【日本代表】 疑問を持つのは笛だけではない 必勝試合で負けた重い現実 感じた司令塔の有無 【最終予選】
2016/09/02 11:34配信
カテゴリ:コラム
世界の壁を痛感した 2014年ブラジル大会。
自信を持って世界へ挑戦したはずの日本代表が、世界の壁に音を立ててぶつかった。
信念を持ってやってきたことが通用しなかったということ。
改めてもう一度考えないといけない。
―無念のブラジルでの戦いから、2年と少し。
次なるワールドカップへ向けた戦いが、最終予選という形を持って最終局面を迎えた。
アジアからの枠は4.5枠。
この枠数はJリーグが開幕した当初は2枠だったことを考えると、アジアからの枠が大きく拡がったと感じる。
その枠が拡がった理由は、日本がはじめてW杯に挑戦したフランスW杯は世界を痛感する結果に終わったものの 2002日韓W杯ではベスト16、
ドイツW杯は予選敗退したが南アフリカW杯では再びベスト16と結果を重ねたこと。同じく韓国等アジアの国組がワールドカップに限らず年代別の主要大会などを含めて世界と戦える時代となってきたこと。
日本人選手たちを含めたアジアの選手たちが欧州で活躍することが目立つようになったこと等が考えられる。
4.5枠。
この枠を広いと感じるか、狭いと感じるか。
アジアから4.5枠もある枠に入れないほどの位置になってはいけないというプライドがある。
しかし、それが決して簡単な戦いではないこと。
日本代表がアジアサッカーの中で際立っている存在に君臨することを継続するのが理想的ではあるが、その位置であることが当たり前だと傲慢に感じてはいけないこと。
追われる立場であり、チャレンジャーでもあること。
再びワールドカップという最高峰へ挑戦するために絶対に通過しなくてはならない道。
2018 FIFAワールドカップ ロシア大会アジア最終予選が9月1日、埼玉スタジアム2002にて
日本代表はUAEを迎え、スタートした。
―結果は1-2。
何事も初戦が大事というが
最終予選だからこそ、本当にこの初戦は大きな意味を持っていた。
絶対に負けてはいけない試合で、負けたのだ。
この試合が終わりという意味ではないことを証明するには、これからの日本代表に懸かっている。
●誰が見ても疑問を持った判定の数々。しかし、圧倒しなければならなかった。
これまでも何度も問題となってきた「中東の笛」。
最終予選初戦となるUAE戦にて笛を吹いたのは、カタールのアル・ジャシーム・アブドゥルラフマン主審だった。
日本が1点リードした状況で迎えた、ゴール前でのファールのシーン。
結果的にそのファールという判定において与えてしまうこととなった位置からの相手の技ありのFKで同点となった。
ファールには大きな疑問を持ったが、UAEのFKが素晴らしいものだったのは確かだ。
味方を壁の一部に入らせる形で、その味方がFKを蹴る選手が蹴った瞬間に動き、ボールの軌道を開けた。
開けたことで生まれた空間を切り裂いたボールは放物線を描き日本ゴールのゴールネットを揺らした。
2失点目も大きな疑問を感じざるを得ないPK判定だった。
PKの場面だけではない。他のピッチ上の身体がぶつかるシーンでの笛は国際大会では考えられないほどの接触での笛が吹かれていたという印象を持つ。
PKの場面ではペナルティエリア内だけに囲んだ日本代表の選手たちも重々気を付けながらボールを止めにいっていたのがわかる動きだった。
それでも起きてしまった、ファールの笛。
結果的に2失点とも主審に疑問を持つ結果となる笛により、生まれたものだった。
1点を追う日本にその後、攻撃を仕掛ける中で途中交代した浅野が放ったボールがゴールラインを割ったのではないかという、最大の疑惑の判定が起きた。
ゴールラインを完全に割っていたように見えたが、主審の判定はノーゴール。
ゴールラインを巡る判定は世界中で問題となることが多く、欧州ではゴールラインシステム他、追加審判によるゴールラインの判定を行っている。
日本でも問題視される案件が多くなったことで、追加審判による判定が試験的に導入されている。
しかし今回のアジア最終予選では追加審判はなく、副審の角度のある位置からの判定と主審の後ろから見た判定のみとなっている。
幻となってしまったゴール、そしてPKを得たのではないかという疑問を持つシーンもあり
日本にとっては2点が幻のようになったと感じてしまうのかもしれない。
しかし、笛に左右されてもなお明確な「圧倒」が必要だったのではないであろうか。
日本が作り出した決定機はその2点に集約されてはいないはずだ。
