浦和とリバプールに見る、自然発生応援の難しさ
2014/04/21 14:03配信
カテゴリ:コラム
こんにちは。
浦和レッズは、先日のゴール裏入場ゲートへの差別的横断幕掲出問題を受け、応援をリードしていた11のサポーターグループが解散し、3月29日の神戸戦からは、応援をリードするコールリーダーや太鼓なしで応援しています。
そのため、サポーターそれぞれがコールや応援歌を始め、それに他のサポーターが呼応するという、自然発生的な応援スタイルとなっています。
このスタイルだと、より多くのサポーターに当事者意識が生まれ、自主性の強いサポートが可能となります。
しかし、太鼓がないことで、気持ちがはやってコールや歌のテンポが速くなってしまう人と、通常のテンポで歌う人の間でズレが生じ、リズムがバラバラになってしまうこともあります。
実際に現在の浦和のゴール裏でもこのような現象が起こっており、その度にみんなでリズムを合わせようと努めています。
また、コールリーダーがいないことによる問題もあります。
それは劣勢時のサポートについてです。
イングランドのプレミアリーグなどでもこのスタイルで応援が行われていますが、劣勢時にはかなり元気がなくなってしまうことが多いのです。
先日、24年ぶりのリーグ優勝に迫るリバプールと、3位のマンチェスター・シティの大一番が、リバプールのホーム、アンフィールドで行われました。
リバプールサポーターは試合開始から大ボリュームのサポートでチームを後押しし、勢いに乗ったチームは幸先よく2点を先制しました。
しかし、マンチェスター・シティに1点を返されると、スタジアムは静まってしまい、そのまま追いつかれてしまいました。
結果的には、その後相手のミスからリバプールが1点を取り、勝利し、優勝に大きく近づくことになりましたが、その雰囲気を感じ、コールリーダーがいないことによる難しさを感じました。
その試合が重要であればあるほど、サポーターの感情の起伏は大きくなるものであり、このような状況になりやすいのです。
浦和にも過去に、同じようなケースがありました。
2007年のアジアチャンピオンズリーグ準決勝の第2戦。
Jリーグ勢初のアジアチャンピオンズリーグ制覇を目指す浦和は、第1戦を引き分けてホームで迎えたこの大一番で、先制したものの、逆転を許してしまいました。
チーム、サポーターのこの大会に懸ける意気込みは凄まじく、その分逆転された時の落胆は大きかったですが、コールリーダーを中心に気持ちを切り替えてサポートし、同点に追いつき、PK戦の末に勝利。
そのまま決勝戦にも勝利し、アジア制覇を成し遂げました。
この試合でもし今のスタイルで応援していたら勝てていたかどうか。
それはわかりません。
ただ、気持ちを切り替えてあきらめずにサポートしたことが結果に影響を与えたことは、あの場にいた者として断言できます。
浦和のゴール裏は今、最もチームにとって良い形を見つけようと試行錯誤しています。
しかし、浦和のゴール裏にはこのアジアチャンピオンズリーグのような経験をしてきた方がたくさんいらっしゃるので、きっと最良の道を見つけられると思います。
それが昨年までのスタイルなのか、今のスタイルなのか、全く別のスタイルなのかはまだわかりませんが、多くの人が意見を交わし、みんなで最高のゴール裏を作っていければ良いなと思っています。