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【浦和レッズ】 絶対に負けられないプライドの戦い さいたまダービー熱き夜 【大宮アルディージャ】

2016/07/15 22:57配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム

意地と意地のぶつかり合い。
ダービーは、特別な意味を持つ―。

さいたま市には2つのチームが存在する。
元々は埼玉県大宮市、埼玉県浦和市をホームタウンとした2チームだが、さいたま市にそれぞれ合併し統一されることとなり、
現在ではさいたま市に大宮区、浦和区といった区に分かれ 2つのJリーグクラブが在る。

昨年、大宮アルディージャはJ2にて戦い、J2優勝という形をもって1年でJ1へ復帰。
浦和レッズは変わらずJリーグ有数のビッグクラブとして存在感を大きく示し続けている。

2年ぶりとなったさいたまダービー1戦目は、1-0で浦和レッズが勝利した。
ボールを長く持つ浦和に対し、要所で対応しながら集中した守備とカウンターで勝利を目指した大宮が一歩及ばず、熟練された試合運びで試合を決めた浦和レッズの勝利。
ダービーにふさわしい熱戦を繰り広げた、5月。

7月17日。

埼玉スタジアムでの さいたまダービーがやってくる。


●J1で戦った積み重ねを魅せる時―。大宮アルディージャ

J1は1stステージを終え、2ndステージに突入した。
J2からJ1へと戻った大宮アルディージャは、昨年J2でみせたパスを多く回しポゼッションをしてのサッカーから形を変え、
しっかりと守備を敷いた上で集中したプレスからボールを奪い、速攻で攻撃を仕掛けるといった試合の運び方を展開した。

J2でやってきたことがJ1チーム相手では通用しない部分が多いと感じたという渋谷監督は、戦い方をシフトし、自分たちの最善策を選択しながら1つ1つを戦った。

J2ではボールを持つ時間帯が多かった大宮だが、今季序盤はボールポゼッション率も低くボールを持つことへのこだわりを手放し
試合を支配しなくとも勝利に繋げる必勝法で、勝利を重ねた。

GW連戦のさいたまダービーに向け、大宮は直前のリーグ試合でターンオーバーを行い、浦和との一戦に最善の準備をした。
ターンオーバーによって選手を大幅に変更したものの直前の試合も勝利で飾り、良い形と準備で迎えた一戦だった。

スタートから外国人選手を起用せず、日本人選手のみの11名がピッチに立った大宮は、浦和相手に序盤から集中し守備を敷いた。
浦和が立ち上がりから速いボール回しを行い、興梠が裏を抜ける形でシュートを序盤に放ったことにより、大宮ディフェンスは裏への対応を考慮しラインを高く上げることができない時間を過ごしたものの
徐々に堅守からの攻撃で試合のペースを握ることに成功した大宮は、ラインも高く上げ、積極的に攻撃を仕掛けた。

チームの中心である家長のマークは当然厳しく、浦和にとっては家長をどう封じるかが鍵となっていたことであろう。

集中していた大宮の粘り強くタフな戦いに、浦和は徐々にペースを握られミスを多発させた。
選手間の距離とタイミングがズレる時間帯も長く、大宮が家長のシュートでポストに当てるなど積極的に浦和ゴールを襲った。

しかし、チームとして決して調和がとれている時間帯ではなかったものの、浦和・柏木が右足で決めて先制点を奪う。

後半もお互いがハードワークをし、集中する中激しい戦いが繰り広げられたが、
柏木のゴールが決勝点となり、浦和レッズが勝利した。

浦和レッズが1-0の試合の終わらせ方、戦い方を知っていると感じさせるゲームとなった。
決定機は2度、と少ないながらも大宮アルディージャが戦力のすべてを持って最善の戦いをした印象を感じさせる記憶の残るダービーとなった。


それから約2ヶ月。

戦いに変化がみられるのは、大宮アルディージャであろう。
現在、家長を負傷で欠く大宮だが、家長不在は当然チームとして痛手ではある。
しかし、大宮は現在家長不在でも調子を落とし負けを重ねているわけではなく、昨年家長不在の中チームが不調となった時期を過ごした経験があるからこそ
今、家長不在の大宮が戦うための術に変化を感じるのだ。

大宮は1stステージを5位で折り返した。
J2から1年で昇格し返り咲いた大宮だが、昇格してすぐ5位で折り返した結果は、良い結果であると言えるであろう。
降格前までの大宮はリーグ中盤で首位になったという経験をしたこともあるが、その後、低迷。
残留争いを終盤にした経験が多い大宮のこれまで。
昨年も夏場から苦しんだ印象が強く、ここからが大宮アルディージャとして変化を魅せる時期と期待したい。

