「大観衆だと勝てない!」FC東京が9年ぶりに破ったジンクスを振り返る。
2014/04/20 08:53配信
カテゴリ:コラム
4万人超の観衆が味スタに集結
J1リーグ第8節、FC東京vsセレッソ大阪は平山と武藤のゴールで2-0でFC東京が勝利しましたね。
この試合、日本代表の期待の柿谷とフォルラン人気もあり、チケットは早い段階で完売。
味の素スタジアムには4万人を超える観衆が集まりました。
調布市とはいえ、人口が密集し流行の影響を受けやすい首都東京に本拠地を置くFC東京のチケットの売れ行きは、その時代の人気を測るバロメーターでもあります。
2000年代初めは、鹿島アントラーズ戦が多くの観衆を集め、2002~2004年はジュビロ磐田や横浜Fマリノスの試合が観客を集めました。
2004年頃からは、浦和レッズの時代が続き、ホーム浦和戦は毎試合ソールドアウト状態となりました。
その後、鹿島アントラーズが3連覇を達成すると、鹿島アントラーズ戦の観客動員数が増加しました。
そして現在、Jリーグで最もホットなクラブが、柿谷曜一朗を中心とした日本代表候補が多く在籍し、世界のビッグネームであるフォルランが加入したセレッソ大阪です。
昨シーズン、4万人を超える観客を集めたこのクラブは、昨年以上の人気を見せつけて、前売りチケットは試合の3日前に完売しました。
ここ数年、観客動員数が伸び悩んでいるFC東京にとっては、普段スタジアムに足を運ばない層にファンになってもらうチャンス。
他力とはいえ嬉しい限り。
しかし、FC東京にはこの大観衆が集まるこの試合を、純粋に楽しみにできない理由がありました。
それは、「大観衆が集まる試合では勝てない」というジンクスがあるためです。
9年間、大観衆の前で勝てないFC東京
味の素スタジアムの満員率75%である約37,000人を大観衆として定義して戦績を振り返ってみます。
ホームの大観衆の声援を背に普通なら勝率が高まりそうなものですが、そこには以外にも正反対の戦績を見ることができます。
満員率75%(37,000人と定義)以上の戦績
2001年 | 第1節(1st) | ◯2-1 | 44,030人 | vs 東京ヴェルディ1969 |
2001年 | 第13節(1st) | ◯2-0 | 48,521人 | vs 鹿島アントラーズ |
2002年 | 第9節(1st) | ●0-2 | 45,925人 | vs ジュビロ磐田 |
2004年 | 第6節(2nd) | ◯1-0 | 41,469人 | vs 浦和レッズ |
2005年 | 第6節 | ●0-2 | 40,113人 | vs 浦和レッズ |
2005年 | 第10節 | ●0-2 | 40,300人 | vs 鹿島アントラーズ |
2005年 | 第17節 | ◯4-0 | 43,104人 | vs 横浜F・マリノス |
2006年 | 第33節 | △0-0 | 41,528人 | vs 浦和レッズ |
2007年 | 第15節 | ●0-2 | 38,439人 | vs 浦和レッズ |
2008年 | 第21節 | ●0-1 | 37,154人 | vs 浦和レッズ |
2009年 | 第31節 | ●0-1 | 40,701人 | vs 浦和レッズ |
2013年 | 第31節 | ●1-2 | 40,371人 | vs セレッソ大阪 |
2004年までは3勝1敗と、ホームの大観衆が良い方に影響していたのですが、どういう訳か2005年からは大観衆の御前試合で1勝1分6敗と散々な成績となっています。
これでは、せっかくスタジアムに足を運んでくれた人が、FC東京に興味を持ってくれなくても仕方がないかも。。
ヒーローインタビューで権田が「前日ミーティングで、社長に"大観衆だと勝てない"というのはやめてくれ!と言われた」と笑顔で話していましたが、確かに経営的にはこのジンクスは厳しすぎます。。
観客数が3万人以上だと…
ちなみに、「大観衆」の定義を少し緩くして、観客数3万人以上でも戦績を見てみました。
観客数3万人以上の戦績
2000年 | 第10節(2nd) | △1-1 | 33,892人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2001年 | 第1節(1st) | ◯2-1 | 44,030人 | vs 東京ヴェルディ1969 | |
2001年 | 第13節(1st) | ◯2-0 | 48,521人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2002年 | 第1節(1st) | ◯4-2 | 30,651人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2002年 | 第9節(1st) | ●0-2 | 45,925人 | vs ジュビロ磐田 | |
2002年 | 第14節(2nd) | ◯1-0 | 36,151人 | vs 浦和レッズ | |
2003年 | 第3節(2nd) | ◯4-1 | 35,109人 | vs 横浜F・マリノス | |
2003年 | 第7節(2nd) | ●1-2 | 33,880人 | vs ジュビロ磐田 | |
2003年 | 第10節(2nd) | △1-1 | 30,066人 | vs 浦和レッズ | |
2003年 | 第14節(2nd) | △1-1 | 32,781人 | vs 東京ヴェルディ1969 | |
2004年 | 第1節(1st) | ◯1-0 | 35,880人 | vs アルビレックス新潟 | |
2004年 | 第7節(1st) | ●0-2 | 35,680人 | vs 横浜F・マリノス | |
