【J1】 残り6試合 今季の主役川崎、頂点目指す浦和、やはり手を挙げたG大阪…セカンドを制するのは―。 【2016】
2016/09/14 11:48配信
カテゴリ:コラム
W杯アジア最終予選を戦った日本代表活動期間を経て、J1リーグが再開された。
セカンドステージ11節が終了し、今季のリーグ戦は残り6試合となった。
2ndステージのタイトル、そしてチャンピオンシップ出場へ向けて上位争いは今後より激化することとなる。
2ステージ制となり2年目。今季の頂点にはどのクラブが立つこととなるのであろうか。
●今シーズンの主役 川崎フロンターレ
今季のJ1リーグの主役といって良いであろう、今季リーグを引っ張る存在となっている川崎フロンターレ。
就任5シーズン目となった風間八宏監督の下、ひとつの芯を持って積み重ねてきた日々は風間監督の目指すサッカーへと着実に導いた。
フロンターレの心臓は中村憲剛で変わりはないが、観る人々にわかりやすくダイレクトに伝わるスピーディーで速いパス、そしてフィニュッシュでの完成度によって人々を魅了するサッカーを確立している。
観ている人たちが「サッカーって面白い」を実感できることも今、川崎フロンターレの大きな魅力といって良いであろう。
欧州サッカーに一番近い形であるフロンターレサッカーは今、Jリーグで確実に結果を掴んでいる。
1stステージは首位に立ちながらも、最終的にステージ優勝を獲ることができなかった。
そこで気持ちが切れることなく継続し2ndステージも川崎フロンターレは勝ち点を重ね続けている。
2ndステージに入り11戦を戦い、負けた試合は2。
2ndステージ好調の鳥栖に敗戦、そして柏レイソルにはまさかの5失点という結果で敗れたが、現在首位の位置に立っている。
1stステージの上位対決ではホームで浦和レッズに敗れた川崎だが、2ndステージでは大一番をアウェイ埼玉スタジアムで再び迎え、浦和レッズから勝利を挙げるという大きな自信を得た。
フロンターレらしいサッカーを浦和レッズが90分させてくれたわけでは決してなかったが、らしさが出せない試合でも自分たちのサッカーという幅がある、ということを証明した試合となったと言えるであろう。
ステージ2位の浦和は勝ち点、得失点差及び勝敗数なども並んだ状態でピタリと付いているが、年間順位では2位浦和との勝ち点差は5。
総得点数もここまで58とJでは圧倒的といって良いであろう得点力を誇っている。
今季は守備も組織力と意思の統一を持って魅せてくれる川崎フロンターレのサッカーは、Jリーグに新たな刺激を生んでいる。
リーグ初優勝に向け、残り試合全てで勝ち点3を勝ち獲ることを目指すことになるであろう。
●今季こその想い強く リオ期間によってより層の厚み 浦和レッズ
2ndステージ、そして年間順位で2位の位置から首位を追う浦和レッズは、近年タイトルを目前としながらも逃してしまった苦く痛い想いを忘れてはいない。
今年こそは、という決意も今まで以上に持ち戦っていることであろう。
1stステージ終盤までステージ優勝争いに残りACLで未消化だった試合もあり優位かと思われていたものの、魂を込めて上位進出を狙ったACLでのあと一歩となるPK戦まで縺れ込んだ敗戦を受け
その直後から戦わなくてはならなかったリーグでの戦いにチームとして切り替えが難しく、結果的に3連敗を喫してしまうなど3位の位置で1stステージを終えた。
2ndステージに入り再び浦和らしさを取り戻すと、リオ五輪にエース興梠、今季加入で守備の軸となっていた遠藤が選出。
シーズン前期に活躍しチームの中心的な選手であった2人が五輪開催中抜けることは大きな穴となるのではないかと懸念されたが、その選出をきっかけにポジションを得た選手たちが躍動した。
「五輪代表に選出されることで大会期間中チームでのポジションがなくなるのではないか」と心配を口にしていた興梠は、Jクラブの中でもトップクラスである浦和レッズに存在する激しい競争を身をもって知っているからこそ出た言葉なのであろう。
エースであってもそのポジションに絶対はない。
代表で選手が不在となることで巡ってくるチャンスを逃さないと躍動する選手たちこそ、浦和レッズの選手たちだ。
誰がいないからという理由で浦和らしさが出なくなるのであれば、それは浦和レッズではないことを全員が意識を持って理解している。
五輪期間中、遠藤航の今季加入によってポジションを奪われた形となった那須が、去年までスタメンに名を連ねていたにも関わらず今季これまでベンチメンバーやベンチからも外れるという苦しい時期を経てピッチに戻ってきた。
持ち前の魂溢れるプレーと周囲の選手たちにかける言葉や振舞でチームを奮起させ、遠藤とはまた違った特徴を出し安定したディフェンスラインを統率しながら左右のセンターバックに後ろは任せろという頼もしさを持って攻撃参加させ、最終ラインをしっかりと担う。
那須だけが持つセットプレーで何かを起こしてくれるのではないかという期待感を持って戦うことができ、今季序盤はセットプレーからの得点がなかなか生まれなかった浦和だけに、セットプレーの可能性を拡げ選択肢を広くした。
エース興梠が不在となったチームだったが、李忠成、武藤雄樹が躍動。
さらには前線でボールを収めることのできるズラタンがいることで2列目から選手たちが前線へ出てゴールを決めることが多くなったり、高木俊幸が柏木からもらった守備面へのプレーを含めたハードワークの必要性というメッセージを取り入れることで覚醒を魅せるプレーなど、
