2014/05/24 01:06配信

ミノル・スアレス

カテゴリ：コラム

前回のガビに続き、今回もアトレティコ・マドリーに所属する素晴らしきフットボーラーを紹介したい。
バルセロナと引き分けたリーガ最終節で、ガビと共に中盤を支えたチアゴ・メンデスは、
チームでは、ビジャに次ぐ素晴らしい経歴を持ったプレーヤーだ。

その貢献に対して評価が伴わず、わずか1年で、、、

2004年。ポルトでチャンピオンズリーグを制し、チェルシーに引き抜かれたモウリーニョは、
共にチャンピオンズリーグを勝ち取ったリカルド・カルバーリョとパウロ・フェレイラに加え、
スーペルリーガ(現:リーガゾンサグレス)では、ライバルチームのベンフィカでプレーしていたチアゴをイングランドに連れて行く。

高い技術とインテリジェンスで、すぐさま、イングランドのフットボールに適応したチアゴは、
チェルシーでレギュラーの座を掴み取り、カーリングカップ(現:キャピタルワンカップ)の獲得に貢献する。

しかし、その貢献に対して評価が伴わず、
チアゴは、更なる強化を目論むチェルシーから、わずか1年で放出されることになる。

移籍先のリヨンは、当時、リーグ4連覇中であり、
チャンピオンズリーグでも決勝トーナメントの常連となっている強豪チームであったが、
チアゴは、ここでもレギュラーの座を掴み取り、リーグ優勝に貢献。
チアゴが所属していた2年間で、リヨンは連覇記録を6まで伸ばすことになる。
(リヨンはその翌シーズンもリーグを制し、7連覇という驚異的な記録を残した。)

さしたるインパクトを残せないまま、ユベントスでの冒険を終える

チアゴは、ボールコントロールに優れ、パスの精度が高く、
それでいて前線に攻めあがるダイナミズムも持っていた。
セントラルミッドフィルダーが本職だが、守備力にも献身的で、
アンカーでプレーすることもできる非常にオールラウンドな能力の持ち主だった。

フットボーラーとして高い能力を持ち、それに加えて実績も積み上げたチアゴだが、
その評価は、やはり彼の実力に見合うものではなかった。

そこに目をつけたのが、当時、八百長問題でのセリエB降格から、
再びセリエAの舞台に返り咲き、復権を狙うユベントスだった。

チアゴの移籍金がいくらであったかは知らないが、
少なくともそれほど高騰はしていなかったであろう。
移籍金が高くはないが、実力は折り紙つきの選手を買うあたりはさすがユベントスであり、
チアゴはクラブの復権に大きく貢献するだろうと、当時、私は考えていた。

しかし、私の予想に反し、チアゴは全くといっていいほど、活躍できないまま、
ユベントスでの一年目を終えることになる。
2年目以降は、出場機会も激減し、時折、高パフォーマンスを見せる事がなかったわけではないが、
さしたるインパクトを残せないまま、ユベントスでの冒険を終えることになる。

ガビとのコンビは、フットボールの何たるかが凝縮されたような素晴らしさがある

キャリアで初めての苦難を経験したチアゴは、辿り着いたマドリーの地で復活を遂げる。
かつてのパフォーマンスを取り戻したチアゴは、アトレティコのキープレーヤーとなる。
特に、近しいフィロソフィーを持っているであろうガビとのコンビは、
フットボールの何たるかが凝縮されたような、玄人を唸らせる素晴らしさがある。

最近では、進境著しいマリオ・スアレスにスタメンを譲ることも少なくないが、
ピッチに立てば、それがどんな大舞台であろうと、どんな強豪が相手であろうと、
普段どおりのパフォーマンスを約束してくれる、それがチアゴという選手だ。

少なくとも日本においては、
この記事をご覧頂いているようなフットボールに深くのめり込んでいる方々を除き、
ガビやチアゴは、恐らくほとんど知られていないであろう。
彼らこそが手本にすべきフットボーラーであり、彼らのような選手が評価されるようになれば、
それは日本のフットボールの発展を意味するが、それはもう少し先になりそうである。

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