CHANT(チャント) 日本 U-23代表

【U-23】 リオ五輪代表発表は7月1日―。運命の18名で最高の準備を 【オリンピック】

2016/06/30 22:01配信

Tomoko Iimori

カテゴリ:コラム


リオ五輪代表発表まであと数時間。
最後のサバイバルレースとなる試合が昨日アルウィンこと松本平広域公園総合球技場にて行われた。
南アフリカを迎えた五輪前国内最後となる試合は4-1で快勝したU-23代表。

リオ五輪代表メンバーについてはオーバーエイジ枠の使用が決定しており、DF塩谷司(サンフレッチェ広島)、DF藤春廣輝(ガンバ大阪)、FW興梠慎三(浦和レッズ)が内定している。
23歳以下の選手たちが代表となるのは15枠ということになる。

これまでの世代別代表での実績や予選で活躍したという事実も改めてフラットにして考えられ、選手個々の能力に加えチームを編成する上での役割とバランスを重視され選考されることとなる。
通常の国際大会は23人枠となることが多く、五輪は通常の国際大会よりも少ない選考になるが故に、選考は難しいとされている。

リオ五輪へはどのようなメンバーで挑むこととなるのか。
そして日本にとってどんな戦いが待っているであろうか。

●コパアメリカとユーロが開催された影響は吉

基本的には4年に一度行われる世界最古の大陸選手権である大会であるコパ・アメリカが、昨年に引き続き今年も行われた。
今年はコパ・アメリカの全身である南米選手権が誕生してから100年を迎えるための記念大会となったことで行われた大会となった。
同じく4年に1度の周期で行われている欧州国ナンバー1決定戦であるEURO2016が行われ、
海外主要国の名選手たちはクラブでのシーズンがそれぞれ終わってから、休むことなく戦い続けた。

海外の各クラブは7月からキャンプインとなるチームが多く、8月には新たなシーズンが開幕となるため、五輪へと選手を派遣することに対し難色を示しているクラブも多い。
日本と対戦するコロンビアはハメス・ロドリゲスの招集が濃厚と報道されていたもののコパ・アメリカに出場したこともあり断念、同じく同組のスウェーデンはイブラヒモヴィッチを招集かと大きな話題となっているが、どうなるかはわからない。
大きな大陸地域大会があったことで、各国ベストなメンバーで戦えるとは限らないのだ。
特に欧州の国々は五輪に23歳以上の選手たちの派遣に消極的であり、23歳以下の選手たちの大会という位置付けであることが多く、オーバーエイジ枠を使用してくるかはわからない。

日本も五輪代表を選考する上で海外のクラブとの難しい交渉があったのではないかと推測する。
日本も前回は海外でプレーする吉田麻也をオーバーエイジにて招集することができたが、今回は海外でプレーする選手たちの招集は難航したのではないであろうか。
国際大会の舞台だが、オーバーエイジで選出される選手たちの国際経験は豊富とはいえない選手たちが内定した。
アジアでの戦いとはまた違ったものだけに、オーバーエイジ選出の選手たちに大きな国際大会経験が少ないことは気になる点である。

ただし、シーズンを終え大陸地域での大きな大会を経て出場が危ぶまれる世界有名選手が多いことは、日本にとってはチャンスと捉えることもできる。


●南野、久保という世界を知る心強い選手たち

リオ五輪世代は国際大会への出場経験があまりないことがクローズアップされがちだが、
五輪世代においてすでに海外で複数年プレーしている状況にある選手がいるという状況は、非常にプラス要素であり、日本人選手が若き頃から世界で戦ってきた証でもある。

南野拓実と久保裕也に関しては、日本にいる頃から強烈に放った己のアピール、メンタルの強さは海外向きであるといって良いであろう。
強い相手とやればやるほど、自分らしさを強烈に出そうとするそのスタイルは世界で戦うに必要なものだ。
そういった選手たちが与える刺激は、チームにとっても大きなプラスを引き起こし、時に壊しそうになるほどのエゴは海外で成功するには必要な強さだ。

ゴリゴリとチームをも無意識に引っ張れるほどの自分勝手さも時には必要だ。
チーム全員がそうではひとつにならないかもしれないが、18人の選手たちがいれば、それぞれの色があって良い。
それをまとめあげる存在がまた別にいることでチームは成り立つ。