2004年 | 第6節(2nd) | ◯1-0 | 41,469人 | vs 浦和レッズ | |
2005年 | 第4節 | ◯1-0 | 32,049人 | vs ジュビロ磐田 | |
2005年 | 第6節 | ●0-2 | 40,113人 | vs 浦和レッズ | |
2005年 | 第10節 | ●0-2 | 40,300人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2005年 | 第17節 | ◯4-0 | 43,104人 | vs 横浜F・マリノス | |
2005年 | 第29節 | ◯2-1 | 34,848人 | vs ガンバ大阪 | |
2006年 | 第16節 | ●0-2 | 31,684人 | vs サンフレッチェ広島 | |
2006年 | 第28節 | ◯3-2 | 36,161人 | vs ガンバ大阪 | |
2006年 | 第33節 | △0-0 | 41,528人 | vs 浦和レッズ | |
2007年 | 第9節 | ●1-2 | 30,436人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2007年 | 第15節 | ●0-2 | 38,439人 | vs 浦和レッズ | |
2007年 | 第26節 | ◯2-0 | 30,363人 | vs 清水エスパルス | |
2007年 | 第30節 | ●0-7 | 30,494人 | vs 川崎フロンターレ | |
2007年 | 第32節 | △1-1 | 30,157人 | vs ガンバ大阪 | |
2008年 | 第11節 | ●0-1 | 30,825人 | vs 名古屋グランパス | |
2008年 | 第21節 | ●0-1 | 37,154人 | vs 浦和レッズ | |
2008年 | 第28節 | ●1-5 | 30,410人 | vs 清水エスパルス | |
2008年 | 第30節 | ◯3-2 | 33,596人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2008年 | 第33節 | ◯1-0 | 35,172人 | vs アルビレックス新潟 | |
2009年 | 第5節 | ●1-2 | 32,913人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2009年 | 第31節 | ●0-1 | 40,701人 | vs 浦和レッズ | |
2010年 | 第6節 | △1-1 | 30,672人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2011年 | 第33節 | △1-1 | 35,911人 | vs 東京ヴェルディ | |
2012年 | 第13節 | △1-1 | 33,836人 | vs 浦和レッズ | |
2012年 | 第26節 | ●1-2 | 34,822人 | vs 川崎フロンターレ | |
2012年 | 第34節 | ◯6-2 | 30,944人 | vs ベガルタ仙台 | |
2013年 | 第21節 | ●0-2 | 30,698人 | vs 横浜F・マリノス | |
2013年 | 第25節 | ◯3-2 | 34,756人 | vs 浦和レッズ | |
2013年 | 第28節 | ●1-4 | 30,673人 | vs 鹿島アントラーズ | |
2013年 | 第31節 | ●1-2 | 40,371人 | vs セレッソ大阪 |
通算16勝8分18敗。
こう見ると五分五分のような印象ですが、やはり2005年シーズンを境に急激に成績が変わっています。
2004年までは、7勝3分3敗と大観衆を味方につけた成績となっていますが、2005年には3勝2敗と少し怪しい影が…。
そして、2006年からは6勝5分13敗と大きく負け越しています。
少し傾向が見えづらいので、勝利を+3pt、引き分けは0pt、負けを-3ptでグラフにするとより傾向が明らかです。
勝利を3pt、引き分けを0pt、負けを-3ptとした推移
負けが増えてきた2007年頃といえば、ササや平山、伊野波、ワンチョペ、福西など、ビッグネームや将来有望株の補強に成功して、本格的に強豪クラブ化を目指して急激に選手層が厚くなった時期です。
今でこそ華々しい経歴を持つ選手が集まっていますが、この頃のFC東京は浅利や藤山、戸田といった苦労を知った泥臭い経歴を持つ選手がチームを支えていました。
そんな時代から、華々しい経歴を持つ選手達への転換期。
観客の声援をそのまま力に変えることができる選手は、若いころに陽の光が当たりづらかった苦労を知った選手達なのかもしれない、と思うと興味深いです。
見事9年ぶりに勝利
この黒星の多い戦績にようやく、
2014年 | 第8節 | ◯2-0 | 40,761人 | vs セレッソ大阪 |
という白星の一行を追加することができました。
普段スタジアムに来ない人たちに、満員のスタジアム体験と勝利したFC東京の姿を見せられたことで、FC東京の選手も社長もひと安心したことと思います。
柿谷やフォルランを見に来たお客さんにとっては少し残念な試合となったかもしれませんが、Jリーグに全体にとっても、こういったビッグマッチできちんとホームチームが勝つということは「観客の増加」という点では大切なことではないかと思います。
大観衆とは選手のモチベーションとなる一方で、一歩間違えば重圧にも変わってしまうことも…。
FC東京のようなジンクスを持つクラブが増えないことを祈ってます。
「調布市とはいえ」の一文がなければいいのに・・・
名無しさん | 2 3 |2014/04/20|19:03 返信