、新たに巨大なスタジアムが多く建設された。
W杯を開催するにあたり、収容人数が多いスタジアムが全国に必要だったためだ。
巨大なスタジアムが建設されたことにより、より多くの需要があったが、実際にリーグで使うとなるとその規模は大きすぎるという点も否めない。
収容人数が多い大きなスタジアムを建設することは、それ相応の土地が必要であったため立地としては良い条件の中では建設ができなかったスタジアムがほとんどとなった。
今でもJリーグや日本代表戦で使用されることが多いが、まだ日本にサッカーという文化が根付ききっていない頃にW杯開催のために建てられたスタジアムが多いため、大きなスタジアムであり割と新しいスタジアムであることでキレイさはあるものの
サッカーを観るにあたって臨場感のあるスタジアムばかりではないのが現状だ。
Jリーグが開幕してから、20年以上が経過し、日本スポーツにおいてJリーグというひとつの文化が根付き、
新規層の獲得が必要と言われているものの、この長い期間で培い根付いたしっかりとJリーグを愛する層、という長きに渡りJリーグクラブを応援する日々を送っている人々が定着していることが、今のJリーグにとって絶対に必要不可欠な存在となっていることも忘れてはいけない。
Jリーグ開幕から、日韓W杯を経て、サッカー文化が時間をかけて根付いた今、「サッカーを観るためのスタジアム」を求める視点に注目が集まり、
W杯の時に必要とされた大人数を収容するスタジアムとは別に、規模はそれよりも小さくとも、サッカーをより近くで観ることができるスタジアムや、臨場感があり迫力の伝わるスタジアム、サッカーを感じることのできるスタジアムとしての変化を
各チーム掲げ、取り組むところが多くなった。
その筆頭として、今スタジアムのこけら落としが待たれているのが、ガンバ大阪の新スタジアムだ。
ガンバ大阪は長年、万博記念公園陸上競技場をホームスタジアムとして使用してきたが、陸上トラックがあることで観客席とピッチの距離があること、そして屋根のカバー率が低いことや老朽化など
さまざまな問題点があり、理想を叶える新スタジアム構想が持ち上がった。
ガンバ大阪も世界へ発信する結果を出してきたクラブであり、注目度も高く客層も広く、多くの人が訪れるチームだからこそ、スタジアムでサッカーを観るという魅力をもっとという想いもあったことであろう。
全額寄付という方法で、ガンバ大阪は新スタジアムの建設を実現した。
来年2月、こけら落としを経て、ガンバ大阪の新本拠地となることが決まっている。
その他にも京都サンガの新スタジアム構想や、名古屋グランパスの新スタジアム構想、北九州の新スタジアム建設など
どれもサッカーを観るにあたり、より快適で臨場感溢れる場とし、誰もがまた来たいと感じる理想のスタジアム構想を持ち計画・実行している。
●ライセンス発行にも必要なスタジアム基準
スタジアムの改修や建設が今ブームのように多くの地域で持ち上がっているが、そのきっかけとなったひとつの理由が、
J1ライセンスによる、施設基準項目にある。
施設基準として、スタジアムや練習場の基準があるのだが、
サンフレッチェ広島の現スタジアムであるエディオンスタジアム広島は、来季のJ1ライセンス交付において
・スタジアムの観客数1000名あたり、洋式トイレ5台以上、男性用小便器8台以上を備えていること
という点と
・スタジアム観客席の3分の1以上、または観客席すべてを覆う屋根を備えること
という項目で、基準未不充足とされた。
これは昨年に引き続き通知されたものである。
この項目は、ライセンス発行の上で等級が定めらているB等級に該当するものであり、
B等級事項をクリアしていない場合は制裁が課せられた上で、ライセンスを交付するという基準となっている。
二つの基準においてクリアできなかった分、サンフレッチェ広島はライセンス発行のために制裁を受けることになるが、来年度も計画に動きが無ければ
制裁から「戒告」という重い通知となることも併せて通知された。
制裁を受け入れることでライセンスを発行してもらえば良いというわけではない、という改めてライセンスに沿い改善をするよう通知を受けた形といって良いであろう。
改修もしくは建て替え、新スタジアム…なんらかの方法を取る必要があるのだ。
このライセンス基準だけの問題だけではなく、広島の現在のスタジアム環境には問題点が浮かび上がる。
ホームスタジアムである地はチームにとってもサポーターにとって聖地であり、長年使用してきただけに思い入れももちろん深く、大切な場所だ。
それでも、新スタジアムを と訴えるのにはもちろん理由があるのだ。
・中心部からの距離
エディオンスタジアム広島の立地位置は充分アクセスしやすい環境であるとはいえない。
