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【セレッソ大阪】 新規客からサポーターへ。セレッソ大阪サポーターが今変化を遂げている。【J2】

2015/07/13 14:05配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム


今季のJ2最大の目玉といって良いほどに、注目を集めたセレッソ大阪。
昨年は幼少期からセレッソ大阪で成長し海外挑戦に旅立った柿谷、そしてフォルランの加入など注目されるポイントが多く、観客動員数も劇的に増えた。
育成組織から育てた選手たちを中心に、実力と共に人気も上昇する選手を多く抱え、近年のJリーグではなかなか獲得できなかった若い層の観客を増やした。

しかし、J2降格。

J2に落ちたこと、柿谷が夏の移籍で不在となったなどが影響し、どれだけのファンが減るかと考えられていた。
が、今セレッソ大阪のサポーターには変化がある。

●短期間で増加したのではなく数年かけて徐々に増えた新規層

セレッソ大阪の人気は、爆発的に短期間で増えたと思われがちだが、その影響はジワジワと数年をかけて伸びてきた。
まず最初のきっかけはロンドン五輪。
ロンドン五輪が行われた2012年。ロンドン五輪に出場した山口蛍、扇原貴宏、杉本健勇(現川崎フロンターレ)に人気が集まった。
日本サッカーとしては五輪であっても世界の壁は厚く、上位進出は難しいと思われていたが、日本五輪代表は4位という結果を収め、世間にその存在を大きく示した。

そのロンドン五輪代表に、セレッソ大阪の選手が3名いたことで(杉本健勇はロンドン五輪代表の枠に入りたい一心で東京ヴェルディ1969に短期移籍)五輪後、人気が集中した。
観客動員数よりもまず練習場にその変化が見られた。
現在の舞洲グラウンドではなく、南津守グラウンドだった当時、週末になるとたくさんの人が殺到した。
南津守の当時のファンサービスのシステムでは人が収まりきらないほどに、徐々に人気が大きくなっていった。
柿谷が活躍を重ね注目されるようになると、さらにその人気は大きくなりユニフォームを着用する人が増え、練習場にも多くの人が詰めかけパニック状態となる日もあった。

翌年、舞洲に新しいグラウンドが誕生すると、柿谷の活躍がさらに目立つようになり、ロンドン組に加えて柿谷人気が爆発。
東アジア選手権に柿谷、山口がA代表として初めて選出され活躍すると、舞洲グラウンドには連日たくさんの人が訪れるようになった。
週末や夏休み時期などになるとその列は二重三重にもなり、大変な状況となっていた。
柿谷や山口を中心に連日1時間半から2時間といった長時間のファンサービス対応が続き、寒い日でも日が暮れても対応するその姿に
会いに行けるアイドルのような存在となり、若い女性を中心にその時期を境に爆発的に人気が高まった。

さらにそこにフォルランの加入とあって、海外サッカーファンやこれまでJリーグに興味を持たなかった層がフォルラン見たさで試合へ出向き
それまでに増えていたセレッソ大阪ファン・サポーターにさらに新たな層が加わった。

海外サッカーファンは技術の質や試合の内容の質を求める傾向にあるが、Jリーグを画面上で観ると物足りなさを感じ
足を運ばなかった人々も実際にスタジアムに足を運んでみると、自分も応援したい、自分もこの臨場感の中で戦いたいと意識が変わった人も多かったと思われる。

柿谷や山口を一目見たくて足を運んだ女性たちが、他の選手の魅力に気づき応援するという二次現象も多くみられた。
偶然ながらチームカラーがピンクだったことも女性にとっては身に付けるには抵抗のない良いカラーだったのかもしれない。

セレ女と呼ばれる若い女性を中心とした増えた観客は、目に見ても耳で聞いてもわかった。
黄色い声が聞こえるスタジアムからはサッカースタジアムに慣れた人間からするとその光景は異様であり、他サポーターたちはその光景を滑稽だと笑った。
しかし、今はどうであろう。
セレ女ブームと呼ばれたが、今のセレッソ大阪のサポーターには変化が見えることにお気づきだろうか。

●苦しい時を戦ったからこそ得た一体感

昨年は、セレッソ大阪にとって厳しい厳しいシーズンとなった。
勝てない日々が続き、結果を出せない状況になると苦しいのは選手やチームはもちろん、サポーターも同じだ。
いや。むしろ一番苦しいのはサポーターかもしれない。

勝てない―。
降格というあってはならない現実に近づくにつれ、自分たちにチームを支えるためになにができないかとサポーターは考え戦う。
弱いならもういいや、と考え離れていったファンも確かに多くいたことであろう。
一番人気の柿谷がチームを離れ、その後のセレッソ大阪から魅力を感じられずに去った人もいるであろう。

選手と同じく、サポーターも成長するものだ。
セレ女と呼ばれ周囲からは笑われるようなこともあったものの、誰もがJリーグに足を踏み入れた時、きっかけがあったはずだ。
どんなに古参サポーターであっても、女性の多くは選手へのミーハー心から始まり、サッカーとはということを時間をかけて知り、スタジアムとは、ゴール裏とは…といった在り方を学んでいくものだ。
選手を応援するがきっかけで、チームを応援することになり、チームのことを応援するためにチームのことをもっと知りたくなる。
それを理解するためにサッカー界のことが知りたくなり…と、どんどん貪欲になっていく。
そうなった時。それはすでに「サポーター」となっているのだ。

