サポーターが選手に惚れる瞬間
2014/08/13 12:42配信
カテゴリ:コラム
こんにちは。
前回の記事を色々なサッカーサイトや有名なブロガーさんに紹介していただき、多くの方々に読んでいただきとても光栄です。
ありがとうございました!
さて、今回は打って変わって、サポーターについてのお話です。
サポーターが選手への愛を深めるきっかけについて、実体験を基に書いてみたいと思います。
サポーターが選手に愛情を込めて応援し、選手はその愛に応え、サポーターやクラブを愛す。
これはサポーターと選手の理想的な関係と言えますが、いくらサポーターといえども、贔屓の選手、より応援したくなる選手というのはいるものです。
では、サポーターがより応援したくなる選手とはどのような選手なのか。
選手への愛を深めるきっかけとは何なのか。
私は自分の実体験からきっかけは主に3つあると考えています。
1つ目はもちろん、その選手のプレーに魅了されたときです。
選手が自分の魅力、思いをサポーターに最も強くアピールできるのはピッチ上です。
そこでの選手たちの華麗な技術、驚異的な身体能力、献身的なプレー、がむしゃらに走る姿勢などにサポーターは魅了され、選手への思いを深めるのです。
特に熱狂的なサポーターは、美しいプレーよりも泥臭くチームのためにがむしゃらにプレーする姿に惹かれるケースが多いと個人的には感じています。
このような選手の最たる例は元浦和レッズ、現アルビレックス新潟の田中達也でしょう。
達也はずいぶんと人見知りらしく、サポーターとの距離を自ら縮めるような言動は一切せず、試合後のインタビューでのサポーターへのメッセージもサポーターの心を掴むものとは言えません。
しかし浦和時代、彼は老若男女誰からも愛される選手であり、それは新潟でも変わらないようです。
その理由は彼の試合での姿勢にあります。
相手を次々とかわすドリブルや抜群のスピードも達也の魅力ですが、チームのために鬼のような形相でどんな時でもあきらめずにボールを追いかけ続ける姿に何よりサポーターは惹かれるのです。
また現浦和レッズキャプテンの阿部勇樹がサポーターの心を鷲掴みにしたのも必死のプレーによってでした。
アジアナンバーワンのクラブチームを決める大会、アジアチャンピオンズリーグの2007年大会の準決勝、城南一和戦は両者一歩も譲らない激闘となり、PK戦にまでもつれこみました。
その試合で阿部は、相手の攻撃の芽を最後まで摘み続け、試合後には歩けなくなるほどまで戦い抜き、見事に勝利に貢献しました。
今思えば、その試合からサポーターの阿部への愛は揺るぎないものになりました。
このように選手のピッチ上でのプレーに惹かれ、選手への愛を深めるケースがやはり最も多いと言えるでしょう。
しかしその他にもサポーターが選手への愛を深めるきっかけはあります。
2つ目は選手の言動によるものです。
愛するクラブでプレーする選手に、クラブへの愛を示されると、やはりサポーターは嬉しいものです。
この例としては昨年浦和に加入した興梠慎三が挙げられます。
興梠には鹿島時代にかなりやられた記憶があり、加入当初はあまり良く思っていないサポーターもいましたが、その卓越した技術と周りを活かすプレーで徐々に評価を上げていきました。
そして迎えた古巣鹿島との試合で、興梠は見事にゴール。
さらに得点後に浦和のエンブレムにキスし、浦和への愛を示してくれました。
それ以降も興梠は点を取ると、エンブレムにキスをしたり手でハートを作って当てたりとクラブへの愛を見せてくれています。
先日の鹿島相手のハットトリック宣言に痺れたサポーターも多かったことでしょう。
一見細かいことのように思えますが、こういうことがサポーターにとっては嬉しいのです。
同じく昨年浦和に加入した那須大亮が元チームメイトの柏の近藤直也に電話でしつこく浦和愛を語っているというような小ネタも、サポーターの心を掴み、熱くさせます。
阿部や柏木陽介もインタビューなどで深い浦和愛を語り、サポーターから深く愛されています。
また、達也、山田暢久、ワシントン、ポンテ、マリッチなどの退団時にクラブへの愛を語り、退団することを悲しんでくれた選手たちにも、サポーターは感謝し、いつまでも変わらぬ愛を注ぎ続けると言えます。
ただ、これらの選手たちはもちろんピッチで活躍して、その上でこのような言動によって愛されていることを忘れてはならないでしょう。
最後のサポーターが選手への愛を深めるきっかけは、選手がつらい経験をしたときです。
これはあまり知られていないかもしれませんが、愛するクラブの選手がつらい経験をしたとき、サポーターはよりその選手を支えてあげたいという気持ちになるように思います。
つい最近もこのような事例がありました。
それは浦和の西川周作に関してです。
今年浦和に加入した西川はブラジルワールドカップの日本代表に選出され、キーパーとしてレギュラーポジションを掴むためにアピールを続けましたが、レギュラーの川島の壁は厚く、結局一試合も出場できずに大会を去りました。
西川のワールドカップに懸ける想いを知っていたサポーターは自分のことのように悔しさを感じました。
そしてより支えていきたいという気持ちになるのです。
その証拠に大会後、初めて多くのサポーターの前に姿を現した山田暢久の引退試合では、ビジョンに西川の姿が映し出されただけで大声援が起こりました。
元浦和、現ヘルタ・ベルリンの原口元気がロンドンオリンピックのメンバーからギリギリで落選したときも、浦和の鈴木啓太が予選ではキャプテンを任されていたにもかかわらずアテネオリンピックのメンバーから落選したときも同じようなことがありました。
また、西川と同じくブラジルワールドカップのメンバーに選出されながら出場機会がなかった横浜Fマリノスの齋藤学に対してもマリノスサポーターの愛は深まり、ワールドカップ後の練習試合にはたくさんのサポーターが詰めかけ、齋藤を激励したようです。
以上の3つが、私が実体験として感じたサポーターが選手への愛を深めるきっかけです。
これからも一サポーターとして、選手に愛のこもった声援を送り、多くの選手にクラブを愛してもらい、そしてそんな選手をさらに愛するという理想的な関係を築いていけたら良いなと思います。