広島の中でも中心地から直進距離にしても8キロ以上も離れ、市街地から山ひとつ隔てた地ということもあり、天候も崩れやすく、冬には雪も降り雪の中の試合ということも珍しくはない地域に建っている。
市街地からアストラムラインという乗り物で向かうことができるものの、一度に乗車できる人数は多いとはいえず、試合の前後には臨時列車も出るものの充分なカバー率とはいえない。
多くの人が車でスタジアムに訪れているのが現状だ。
・駐車場までのアクセス
エディオンスタジアム広島前の駐車場は、朝の時点でいっぱいになってしまうことが多い。
朝から並ぶサポーターで駐車場は埋まってしまう。
現在は駐車場となる場所も多く、スタジアムから距離の近い順に駐車場が埋まっていくことになるが、駐車場からのアクセスも中途半端な位置になると歩いて数十分という距離を感じる位置となる。
駐車場からはシャトルバスでスタジアムにアクセスしているが、試合が始まる前はシャトルバスもスムーズに運行し、スタジアムまで気になるほどの時間がかかるわけではないが、問題は帰り。
数万人が集まる試合後に、シャトルバスを待つ人数が数万人ということになると、その人数を運ぶのには当然かなりの時間がかかる。
1時間や2時間も待つというのが現状で、バスの台数を多く出しているものの どうしてもその列は長くなり時間がかかることになる。
これでは、試合の帰りに時間がかかるという理由でスタジアムに行くことを避けてしまう人も多いであろうと感じてしまうほどに、とにかく待つ。
寒い日や雨の日はこの待ち時間が当然さらにつらくなってしまい、子どもがいるファミリー層にとっては厳しい待ち時間だ。
さらに駐車場としている地区の開発が進み、住宅を建てるために分譲している地であることから、近い将来的その地に住宅が立ち並ぶことになり、駐車場の確保が難しくなるであろう。
・立地によって階段が多い
山を切り開いたような場所に建っていることもあり、斜面のような位置にあるため、スタジアムの外周を歩くと階段や坂道がかなり多い。
場所によっては、かなり急で老朽化が進んでいる階段もあり、子連れやお年寄りには過酷な環境となっている。
駐車場までのシャトルバスを使ってさらにメインスタンドでの観戦となると、その坂や階段は避けることができず、非常に体力を使うことになる。
・老朽化
スタジアムの内部は老朽化が進んでいることが見た目からもわかる。
先に述べた外周の階段部分は、階段が欠けてしまっている部分もあり危険を感じる部分も。
コンコースなども古さを感じ、トイレも和式が多く、古さを感じてしまう。
どうしても古さが目立つとスタジアム全体の印象が暗くなってしまうことももったいないなと感じてしまう点だ。
・ピッチとの距離
陸上トラックがあるため、どうしてもピッチとの距離を感じるスタジアムとなっている。
それによって、サッカー本来の臨場感という部分では迫力に欠けてしまう。
せっかく強く良いチームを観る場であっても、一番前の席であっても、遠い距離で試合を観てる感覚であり、それが最短の距離であることは残念さを感じてしまう。
ピッチがあることでそこに席を設けた特別シートが存在するものの、全体的に観客席とピッチの距離は感じてしまう。
・トイレの古さと数
J1ライセンス基準でもあるように、トイレの和式率の高さはどうしても不便さを感じてしまう。
日本の現在の公共施設や建物の数々は、ほとんどが洋式になってきていることから、和式トイレを使えないという子供たちも増えており
お年寄りなど和式トイレを使うのは厳しいという層も存在する。
古さを感じるトイレは、どんなにキレイにしていても不衛生さを感じてしまう上に、和式トイレでは使うことにためらってしまう人も。
トイレに苦痛を感じる場には、再び行こうとは思わないという人間心理も強く、トイレの改善は必要不可欠であろう。
サンフレッチェ広島は過去最高勝ち点での優勝、チャンピオンシップでの完全優勝に、世界180か国以上で放送されたクラブワールドカップで3位という世界に示す結果を残し、
日程が厳しい中で戦いながらも、選手起用を駆使しながらチーム力を持って一戦一戦変化を付けながら戦ったことで、それぞれに責任感も増し経験も急激に重ね、さらに強くなったことを感じさせてくれた。
その世界に誇れるチームが広島に在るということは、広島にとって大きなプラスであるはずだ。
だが、試合を行われている場所は、広島市民にとって遠い場所となってしまっている。
Jリーグの掲げるライト層や新規層の確保という部分で対象となる人々は、今のままでは遠いスタジアムという印象で足が遠のいてしまったままで終わってしまうことも否めない。
話題があればどんなに遠いところでも行くでしょ?という甘い考え方を 行政がまずは払拭しなくてはならないのではないであろうか。
素晴らしいクラブがあることをもっと広島という街全体が発信し、世間に知ってもらい、人々が足を運ぶ先が、より臨場感があり、また行きたいと思えるスタジアムであれば魅力をさらに伝えられることであろう。