チームが苦しい状況になった時、自分たちになにかできないかと考えたはずだ。
声を枯らし戦うことで、ピッチにいる選手たちに想いを伝えること。サポーターもひとつにならなければ苦しい状況を戦えないこと。
どうやって。どういう風に。
それを示し続けたのは、セレッソ大阪を以前から応援するサポーターたちだ。

新規サポーターが増えることはチームの財政としては大きく影響し、良いことだが、
自分たちの守ってきた場を崩されるようで複雑だった想いもあったであろう。
それでもチームが大きくなるためにはと、我慢の時間を過ごし、Jリーグとは・セレッソ大阪とはということを まだわからない新しいサポーターたちに
時には優しく時には厳しく、議論を繰り返しながらも、その姿をブレることなく伝え続けた。

サポーターは戦っていた。
降格を体験したことのあるサポーターを中心に、選手たちと共に戦い続けた。
その姿に呼応されるように、若い女性を中心とした黄色い声響くゴール裏から徐々に変化が観られるようになった。

降格という厳しい現実を目の前にした時は
降格を阻止しようと戦い全身全霊戦ったコアなサポーターたちは立ち尽くし、目の前の現実をしっかりと焼き付けた。
そこにはJ2で戦う覚悟が含まれていたからだ。
はじめてJ1で戦うことの厳しさを体験し、降格するという現実を迎えた新しいサポーターたちは、涙を流していた。
その涙を、たった一年やそこら観てきただけでなにがわかるという人もいるかもしれないが、それでもそこには大きい小さいは図ることはできないが
共通の悔しさがあったはずだ。

J2で戦うことになり、離れた層も存在したであろう。
やっぱりJ1が観たいと他のチームに移行したり、新たなるヒーローが生まれそこに移行したかもしれない。
それもサッカーを知ったからこそ他に魅力を感じ移るのならば、入口がセレッソ大阪だった立派な「サポーター」となっているということではないだろうか。
セレッソを知ったからこそサッカーを知り、他を知ることができた。Jリーグサポーターを生んだのだ。

もちろん、残ったサポーターも多くいる。
苦しい時を経験したからこそ知った、「サポーター」とは。という在り方。
まだ日は浅いかもしれないが、それでも必死に戦う、応援するという道を選択し、戦っているサポーターが増えたのだ。
最初は軽い気持ちだったかもしれない。それでも戦うことで得る全員での歓びやスタジアムで一瞬を逃さず観ているからこその悔しさ、練習で努力を重ねる時間を観ているからこそ練習のプレーが生きた瞬間の感動…そういう「特別」なものと出会ったことで、いつの間にかチームを中心とした生活スタイルとなり「サポーター」として歩み始めたのではないだろうか。

サポーターへの「きっかけ」を与えたのは選手でもなくチームでもなく。
ずっと応援し続けてきた セレッソ大阪サポーターたちの姿だ。
示し続けてきたサポーターの姿を観て、新たなサポーターが生まれるのだ。

セレッソ大阪は昨年の苦しい終盤から、試合前にゴール裏のサポーターたちが肩を組み、全員が繋がりひとつになって歌い、跳ぶ。
ゴール裏を揺れる一体感で統一し、スタジアムを戦う空気として創り出すことを続けている。

最近のセレッソサポーターを観た他サポーターから セレッソのサポーター変わったね。
そんな言葉をよく耳にするようになった。

セレッソ大阪。
今季J2の目玉でありながら、なかなか思うように勝ちきれずにいるものの現在は4位浮上。
一年での昇格へ向け、挑戦し続けている最中だ。
昨年はサポーターとしての歴史は浅いサポーターが多かった中でも、全員でなんとかひとつになることを表現し、チームを支え続けたものの降格を免れることはできなかった。
だが、苦しい時を共に戦ったからこそひとつになれた手ごたえもあったはずだ。

昇格にも一体となることが必要だ。
それをたくさんのサポーターが意識している。
全員で同じところに向かわなければ、昇格を手にすることはできないという
厳しく難しい道を理解し、戦い続けている。

覚悟を持った「サポーター」が増えた。

もちろんまだまだアイドルを観に来るような感覚で来ている人たちもいるかもしれない。全員ではないにしろそれでもライト層と呼ぶには申し訳ないほどにサポーターとして急成長する女子たちの姿は、勇敢だ。

応援への入り口は人それぞれだ。
そのきっかけを持って選手に、チームにそしてサッカーに魅力を感じ
たくさんのことを学び、知り、吸収する。

成長したサポーターが多く存在するセレッソ大阪は今、たくさんの新規ファンの中から「サポーター」が増えている。
なでしこの活躍など日本の女性の強さが注目される今、サポーターの世界でも女性の強さが発揮される時代を作るのは、セレッソサポーターが発する新しい形になるかもしれない。

選手だけでも、チームだけでもJリーグは成り立たない。
サポーターも主役の一人だ。


セレ女でなにが悪い。

胸を張って、Jリーグを引っ張るひとつの存在へとなることに期待したい。

Good!!(89%) Bad!!(10%)

きっかけは様々だけど、自分も千葉県出身でありながらジェフやレイソルよりもセレッソ大阪の魅力に惹かれサポーターになって21年。例え今年の様にJ2に降格してもセレッソ大阪を愛する気持ちは変わらないし、毎回試合観戦が楽しみで仕方ないですよ❗

ビバあっきー  Good!!2 イエローカード0 2015/07/15|19:34 返信

社会現象とまで言われたセレ女ブームは去りましたが、今J2のセレッソを応援するサポーターはブームを超えて進化したサポーターです。目標は明確、J1昇格!

ishi245  Good!!8 イエローカード0 2015/07/13|18:33 返信

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