日本代表メンバー発表 注目の中盤に、あの男の影
2016/08/29 12:30配信
カテゴリ:コラム
準備期間の少なさから、金崎以外はベストメンバーにこだわる
2016年の9月シリーズ、ロシアW杯アジア地区最終予選の
UAE戦、タイ戦へ向けた日本代表24名が発表となりました。
初招集はおらず、リオ五輪組からも大島僚太と浅野拓磨の両名のみでした。
大事なW杯最終予選の、入りの2試合であり
何よりも結果が求められる中で、ベストメンバーにこだわった格好となりました。
リオ五輪組の少なさについても、ロンドン五輪後のW杯最終予選においても
初招集はゼロ、招集されたのは既存組に留まりましたので
そこまで気にしなくても良いでしょう。
その代わりと言ってはなんですが、大島浅野両名はチャンスと言える状況です。
また、同じ国際Aマッチウィークでも6月シリーズなどとは違い
今回は欧州組が本格的なシーズンインをしていることから
日本代表としての活動期間が充分に取れないということで
既存の代表メンバーにこだわらざるを得ないとも言える状況でした。
ベストメンバーについてもう少し掘り下げるとすれば
「リストに入っていた」金崎夢生が代表メンバーから外れました。
今までの起用から見て、岡崎慎司の次と言える序列であった金崎が外れた理由は
「湘南戦での態度が受け入れがたかった」とハリルホジッチ監督が明言したことから
これから代表復帰をするためには、パフォーマンスだけでなく
チームの規律を乱さないという最低限の態度を示していくことが必要でしょう。
ポジション、プレースタイルともにライバルと言える武藤嘉紀が復帰し
コンディション面を不安視しながらも金崎の代わりに選出したという浅野もおり
金崎がここに来て作ってしまった隙が、この先の代表にどういう影響を及ぼすのか。
注目していきたいところです。
川崎の35歳のMFの存在
さて、ハリルホジッチ監督はこの会見で、非常に興味深いことを話しました。
それはバックアップメンバーのことです。
今回選ばれた24名の、もう一周り外のスケールのメンバーについてのことです。
具体的な名前を明言はしなかったものの
「中盤では川崎でプレーする35歳」をリストアップしているとのことでした。
おそらくは、今年の10月で36歳になる選手のことだとは思いますが
彼の影を示唆することは、日本代表にとって大いなる刺激となるでしょう。
これから始まるアジア予選は、W杯での結果が大目標である日本代表にとっては
目先の戦いであるとはいえ、とにかく結果が求められます。
先のアジアカップを見るに、今や簡単には勝たせてもらえないアジアの戦いにおいて
その簡単にはいかない理由となっている、相手の守備的なシステムを崩すために
必要となってくるのは、ボールを動かせる能力を持った選手となります。
現メンバーの中でそれが求められるのは柏木陽介、あるいは大島僚太ですが
未だ、確固たる地位を築くには至っていません。
不動のキャプテンでアンカー的役割を任せられる長谷部誠と組むのは
球際の強さが特徴の山口蛍や、単に能力の高い原口元気であったり
あるいは、433にして香川真司と清武弘嗣を並べたりという選択肢を採る可能性が
そう低いものではないということが、今までの足跡から読み取れます。
ただ、出来れば433よりは、4231という、選手が親しみやすく
また、切り替えの際にリスクが発生しづらい布陣を採りたいと思うことでしょう。
ただでさえ、ボランチには不安要素が多く
長谷部も本来はアンカータイプではありません。
これだけでも、433は避けたい理由ではあります。
そのために、ボール扱いに長け、経験豊富で指導者のことを理解する能力がある
ボランチ(タイプ)が特に必要とされるのは当然と言えるでしょう。
現在の川崎では2列目を務めることが多いものの
リオ五輪期間中・大島不在時には「本職」と言えるボランチを務めました。
真ん中の3枚であれば、どこでも不足なく仕事をこなすでしょう。
この川崎の35歳の選手はかつて2011年の9月シリーズ、ザッケローニ政権時代に
この時点で1年以上、代表招集から遠ざかっていた状況で招集されました。
そして、ザッケローニ元監督が彼を招集した理由として
「彼はプロフェッショナルだ」としました。
その時は負傷離脱となりましたが、次の10月シリーズでは再び招集されました。
折しもブラジルW杯アジア地区3次予選の真っ只中、本田圭佑が負傷離脱し
危機が叫ばれる中、タジキスタン戦で先発出場し、ゴールまで決めました。
それから5年が経ち、未だに日本代表で似た役割を求められそうだということは
それだけのパフォーマンスを維持、または進化を示しているということであり
感服せざるを得ません。
プロフェッショナルとは、周囲の期待に応えられる存在を指し示します。
その影をチラつかせることで、日本代表の中盤に刺激を与えたならば
半分ほどは、それを達成したことになるでしょうか。
ただ、もし招集され、出場した際には、必ずやもう半分を埋めてくれることでしょう。
彼は今、それだけのものを、首位のチームの中心で見せています。