広島は昔からプロ野球球団である広島カープの街と言われおり、その知名度や浸透度に違いがあるが
世界に誇れるクラブが今注目を受けているからこそ、その存在感を持って示せる必要性があるのではないであろうか。
クラブワールドカップでは、南米王者であるリバープレートと戦った後、広島の強さを実感しリスペクトし、多くのリバープレートサポーターが大阪から新幹線を使って、急遽広島の街を訪れたという。
相手チームである広島をリスペクトしたことで、ホームタウンである広島の地に足を運んでみたいという行動の表れだった。
外国人にとって、広島という地はやはり、第二次世界大戦中の忘れられない出来事、世界で初めて原爆が落とされた地としての印象が強いであろう。
平和を願う地であること、そしてサンフレッチェ広島という素晴らしいチームが在ることを知った外国人たちが、敬意を持って広島の地に降り立ったのだ。
しかし。
実際に広島の地に訪れたことで、衝撃だった外国人も少なくはなかったのではないであろうか。
世界で戦えるようなクラブがあるのだから、街はクラブワールドカップを戦うサンフレッチェ広島で溢れていることを想像したかもしれない。
その想像とはかけ離れたものだったのではないであろうか―。
サンフレッチェ広島が優勝しても、クラブワールドカップで素晴らしい戦いをしても、広島は紫色に染まった部分は一部だったことは否めない。
4年で3度優勝。
この結果は欲しくても簡単に手に入るものではない。
その強き日本サッカーを引っ張る存在のチームがあるにも関わらず、スタジアムは遠く、環境的に良い環境とはいえない。
サンフレッチェ広島を気軽な形で観れる距離感にない。ホームタウンでありながら、その距離感はトラックがあるピッチと遠い観客席以上に遠さを感じてしまう部分を持つ。
市民球場跡地という、広島カープが以前使用していた球場の跡地がある。
その地が候補と言われているが、広島に今、新スタジアム建設の具体的な予定はない。
優勝チームながら、施設面で制裁を受けて発行されるJ1ライセンス。
違和感があるのは当然である。
Jリーグは地域密着を掲げているが、チームと行政の距離感が縮まらないことには実現しない。
せっかく今、この強く素晴らしいチームがあるからこそ
たくさんの人たちにスタジアムへと足を運んでもらい、臨場感ある日本トップクラスのサッカーをホームタウンでホームタウンで生活をするたくさんの人々が同じ「広島」を胸に感じるべきではないであろうか。
エディオンスタジアムはサポーターにとっては数々の歴史を共に刻んできた特別な場所だ。
満員となり紫で染まったチャンピオンシップでの優勝は素晴らしい瞬間だった。
football感じるたくさんの人々の想いの詰まったホームスタジアムは、歓喜に溢れた。
エディオンスタジアム広島の改修も共に叫ぶのは、贅沢なことなのだろうか。
Jクラブの理想は大型のスタジアムと共に臨場感のあるスタジアム両方を共有することでもあると感じる。
もちろんそれをどちらも兼ね揃えていることも良いが、思い出や歴史も共に残していきたいというのは不可能なことなのであろうか。
広島には、サンフレッチェ広島が在る―。
今だからこそ、唱えたい。
サンフレッチェ広島をサッカーを観るために創られた場所で、観たい。
ビッグアーチはまだ23年しか経っていない。なのに新しいスタジアムを建てろ、場所は市民球場跡地以外認めない、そのうえ建設資金はカープが積み立てた金を猫糞して建てるなんて虫が良すぎる。そんなクラブをカープファン、広島出身者としては絶対に許せない。ましてやハリルホジッチ監督も「日本サッカーを強くするためにはクラブ数を削減しろ」と提言している以上広島がすべきことはサンフレッチェを潰してJリーグのクラブ淘汰の先陣を切ることだ。そうすれば広島と同じ野球文化を持つ仙台、札幌、名古屋、福岡で野球ファンが立ち上がりJリーグのクラブ淘汰時代が始まるはず。がんばれ松井市長、湯崎知事。
女装カープ男子 | 0 0 |2016/09/29|01:32 返信
一言も異論はありません。しかし、広島市内にサッカー専用スタジアムを造る話は最低1年間は結論が出ないでしょう。なぜならば「広島市の有名なスポーツ団体は”おらがカープ”のみで十分であり、他のスポーツ団体がカープ以上に有名になっては困る」という風土があるからです。私はカープも大好きですが、活力を与えてくれるカープになるには今後5年間は無理でしょう。しかし、サンフレッチェ広島は5年間は感動と活力と夢を与えてくれます。本拠地は広島市ではなく東広島市でも良いのではと。新幹線もこだまで一駅ですし、なによりも東広島市は喜んで受け入れてくれるのではないかと。
名無しさん | 1 1 |2015/12/27|20:07 返信