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【アビスパ福岡】 新生アビスパ福岡 開幕3連敗から得た課題は10戦負けなしという結果を生んだ 【J2】

2015/05/13 17:59配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


2011年。
アビスパ福岡はその後昇格し、J1で戦ったものの一年で降格。
それからJ1の舞台からは遠ざかっている。
まだJ2がなく、JFLからJに昇格したことも入れると昇格経験は3度。

2012年から再びJ2で戦うも苦しい戦いが続き、二桁順位が定位置のようになってしまって3シーズンが過ぎた今年。
アビスパ福岡は大きな革命を起こした。

今季からは改めてJ1昇格を狙い、そしてJ1に定着し、将来的にはJ1優勝を目指すというアビスパ福岡の目指す新たなストーリーを目指しスタートを切った。

●着手したクラブ大改革

アビスパ福岡といえば一昨年の経営危機が記憶に新しい。資金がショートしてしまうかもしれないという報道が出ると、その後その事実を認めSOSを発信した。
選手たちへの報酬の支払いもこのままでは滞ってしまうと涙ながらに訴えた直後、インターネットを中心としてアビスパ福岡のサポーターはもちろん、全国のサッカーファンにその声が届き、支援という形で大株主であるふくやから販売された博多の明太子が予想を上回る形で販売数を越え、たくさんの人たちから支援が集まった。
そのおかげもあり、なんとかアビスパ福岡は一時的に危機を脱出した。
しかし、一時の最悪の状況は免れたものの、それでも危機的な状況にありライセンス審査直前までその見通しはただず厳しい状況にあった福岡を救ったのが福岡市発祥で基幹・業務系システムの開発やWebアプリの開発を手がけるシステムソフト。
懸念されていた債務超過の解消、Jリーグクラブライセンス制度の剥奪は回避され、システムソフトがアビスパ福岡の筆頭株主となった。
システムソフト社長の吉尾春樹氏とシステムソフトの親会社であるアパマンショップホールディングス常務取締役(アパマンショップネットワーク代表取締役・あるあるCity代表取締役)の川森敬史氏が新たに非常勤の取締役に就任し、川森氏は社長に就任した。
クラブのトップが変わり、筆頭株主が変わり、ここから大きなアビスパ福岡再建…いや、今までにないほど大きなアビスパ福岡の今後を目指す道が始まった。

アパマンといえば日本を代表する不動産業界の大手。近年FCバルセロナへのパートナースポンサーとなり大きなニュースとなったが、アビスパ福岡を今までの位置ではなく強化しJ1で優勝できるクラブに成長させ100万人が足を運ぶようなクラブにしたいと明言。
今季はそのスタートということで10億円規模の資金を用意し、アビスパ福岡のフロントから現場までテコ入れを開始した。

新生アビスパ福岡の監督を託されたのは井原正巳監督。
井原監督は選手時代、日本代表で長くプレーしアジアの壁と称されたセンターバックだった。
リベロと呼ばれるポジションを日本サッカーに浸透させたのは井原監督が選手時代に築いたものだ。
引退後、指導者の道へと進みU-23コーチとして北京五輪チームで指導し、その後柏レイソルでネルシーニョ監督の右腕として指導者として経験を重ねた。

新生アビスパ福岡へと連れたのはコーチ三浦文丈氏。そして強化部長の鈴木健仁氏だ。
横浜マリノス一次黄金期であるはじめてのリーグ制覇を果たした時に、井原監督はキャプテンとして、三浦文丈氏は10番として、そして鈴木健仁氏はサイドバックの選手として活躍したチームメイトなのだ。
三浦文丈氏はアルビレックス新潟でコーチなどを務め、鈴木健仁氏は同じくアルビレックス新潟で強化部スカウトとして選手たちから信頼されるスタッフを務めてきた。
チームメイトだった3人が新たな道へと進むために再結集したのだ。昔共にプレーし、引退してからかなりの年数が経過したがまた再び集まり同じ目標に向かって共に目指す。そこには深い絆がすでに存在しているのだ。

それぞれ自分たちのいた場所に別れを告げ向かった先は、福岡の地。

アビスパ福岡を強くするため。
理由はその一点だ。


●現在10戦負けなし

今季の福岡は大々的にチーム改革を行うとのことで開幕前から注目を集めたが、開幕戦から3試合は3連敗と結果が振るわず、突然のチーム改革では難しいかと思われた。
福岡はまだまだやりたいことが浸透していないというサッカーを見せ、今季はまだ難しいかと思われたが、今、その印象はなんだったのかというほどに覆している。
現在、負け無しの状態が続き、現在ではついに負け無し10戦を重ねた。

中でも大きかったのは昨年までJ1で大きな話題となり注目度も高い優勝候補の一角であるセレッソ大阪、そして現在首位を走るジュビロ磐田に勝利という結果を残したことだ。
昇格候補といわれるチームに勝利したことで、福岡のサッカーに選手たちが自信を持つことができたであろう。

