カズ、48歳で現役続行に思う。サッカー選手の価値は「試合中のプレー」だけではない。
2014/11/24 16:57配信
カテゴリ:コラム
【出典:横浜FC、公式サイト】
カズ(三浦知良)は、48歳となる来季も現役を続行することを表明しました。
所属クラブである横浜FCからも契約延長のオファーが届いているため、プロ30年目の48歳となるシーズンも現役としてプレーすることがほぼ決まったことになります。
この発表があると毎度「レジェンドだからクビにできない」「自ら辞めるべき」「宣伝目的の契約でしょ」と冷ややかな意見を耳にすることもあります。
しかし、この意見を聞く度に思うことがあります。
それは、選手の価値は「試合中のプレーだけなのか?」という疑問です。
試合は、クラブの活動全体の中での「ごく一部」
当然、サッカー選手はチームを勝利に導くために契約をして、年俸をもらいます。
チームを勝利に導くためには、試合でプレーすることが最も直接的な貢献方法です。
従って、試合中のプレーが選手の大きな評価基準となり、試合に出場できない選手を評価することはできないという理屈は、当然理解できます。
しかし、チームを勝利に導くためにできることは、「試合中でのプレー」だけでしょうか。
間違いなく、それは違います。
ファンからすると、分かりやすく目に見えるのは、「試合」です。
しかし、クラブからすれば、チームは日々稼働しており、「試合」は1週間のうちのわずか2時間に過ぎません。
勝利のために選手は試合でプレーをするわけですが、試合でプレーをするために選手は日々練習をしているのです。
「試合の結果」は「練習の結果」であるわけですから、練習こそがクラブの活動の中で特に大切と言っても過言ではありません。
チームは試合以外に費やす時間の方が圧倒的に多く、その練習をいかに濃密に行うかは、「試合で勝つため」にとても重要なことです。
その練習において、場を締めてチームの統率することや、モチベーションを高めること、ムード作り、若手の模範となること、等はとても大切なこと。
それは「試合以外のプレー」と呼べるかもしれません。
この「試合以外のプレー」の部分で貢献している選手も同様に、「チームが勝つ」ために貢献していると言うべきではないでしょうか。
カズがチームに在籍していることで、得られるもの。
カズは今期、出場わずか2試合4分という出場に終わりました。
本人が「プロとして失格」と話すように、年齢を考えれば普通は契約を打ち切られても不思議のない成績です。
しかし、横浜FCはカズに契約延長のオファーをしました。
それは何故でしょうか?
カズについていえば、当然マーケティング要素がオファー理由の中に含まれていることは間違いないと思います。
やはり、カズの人気は健在ですし、「横浜FCの試合に行けばカズが見れる」というのは横浜FCの大きな広告塔です。
また、カズ本人のコネクションやメディア露出力に敵う選手は中田英寿以外、そうはいないでしょう。
ただし、私は「マーケティング目的」以上に、横浜FCというクラブは「試合に勝つため」にカズにオファーをしている部分も、同じように強いと思っています。
カズは年を取るごとに、思考が成熟し、かといって若手の頃のようなギラギラとした向上心も持っています。
ファンから見ても、とても魅力的な選手です。
そんなカズのような48歳を迎えようとしている選手が、隣で一切の妥協なく練習をしている姿を若手が見たら?
選手はより真剣になって練習に打ち込み、プロサッカー選手である幸せを感じ、練習もより密度の濃いものになると思います。
他のチームでも、少し上手いばかりに調子に乗ってしまう若手や、試合に出られず腐ってしまう選手、という話はよく聞きます。
そんなときに、プロ生活30年のカズがだから掛けられる言葉があり、カズの言葉だから勇気付けられることもあると思います。
これも、結束が大切なチームスポーツにおいては、とても大きな貢献だと思います。
また、横浜FCのような決して強いクラブではない場合、補強面でも有利に働くと思います。
横浜FCは、誤解を恐れずに言えば、J2でも決して強豪とはいえないクラブです。
J2が22チームと大所帯となった今、「選手に選ばれる理由」をクラブが持つことはとても重要です。
カズは、その実績、スター性、プロフェッショナルな姿勢から、サッカー選手からの信望も当然ながら厚いです。
複数オファーが集まった時、「カズが現役のうちに一緒にプレーしたい」と思う選手もいるでしょうし、カズがいることで良い選手を獲得できる機会も増えることもあり得ます。
カズは来年で48歳。
普通に考えて20代の選手と同じパフォーマンスでプレーをすることは難しいかもしれません。
しかし、カズがプロであり続けられるのは、単に「レジェンドだから」「マーケティング目的だから」ではなく、この年になっても若手と変わらず日々の練習に真剣に打ち込む。
そんなプロフェッショナルの鏡のような毎日を繰り返すことで、「カズがチームにいた方が、チームが強くなる」とファンやクラブに思わせている。
このような、「試合中のプレー」以外の貢献を、決して蔑ろにしてはいけないと思います。
FC東京を例に見る、平松大志
【出典:wikipedia】
この話は、何もカズに限った話ではありません。
皆さんのクラブでも、試合にはあまり出ていないのに、契約更新をし続けている選手はいませんでしょうか?
