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【日本代表】 代表選手たちを影で支える知られざるスタッフの仕事 【W杯】

2014/05/27 09:44配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

 

先日、日本代表選手たちの壮行会が行われ、いよいよW杯という雰囲気になってきた日本サッカー界。
連日ニュースや新聞で大きく取り上げられW杯前という雰囲気に包まれている。

代表選手たちはもちろんだが、その選手たちを支える、そして日本代表チームを支えている人たちがいることを忘れてはいけない。
普段はスポットをあてられることがあまりない人たちながら、絶対的にいなくてはならない人たち。

なにかあると日本サッカー協会の責任だと軽々と口にするサッカーファンたちもいるが、どれだけ日本サッカー協会の方たちが働いているのか、準備をしているのか、知らない人も多いのではないだろうか。

日本代表を支えているのは、日本サッカー協会だ。

●W杯の準備

W杯の準備は実は何年も前から行われている。
日本が出場することは当たり前ではないものの、それでもアジアでは勝たなければいけない立場にいると今日本サッカー協会は基準を設けており、W杯出場を前提に何年も前から準備をするのだ。
2年から3年前からその準備は着手される。出場できなかったときは水の泡になってしまうが、出場が決まったときに最善の準備ができるように動くのだ。
その準備とは。

まずは予算の計算から始まる。
日本サッカー協会の中にある、代表部という部署が日本代表やなでしこジャパン、男子・女子の世代別代表などを統括している。
スケジュールからスタッフの派遣、チームの引率などを行うことになっている。
その代表部でまずはおおまかな予算の見積を立て、管理を行う部署に出し予算を見出してもらう。

FIFAの主催大会では、FIFAが出場チームに対し用意してくれるものがある。
例えば飛行機代や宿泊費などだ。
大会によって違うのだが、そういったFIFAの負担分と大会スポンサーが準備してくれるものなどを確認する。

例えば。
今回ブラジルの水不足が深刻であると問題になっており、日本代表は毎日しっかりとジャグジーに入ることができるのかと心配されているが、水不足であっても飲み物に困ることはないであろう。
というのも、大会スポンサーであるコカ・コーラが事前に各代表チームに水やスポーツドリンク、ジュースなど大会期間中にどれだけの量が必要か選手たちの分だけではなく、スタッフや同行する協会関係者の分なども含めてあらかじめ調査し、用意をしてくれるのだ。
その他FIFAのスポンサー、日本代表スポンサーなども協力的に必要なものを準備してくれる。

それらを申請したり、お願いするのも日本サッカー協会の仕事。
選手たち、そして関係者たちがどんなものが必要で、快適に過ごすためにはどんなものがあれば良いかを考える。

●何度も行く現地

出場するとなると絶対的に必要となるのがキャンプ地だ。
W杯が行われるとなると街から整備し、キャンプ地として立候補する地域が増えるが、その各地を回りどこが一番日本代表にとって最適かをプレゼンも行いながら回る。
その地域の気候や、施設、どのような準備をしてくれるか、交通アクセス、セキュリティなど各方面から調査し、現地の人たちとのコミュニケーションを図るために何度も何度も視察する。
今回のW杯準備の過程ではサッカー国ブラジルということもあって、時には現地の人たちとサッカーをしてボールを蹴ってコミュニケーションを図ったこともあった。
数年に渡るコミュニケーションによって信頼関係を築き、日本代表がその地で歓迎されるように、そして人々が応援してくれるような環境づくりをする。

日本からブラジルは最短で24時間。
日本代表の活動がない期間にブラジルという地に先に入りさまざまなことを調査するのだ。

ブラジルは日系人も多く、アジアタウンもあるので手に入る食材は多い。
現地でどんなものが調達できるか、どんなものが必要となるかをしっかりと調査する。

W杯は食が制すといっても過言ではないほど、選手たちの体調やモチベーションは食事が大部分を占める。
だからこそ食材は命であり、日本から持っていかなくてはならないものや、現地で手に入れられるルートを作っておくことが重要となる。

●洗濯はどうするか

選手たちが毎日を過ごす中で大量に出るのが洗濯物だ。
毎日の練習着、部屋着、移動着など大量に出る洗濯物。
それらを洗濯してくれるのはFIFA管轄の洗濯部となり、ランドリーしてくれることになっているが、それでは間に合わないかもしれないからと今回のW杯では洗濯機を持参する案も出ているという。
選手たちの下着など細かいものを手元で円滑に洗濯したいからだ。