井原監督の掲げるサッカーは、献身的サッカー。
理想のクラブとして昨年リーガ・エスパニューラを2強クラブをおさえて優勝したアトレチコ・マドリードを挙げている。

アトレチコのサッカーといえば、献身的かつ謙虚であり、チームのために全員が走るサッカーだ。
全員がアグレッシブに動き、FWの選手であっても献身的に守備に動く。
そして奪ったボールで一気に攻撃を仕掛けるといった全員守備全員攻撃、一人一人がチームの勝利のために個ではなくチームとして戦えるチーム作りを目指している。

実際、得点を奪うシーンでも、守備のシーンやボールを奪いにプレスにいくシーンでも、全員がうまく連動し、動いているのがわかる。
熟成こそされていないが、キャンプを経てリーグがはじまり敗戦を重ねたことで見えた課題を試合を重ねながら修正していることがわかる。

井原サッカーの浸透が徐々に徐々に形となり、結果を手に入れることで選手たちに自信という強いメンタルを植え付けている。

10戦負け無しは2度目の昇格をした2005年の9戦負けなしの記録を越えた。
今年はJ2戦国時代と言われているが、その戦国時代の中でアビスパ福岡は現在5位。プレーオフ圏内に付けている。
まだまだリーグは1/4を越えたところだが、現在この位置に付けていることはプラスであることは間違いない。

試合を重ねながらアビスパ福岡「らしさ」を作りつつあるからこそ、今後熟成したときに今以上の強さを発揮することができる時、アビスパはもう一歩ステップを踏むことになるであろう。

●選手たちを理解し、良さを最大限に引き出す

現在のアビスパ福岡の選手たちを見ていると、選手たちがやりがいを感じながらサッカーをしているのが伝わってくる。
中でも注目したいのは阿部巧だ。

阿部巧をはじめてみた時は無敵といわれたFC東京U-18時代。
その頃は、世代№1FWと呼ばれた重松健太郎(現町田ゼルビア)と共に、サイドバックの選手として背は大きくないが圧倒的な突破力で注目を集めていた。
16歳の頃からトップチームのサテライトの試合に出場し、その実力を認められトップ昇格を果たしたものの、層の厚いFC東京ではなかなか出場する機会がなく横浜FCへとレンタル移籍。
横浜FCとFC東京を二度往復しているが、横浜FCでは定位置を掴み豊富な運動量と元々攻撃的な選手だった頃に培った攻撃のセンス、そして積極性を持ってJ2で活躍した。
東京を離れ完全移籍した松本山雅でも思うようにコンスタントな出場はできず、2014年からアビスパ福岡の一員となった阿部。

昨年も34試合に出場し、チーム屈指の体力の持ち主となり、サイドを上下に走る献身さが目立った。
その献身さは献身的なサッカーを目標に掲げる井原サッカーにしっかりと当てはまっている今、存在感が大きい。

今季の福岡のサッカーにおいて阿部の運動量と積極性は大きな武器となっており、阿部巧の持つ本来の良さを十二分に発揮することができているように思える。

監督として求められることのひとつは、選手の持っている力を引き出せることだ。

井原監督の元でプレーする選手たちは阿部をはじめ、選手の能力を存分に出すことができているように感じる。
選手の持っている能力を引き出せる監督は選手の特性をしっかりと把握し生かすためにどう動かせば良いかを考え、起用している証だ。

献身的な守備からいつでもカウンターの準備ができている福岡。
かといってドン引きのサッカーではなく、前線は相手にプレスをかけつつ飛び出しにも備えている。

実際のピッチでプレーする選手たちの手ごたえを感じているからこそ、浸透度が早まり今負けの無いことで自信をつけ、前に進んでいるアビスパ福岡。
開幕の3連敗があったからこその 今なのかもしれない。
課題を修正する期間もチームを創る上で大切なことなのだ。

アビスパ福岡は今年でチーム創立20周年を迎えた。
今年のスローガンは福岡MOVEMENT 鼓動。躍動。感動。

ムーブメントとは世の中に在る動きや流れを指す言葉だ。
アビスパ福岡は今、新たな動き出しを始めたのだ。
そこから感じたい鼓動、躍動、そして感動。
それを生む力をアビスパ福岡は持って戦いたいとスローガンに挙げている。

ピッチでの表現する現場、そしてクラブを運営するフロント両面で大きな改革を進めている。
同じところを目指していくため、現場とフロントの連携・連動を潤滑にしクラブとして現場に求めること、現場がクラブに求めることを確認し、意思統一がなされている。


アトレチコ・マドリードは18年ぶりにリーガの頂点に立った。
FCバルセロナとレアル・マドリードという世界で見ても最高峰にある、2大クラブを押さえて頂点に立った。

今年のJ2は戦国時代。
ジュビロ磐田にジェフ千葉、セレッソ大阪に大宮アルディージャと資金力を持ち力をもあるクラブが数多く存在する。
その中で、金沢のような下剋上クラブも今勝ち点を重ね注目を集めているが、アビスパ福岡は1試合1試合コツコツと勝ち点を重ねてきた。

まだまだ戦いはこれから。
アビスパ福岡がJ2の主導権を 握るかもしれない―。


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