何度もあった決定機だが、絶対な決定機を外した場面が他にもあった。
決めるべきときに、決められないということを繰り返すことで、相手に勢いと自信を与える結果となり、さらにはネガティブな笛によってチームが失点ダメージを受けてしまうというようなマイナスがマイナスに働く連鎖となる。
個人的にもチーム力でも能力的に上回っていたとしても、なにが起こるかわからない。
笛は、人間が吹くものだ。
それもfootball。
疑問はもちろん持っているが、それだけに偏ってこの敗戦を振り返ってはいけない気がするのだ。
●必要だと感じた「司令塔」
日本代表はこの試合で柏木を起用するつもりだったであろう。
結果的に柏木の負傷によってプランを変更せざるを得ない状況となり、五輪を終え継続されて招集された大島がボランチの位置に入った。
ハリルホジッチ監督指揮の日本代表において、大きく戦いに変化が見られた柏木起用という一手。
柏木が入ることで中盤から多くボールが配球されるようになり、全体的に広くボールが出るようになったことに加え全体のバランスがより取れることに繋がった。
中盤でボールを落ち着かせることができ、試合全体をみて緩急を付けられるのも柏木の強みだ。
これまでの日本代表には、多くの「司令塔」が存在した。
ラモス瑠偉や名波浩、中田英寿、中村俊輔、小野伸二、中村憲剛、そして遠藤保仁。
中でもボランチの位置でチーム全体の動きを担う司令塔だった選手たちを思い返してしまう。
昨日の試合はそんな試合であった。
柏木が負傷したならば、なぜバックアップメンバーとして名を挙げた中村憲剛という可能性をチームにプラスしないのであろうか。
最終予選という厳しい戦いだからこそ、チームに与えられている貴重な選手の枠を目一杯に使うべきではないのか。
選手の想いやチームとしての輪、存在。そういったものを大切にすることもチームを創る上で重要なことは理解できる。
しかし、その想いは代表選手だけに限らないはずだ。
日本代表に選出されるという目標を持って日々戦っている選手たちは、多く存在する。
貴重な枠を負傷して戦うことができないと判断せざるを得なかった選手で埋めてしまうことは、「最善」なのであろうか。
中盤から多彩なボールが出ることがない日本代表は、前線に岡崎や本田、香川といった世界を知る強力な選手たちを配置しても、チームとして生かすことが出来なかったように感じる。
勝利は一人ではできない。一人で掴めるものではない。
一人の英雄ではなく、11人+αの勝者だ。
誰が良くて誰がダメという話でもない。
チームとして、なにができるか。
チームとして、どういったサッカーができるか。
どんな勝利のプランを持って試合に入ったのか。
それが笛ですべてが壊されてしまうものなのか。
すぐに対戦することとなる、アウェイでのタイとの試合。
最終予選は相手がどの国であっても、実力・能力の差があっても、簡単な試合は存在しない。
今一度、改めて考える必要なあるのではないであろうか。
ハリルホジッチ監督はどれだけ最終予選が重要なものであるか理解しているからこそ、試合後の活力を失った姿だったのであろう。
この負けがどれだけ大きな負けであるかを、監督自ら大きく捉えている。
すぐに試合があるだけにすぐに切り替えなければならないが、それでも改めて最終予選という戦いがどれだけ重要なものであるかを
戦う選手たちはもちろん、見る側も考えなくてはいけないのではないであろうか。
日本代表は常に輝きを持った、私たちが日ごろ見ている選手たちそして日本サッカーの 頂点である存在であってほしい。
世界で戦う選手たちが多く選出され、Jリーグで戦う選手たちが融合し
あの蒼いユニフォームが躍動する姿を観て、誇らしいものであると確信を持っていたい。
絶対に勝たなくてはならない試合がある。
絶対に勝てると決まった試合は存在しない。
日本代表という当たり前ではないその場所で戦う選手たち
ワールドカップというこの上ない舞台に再び挑戦するために、絶対に通過しなくてはならない最終予選。
初戦ホームで戦えるという利点があったにも関わらず、負けたという事実を受け止め、
その試合を終わりとするか、否か。
9月6日
タイ・バンコク 国立ラジャマンガラ・スタジアムにて
タイ代表と最終予選2戦目を迎える。
日本時間 21:15キックオフ。
この敗戦を糧にして監督も選手も奮起してくれるはず。目を覚まさせた言う意味では、この試合にも価値は見いだせるはずです。
がんばれニッポン!
ishi245 | 0 0 |2016/09/02|14:29 返信