長いリーグを戦う上で、怪我人が出てしまうことはある意味想定内のこと。
各チーム負傷者を抱えてしまう時期といえば、時期なのだ。
一年を通じて同じメンバー固定で戦えるなんてことはほとんどない。
だからこそ、この家長に加え和田等主力がいない状況の中で、大宮がどのようにして戦うことができ経験を重ねられるのかということが、今後のチームの在り方にも大きく影響するであろう。

渋谷監督は自分たちのサッカーを確立し型にはめて戦うというよりは、相手をしっかりとスカウティングし大宮の選手たちの戦力を照らし合わせた上で
選手たちの能力と大宮アルディージャとしてのfootballを信じ最善策を取って戦うという戦い方をここまでしてきている。

昇格後初のJ1での試合となった開幕戦FC東京戦から、ここまでJ1での戦いを重ねることで
チームとしての質と経験を共に高め、選手個々の経験値も非常に高まっていると感じる大宮。
チーム力をより厚くしている印象のある大宮アルディージャが、埼玉スタジアムでのさいたまダービーでどのように戦うのか。

浦和レッズから移籍し、さいたまダービーにてはじめての古巣戦を戦ったGK加藤順大。
NACK5スタジアムでの気迫溢れるパフォーマンスは「守護神」という言葉が当てはまる姿が在った。
埼玉スタジアムのピッチに立つことは、言葉に言い表せるようなものではないほどに、特別なことであろう。
家長不在の今、チーム力が必要とされる時であり、決戦だからこそ90分気迫で漲る選手が一番後ろにいることは、チームにとって頼もしいはずだ。

大宮アルディージャは一丸となり、真っ赤な埼玉スタジアムに挑む。

●浦和は常に「浦和らしく」真っ赤なスタジアムで歓喜を

1stステージ、そしてACLと厳しい日程の中戦い、上位や難敵チームとばかり連戦で戦った6月を終え、1stステージは結果的に3位の位置でフィニッシュした浦和レッズ。

厳しい3連敗を乗り越え、現在はステージを跨いで5連勝中。
無失点での勝利が2試合続き、試合の内容を取って絶好調という状態ではないものの、年間順位1位の位置を目指し戦いを重ねている。

埼玉スタジアムで行われる さいたまダービーでは当然負けるわけにはいかない。
チケットはすでに50000枚以上が売れているという情報もあり、超満員の埼玉スタジアムとなりそうだ。

その中で戦えるという浦和だけが持つ特別な気持ちを持って、浦和レッズは勝利へ向かい戦うこととなる。

戦い方はもちろん変わってはいない。
浦和はいつでも「浦和らしく」戦う。

リオ五輪にオーバーエイジ枠選手として出場するエース興梠、今季移籍してきた選手ながらすでに替えの利かない守備の要となっている遠藤航もリオ五輪代表キャプテンを務め出場することが決まり、攻守に欠かせない主力2選手が不在となる夏を前に
浦和は誰が出ても浦和のサッカーができるという層の厚さを確立させつつ、主力が揃う今だからこそ勝利を多く重ねたいところだ。

5月にはNACK5スタジアムでのさいたまダービーに勝利した、浦和。
1点を奪い、そこからはゲームを握り1-0でしっかりと試合を終わらせる熟練されたチーム力を魅せた浦和だが、
大宮の集中した守備とプレスを前に、自分たちのペースが乱れる時間帯が長くあった。
ミスの連発、選手の距離感とタイミングのズレ。
家長のシュートはポストを叩いたが、決まっていればゲームを握られていた可能性も充分にあった試合だった。

乱された試合。決して浦和の必勝パターンではなかった。
そういった試合でも勝ち切れたことに大きな意味があった試合であったが、大宮は5月の戦いよりももっと質を上げチームとしての力を付けていることを念頭に置かなくてはならない。

主力が数名負傷し欠いている大宮だが、力の限りを持って浦和レッズに挑むことであろう。

どんな時も浦和は浦和の戦いをするだけに、いつも通りしっかりとしたボール回しから攻撃的にゲームを進めることが予想される。
攻撃に出るチームだからこそ、スペースを相手に与えてしまうというリスクを持つ。
そのスペースを当然相手は突くことを想定し挑むが、大宮が守備に人数をかけて浦和の攻撃陣にスペースを与えないような戦い方をしてくるのか、それとも中盤からのボールの散らしを防ぎにくるのかはわからない。
それでも浦和は浦和らしく、footballを魅せる。

満員の真っ赤に染まった埼玉スタジアムは、浦和の選手たちにより大きな力を与えることができる。
勝利の歌を共に歌う歓喜を目指し、ダービーを制すことに全力を懸ける。

さいたまダービー。
そこにはそれぞれのプライドが存在する。
アカデミーから育った選手たちは、子供の頃からダービーを戦ってきた。
絶対に負けてはいけない相手と染み付き、育ってきた。

浦和レッズ×大宮アルディージャ
埼玉スタジアム2002 19時キックオフ。

埼玉スタジアムがfootballで揺れる、熱き夜が待っている―。

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