前線の選手たちはエース不在となる中で、結果が出ないとは絶対に言わせないという強い気持ちを持ってそれぞれ持ち味を持って躍動したことは今の浦和にとって強力な武器となっている。
2ndステージは川崎フロンターレとの直接対決に敗れたものの、現在勝ち点、勝敗共に並び2位の位置に付けている。
目指すは頂点のみ。
浦和のサッカーに代わりはないが、今季は個人的にそしてチームとしての厚みがさらに出ているシーズン。
真っ赤に染まった埼玉スタジアムで、今年こそ多くの人々の笑顔で終わる年を目指す。
●「やはり」上位に名乗りを挙げた ガンバ大阪
ジワジワ、ジワジワとこの時期になると必ず上位に顔を出す脅威を感じるのが、ガンバ大阪だ。
今季は厳しいのではないかとも感じる前期の戦いだったが、この時期にさしかかりジワジワと向上を続け気づけば上位との勝ち点僅かの位置にいるガンバ大阪の脅威に「やはり」という言葉が適しているように感じる。
ガンバ大阪は現在2ndステージ3位の位置に付け、首位川崎・2位浦和に勝ち点2差に付けている。
そして両チームとの直接対決を残している当たり、今季もガンバの年になるのではないかと感じさせるのだ。
浦和レッズとは埼玉スタジアムで10月1日に、そして川崎フロンターレとは最終節に直接対決というドラマのある展開を感じさせる日程なのも気になるところだ。
エース宇佐美がドイツへ二度目の挑戦を決断し旅立ったことを受け、これまでガンバ大阪の攻撃力のひとつの核であったパトリックの不調などガンバとしてはタイトルを獲った一昨年から継続してきた戦力を比較すると
攻撃的な部分でマイナスとなる問題が生じるのではないかという懸念もあったものの、ここにきて今年の目玉の補強となったアデミウソンがガンバ大阪に浸透してきていることが大きなプラスとなり、長澤や呉屋など攻撃陣の躍動に加え、熟成度を増したガンバ大阪の中心選手たちが経験を持って戦っていることがわかる熟練された試合運びがガンバ大阪の強みだ。
先日のルヴァンカップではサンフレッチェ広島相手に6得点を叩き出すなど、ここにきてガンバ大阪のギアがまた一段上がったのではないかという驚異を感じる。
ルヴァンカップも勝ち上がり、ACLに出場したチームはまだ登場していないだけに天皇杯もまだ当然残している。
そしてリーグと、まだまだガンバ大阪には3冠というタイトルを再び獲りえる状況が揃っているのだ。
思い返すのは、2年前の三冠獲得シーズン。
まさかの降格を経て、J2で戦いながらJ1に戻った際に戦える戦力を揃えるため我慢をしながら選手たちの経験値を上げ優勝を引っ提げ1年で昇格を果たし、J1へ返り咲いたガンバ大阪の前半期は決して良い状況ではなかった。
再びJ2へ向かってしまうのではないかという不安を抱いたサポーター少なくなかったはずだ。
そのガンバ大阪がリーグ中盤から盛り返し、ナビスコカップ(現ルヴァンカップ)を獲り、リーグ優勝を逆転という形で獲り、J2から昇格した年にリーグ優勝。
さらには天皇杯をも獲った驚異的で圧倒的な強さを全ての頂点という位置で吠えた。
今季も前期は決して良い戦いをしていたわけではなかったが、ジワジワとチームとしての調子を上げ、今ガンバ大阪が上位に食い込んできている。
ルヴァンカップでの得点の爆発、そして天皇杯決勝はホームの吹田スタジアムでの開催が決まっているだけに、こちらも獲得したいタイトルであるはずだ。
試合数が多ければ多いほど、日程が苦しくなるほどにガンバ大阪は強さを増していく、そんなイメージを持つほどに、ここ3年間の終盤の強さはJリーグ全体を刺激していることは間違いない。
2年前にもそして去年も、最後の最後までタイトルに関わったガンバ大阪は日程の厳しい中でのチームの在り方を熟知している。
戦い方を、勝ち方を知っている選手たちが揃っている。
今年もガンバ大阪という存在がすべての大会において、強いインパクトを残すことになりそうだ。
首位川崎、そして2位の浦和に勝ち点3以内で追っているのが、4位ヴィッセル神戸と5位の柏レイソルだ。
年間順位的にも柏レイソルは現在6位だが、3位の鹿島との差は勝ち点7。
残り6試合で詰められる圏内であるといえるであろう。
今季守備においての意思統一と浸透度がより増し課題克服を経てリーグの中でも注目を受ける守備をしている首位川崎相手に5得点を得て勝利するなど、リーグ序盤に監督交代劇があったもの柏レイソルは下平監督の下、同じ意思と方向を持ってチームはひとつひとつ試合を戦うごとに固まり、好調をキープしている。
神戸は関西ダービーとなったガンバ大阪に勝利し、続く浦和レッズに勝利するなど、大きな意味を持つ連勝を経て順位を上げ、さらには柏、そして川崎との直接対決が今後控えている。
柏レイソルとヴィッセル神戸は次節直接対決を迎え、上位の戦いによっては優勝争いに入り込む位置に入り込むこととなるであろう。
ステージ優勝を掴めばチャンピオンシップ出場となり、年間順位によっては2シーズン制に再び移行し2年目で最大である5チームでチャンピオンシップを戦うということも実現するかもしれない。
来季は再び1シーズン制に戻るという話も出ている今日。
最後のチャンピオンシップになるかもしれない今季の頂上を目指すのはどのチームになるであろうか。
2016J1リーグも、残り6試合。
J1の頂に立つのは、果たして―。