CHANT(チャント) 日本代表

原口元気をサイドで使うにはどうすればいいのか

2016/09/12 14:38配信

武蔵

カテゴリ:コラム

性懲りも無く「自分たちのサッカー」を繰り返したことにより

UAEに足下をすくわれた日本代表です。

それにより9月シリーズ、折り返しのタイ戦には

是が非でも勝たなくてはいけなくなりました。


そしてその注目は、結果を出すために必要な内容

つまり、UAE戦で苦しんだ戦術面に集まったと言えたでしょう。



結果としては2‐0。日本は勝利を収めました。

決定機数とスコアの乖離は気になる点ではありますが

そもそも、決定機数は内容の良さを表すとも言えますし

なにより、勝ち点3が求められた中で、その結果を残すことが出来たということは

何事にも代えがたいことだったと言えるでしょう。

「本職」で結果を出した原口

この試合、左SHで先発し、先制点を奪った原口元気の良かった点は

何もドリブル、オフ・ザ・ボール、球際や気持ちの強さを見せたことそれ自体ではなく

指揮官の求める戦術の中で、それらの能力を生かしたことと言えるでしょう。


立ち上がりから442のSHが絞り、日本の中央へのパスを警戒してきたタイに対して

日本は両SHがワイドに張り、そこで起点を作ることにより相手SBを引き出し

CBとの間にスペースを空け、コンビネーションでそこを使いました。

理想どおり、UAE戦とは違い、指揮官の求める形での攻撃が展開されました。


前半23分、本田圭佑の空振りに終わった日本の決定機は

サイドに張った原口を警戒したタイの右SBが空けたスペースにボールを入れ

そこに流れた浅野拓磨がスピードを生かして入れ替わり、折り返したものです。


本田も、逆サイドからタイの左SBを振り切って、よくフリーになっていました。

ただ、これを決め切れなければ、この日の原口と同じ評価を勝ち取ることは出来ません。

ハリルホジッチ監督の狙いどおりと言える展開であり

それだけに、指揮官のリアクションが大きくなるのも仕方ないと言えるでしょう。

原口は、戦術的な働きをすることで、苦境のチームを救いました。

指揮官の求める欧州基準のサイド攻撃を理解し、体現できる選手と言えるでしょう。


少なくとも、この日はサイドに張りましたが

自らの適性からか、UAE戦を始めとして、常に中で受けようとしがちな本田や

同じく、ザッケローニ時代にこの役割を求められたものの

終ぞ習得することができなかった香川真司とは違い

このポジション、求められる役割への適性があると言えます。



では、なぜその原口がサイドで起用されないのか。

なぜ、本田や香川といった主力たちが中央にひしめき合い

結果、苦境に立たされたUAE戦でボランチでの途中出場だったのか。


それは単純に考えて、このチームにおいて

ボランチの層が薄いということが言えるでしょう。

原口がボランチで起用されるワケ

ハリルホジッチ政権において、原口は様々なポジション、役割に就いてきました。

左SHの他には昨年6月のキリンカップ・イラク戦のトップ下など

ボランチ、インサイドハーフ、右SBと多岐に渡ります。


その中でも、ボランチと呼べる重要ポジションにおいて

複数役割をこなす選手の中では、その序列は高いと言えます。

3月の2次予選・シリア戦では先発した山口蛍のアクシデントにより

後半開始早々にボランチとして途中出場を果たしました。


UAE戦では、柏木陽介や山口蛍といった本職組のコンディション不安がある中

指揮官は「迷った」末に大島僚太のA代表デビューを選択しましたが

上手くいかないと見るや、左SHには宇佐美貴史を投入し

原口は3枚目の切り札として、大島に代わりボランチで起用されました。



原口がボランチとして、このチームにおける序列が上がっている要因は

ボランチに必要な能力を兼ね備えているからだと言えます。

先に挙げた球際や気持ちの強さに加え、3月のシリア戦で

中盤の底の選手として必要な、自分の背後のスペースへの意識の高さを見せたことで

指揮官の信頼を勝ち取ったように見受けられます。

初めは経験不足を露呈する格好となっていましたが、徐々にフィットし始めると

指揮官が原口をボランチ起用した理由を示すこととなりました。


そして、原口の武器であるドリブルは

前線にボールを届けるという役割で生かせるものとして扱われています。

よく、ボールを運ぶという表現がされますが

原口がボランチとして起用される場合は、それが頻繁に行われます。


この点、散らすと評される中長距離のパスで

前線にボールを届ける柏木の序列が高いことと、同じステージで考え得ると思います。

求む、ボランチの新戦力

タイ戦は長谷部誠と山口蛍のコンビでした。

しかし、このコンビにも一長一短があると言えます。


特に山口蛍は、この日の後半20分以降

地上戦にこだわるタイとの球際の勝負にほぼ全勝することで

日本のカウンターの起点となり続けました。


ただ、UAE戦と合わせて散見された長谷部のイージーミスを挙げるまでもなく

ビルドアップに不安が残ると言えます。

そして、その球際の強さというメインウェポンも

この先、最終予選を勝ち抜かなければならない状況において

身体能力のあるオーストラリアや中東勢相手にも優位となるのか?

そういった不安点があります。


今後も、ボランチの層の薄さからして、そして原口の能力の高さからして

原口を本職でないボランチとして計算しなければならない可能性は高いままです。


「万能アイテム」原口を本職で起用できるかどうかは

日本人ボランチの奮起に懸かっていると言えるでしょう。

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