ファンにとってははあまり目立たない存在でも、きっとその選手はチームに貢献している選手であるはずです。
例えば、私はFC東京のファンですので、FC東京に在籍した平松大志を例に出させて頂きます。
2013年で引退をしてしまった平松大志。
平松は2009年に期待の主力として水戸から加入するも、出場はわずか7試合と実績を残すことができずに終わります。
「今年こそ」と迎えた2010年シーズンでしたが、4月にアキレス腱を断裂。
すると、その怪我を契約が満了する2011年シーズン末まで、ほぼ丸2シーズンを棒に振ってしまいます。
「試合中のプレー」だけをみると、獲得してからほぼ3シーズンチームに貢献していないわけですから、厳しいですが契約満了となっても仕方がありません。
しかし、FC東京は2012年シーズンも平松と契約更新をしています。
そして迎えた2012年シーズンに平松は再びアキレス腱の部分断裂するという不運…。シーズンオフまでに復帰できずに2012年も出場試合数は0。
それでも、FC東京は2013年も出場数が0だった平松と契約更新をしているのです。
怪我で不運とはいえ、プロの世界でほぼ試合出場のない選手に対してこれだけ契約更新を重ねるとは極めて異例。
それは、平松大志の持つ底抜けの明るいキャラクター。チームのムードを作り出す力。
試合に出ていないとはいえ、チームが試合で勝利するために「平松は必要」と判断したからに他なりません。
それは、同じ時期に2シーズン連続で左右の前十字靭帯断裂という不運に見舞われた米本拓司が、「平松の励ましに救われた」と話したことからも、その貢献は明らかです。
サッカーは11人のチームスポーツではなく、クラブ全体のチームスポーツ
サッカー選手は、試合中のプレーで評価されるのが本筋であることに異論を唱えるつもりはありません。
しかし、このように、プレーでの貢献以外でもチームに貢献することができるという視野を、冷ややかなコメントをする人には知ってほしいと思っています。
また、カズ自身が47歳になってもこのように周囲に思わせているのは、決して「レジェンドだから」といった簡単なものではなく、日々妥協なく練習に打ち込んでいる「試合以外のプレー」が、他の選手を大きく上回っているからに違いありません。
これは、世界的に見ても、十分に尊敬に値する実績だと、私は思います。
また、今回の記事では、プレー以外の部分にフォーカスしていますが、選手はそれぞれ「プレーで評価されたい」と思っているのは間違いないと思いますし、カズ本人もそう言っています。
決して、「カズのプレーがプロの基準に満たない」と言っている訳ではありません。
サッカーはチームスポーツです。
それも、11人のチームスポーツではなく、クラブ全体で行われるチームスポーツです。
「試合中のプレー」で勝利に貢献できなかった選手でも、勝利に大きく貢献している選手がいること。
ここに少しでもスポットが当たればと思います。
これ書いた人は山口素弘と鄭容臺がなんで辞めたのか知らないのかね。
名無しさん | 1 0 |2016/02/26|13:57 返信
ベンチ枠が1つハンデを背負っている状態。
名無しさん | 1 8 |2014/11/24|21:34 返信
カズは日本の誇り!
名無しさん | 0 0 |2014/11/24|18:45 返信
平松、懐かしい。
名無しさん | 0 0 |2014/11/24|17:57 返信