日本代表の選手たちが着る練習着などは、選手別ではなくサイズ別に大量に用意されており、好きなだけ使っても良いような形になっている。
世代別代表などは、自分たち用に練習着から部屋着などが一人一人大きな巾着のような袋に入れられそれを使う形となっているが、A代表の選手たちには大量のウェアが与えられているのでOやXOといったようにサイズ別に分かれており、それらを選手たちが必要に応じて着るような仕組みになっている。
タオル類も同じく、大きさ別になっており、好きなだけ使えるような形で準備される。
ソックス、インナーなどもそうだ。
その他、自分専用のインナーを用意してくる選手などももちろんいる。

ブラジルで水不足が懸念されているため、水不足による洗濯への影響が心配だ。

●代表ウェア

A代表、世代別代表、女子代表などの日本代表のウェアたちは都内某所にある倉庫で準備されている。
大量にあるウェアを管理する倉庫があり、各代表が活動する前にエキップなどスタッフがどれがどれだけの量が必要か枚数などを数え準備することになっている。
練習着から部屋着、インナー、ソックスなどすべて送られてきた資料を基に間違いのないよう準備し、必要な場所へ送られる。

そして飛行機の中ではフライトが長いため、飛行機の中で選手たちがスーツからスウェットやジャージに着替えをすることになる。なので移動の当日に必要なウェアも用意する。
選手たちができるだけ快適なフライトを送るために必要量を考え、細かくいえばハーフパンツから Tシャツ、スウェットなど各パターン準備する。
それらを準備する人たちも日本サッカー協会関係者たちであり、必要不可欠な仕事となっている。

●スペシャリストたち

同行するスタッフの中には当然スペシャリストが存在する。
まず先日某テレビ番組で元日本代表監督である岡田監督が、必ず招集したい人はとの問いにこたえていたのは
西さんというシェフの名前だった。

西氏は日本代表のシェフを務めて長い経験あるシェフであり、選手たちの好き嫌いも把握しそれを踏まえた上で好き嫌いで左右しないバランスの良い食事を考える。
意外なことに日本代表に管理栄養士は存在していない。外部の栄養士に相談やアドバイスを頼むことがあっても専属はいない形となっている。
しかし、シェフである西氏がスポーツ栄養を把握した上でアスリートに必要な食を提案してくれる。

現地にいってなにが出てくるかを任せるのではなく、まず日本でメニューをすべて料理の現物を出してもらい協会スタッフが確認する。
現地で手に入れられる食材や、日本から持っていく食材など、現地と同じ条件で料理を作りまずは考えるのだ。
味はもちろん、栄養、量、バランスなどを確認することになる。
西氏はこれまでの経験も豊富なので選手たちの胃袋管理は西氏にかかっているといっても過言ではない。

その他、スパイク管理は選手たちにとってとても重要だ。
日本代表スタップの中にももちろんエキップマネージャーが存在し、用具の一切を引き受ける。
ボールの空気圧や質の確認、ウェア管理、スパイク管理やケアなどを行う。
現地の芝を何度も確認しているものの気候や湿度などでも芝は変わるため、それに合わせた選手の好みのスパイクに仕上げるよう努める。

日本代表が背負う、協会スタッフへの感謝


と、このように各スタッフが影でしっかりと働いてくれるからこそ、日本代表がW杯で戦える。
取り上げたのはほんの一部であり、この他にもさまざまな人や企業が働いてくれるからこそ、私たちは日本代表を観ることができ、日本代表は戦うことができるのだ。

さまざまなところで、たくさんの人と力が働いている。
日本を代表する、【日本代表】だからこそ、しっかりとした場を、目指したくなるような環境を、そして最高チームでなくてはならないと
作り上げているのだ。

協会が悪い
なんて簡単に口にしないでほしい。

協会はチームの強化だけをしている場所ではない。
強化だって当然日本サッカーの最高機関として人々が知らない調査を重ねており、何年後の未来を見据えて動いているのだ。

5年以上前、協会スタッフが「アジアが来る。特にタイが来るぞ」と言っていた。
実際、今Jリーグはアジア戦略がはじまり、タイには日本人選手が数多く在籍している。
サッカー協会はしっかりと未来を創り出し、先を歩いているのだ。
それは浅いものではない。さまざまな角度からいろんなことを想定して分析し、把握しているのだ。

もちろん、すべてにおいて、日本サッカー協会に賛同するわけではないが、一般メディアに出ていること、そして表に出てくることがすべてではないこと、影なる努力がそこにはたくさん存在すること。

たくさんの「想い」があること。
それを知っていてほしい。


日本代表選手たちは、そういったことも知っているからこそ
自分たちのために全力で何年もたくさんの人が働いて準備してくれる場だからこそ
少しでも長く戦い、その人たちの「夢」も背負って戦うのだ。


蒼きサムライたちの背中には、感謝が背負われている-。


 

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