世界の選手たちを前にしても、大きな大会の舞台であっても、怯むことなく果敢に自分を出せる選手。
絶対に結果を出してやるという自分の欲望を出す向上心むき出しとなる選手がいるほうが、大きな舞台でチームが臆することなく戦えるのではないであろうか。

●ロンドン五輪での成功に届くには

ロンドン五輪で日本が4位という結果を出すことができたのには、大きな理由があった。
ひとつは、初戦スペイン戦を勝利で飾ったこと。

これは大きな大きなポイントだった。
短期決戦において初戦はとても重要な試合となる。
勝ち点の計算としても最初に勝ち点3を奪っておくことで、後の戦いがかなりラクになることは間違いない。
欧州のトップクラスであるスペインを前にして大きな舞台で集中して自分たちのサッカーができたことは大きかった。

もうひとつは「自分たちが勝つためのサッカー」をしっかりと確立させていたこと。
ロンドン五輪の日本五輪代表のサッカーは、90分間のハイプレスが中心だった。
どんな相手に対しても、前線からハイプレスを行い、複数人で囲んでボールを奪った。
個人能力としてはどうしても劣ってしまう分、チーム力をもって連携したプレスをかけボールを奪い、カウンターを仕掛けるというサッカーを確立させた。
スペインはじめ世界各国との戦いで自分たちのサッカーを忠実に遂行した結果、世界4位という結果を得た。
3位決定戦では同じアジアから出場の宿敵韓国に勝つことができなかったが、それでも4位という結果は予想だにしない好成績だったといって良いであろう。

五輪から28年遠ざかりJリーグが生まれてから初めての五輪となったアトランタ五輪ではブラジルを撃破するという歴史的快挙を魅せたものの予選敗退。
続く黄金世代を含めた最強チームで挑んだシドニー五輪では、ベスト8
狭間の世代と言われながらも今のJリーグを引っ張る欠かせないベテランたちとなっている世代で挑んだアテネ五輪は、1つの勝利を得たものの予選敗退。
その後、現在日本代表の中心となっている選手たちで構成されていた北京五輪は、3戦全敗。

そう考えると、ロンドン五輪の結果は日本サッカーにとって偉業であった。

今のリオ五輪世代は国際経験が少ないと言われているが、前評判はロンドン五輪の際も決して高くはなかった。
チームとしての結果はもちろんだが、選手個々の五輪を経てA代表に選出されるほどの今後に繋がる経験を積んでほしい。
ロンドン五輪は4位という結果であったものの、A代表へと進んだ選手たちをみると非常に少ないという現状だ。
北京世代が主役である日本代表から次世代へと繋がるには、ロンドン世代はもちろんリオ世代にも世界を経験し今後に繋げてもらわなくてはならない。

●ポジション別 選出選手予想

五輪代表の18枠のポジション別の人数はどのようになるであろうか。

まず、GKは2名の選出が予想される。
18枠の選手枠の中ではGKでは2名の選出がほとんどだ。
アクシデント等も考慮し、パックアップメンバーにGK1名選出ということになるであろう。

GKの選出はこの世代の代表に選出されてきた中で唯一J1でレギュラーの座を掴んでいる中村航輔(柏レイソル)と、長年この世代のゴールマウスを守ってきた櫛引政敏(鹿島アントラーズ)という2枠になりそうだ。

DFは4バックのシステムを敷く手倉森JAPANの場合は6名選出と予想される。
センターバックもサイドバックもできる塩谷、左サイドバック要員であろう藤春という二人のOA選手含めて6枠となるため、23歳以下からは4名。
内訳としてはセンターバックがあと2名、サイドバックがあと2名ではないかと予想する。
MFとして選出されるであろう遠藤航(浦和レッズ)がセンターバック要員として考えられた場合には、サイドバックが残り3という可能性もある。
しかし、遠藤は肘の靭帯を損傷したことや積み重なるクラブでの疲労も見えるため、どのように考え配置されるであろうか。

DFでの当確ラインにいるであろう選手は、植田直道(鹿島アントラーズ)。
そしてCBもう1名の選出は、負傷が心配されたが順調に回復しているであろう岩波拓也となるであろう。
植田、岩波のコンビはこの世代を代表する二人だ。
そしてSB。
まず負傷明けの室屋成(FC東京)。
このチームにとっては欠かすことのできない選手である。疲労骨折で本戦に間に合うか心配されたが、南アフリカ戦でのパフォーマンス、FC東京U-23での仕上がりをみても順調であることが伺える。
室屋が復帰できたことはチームにとって大きなプラスだ。
本戦までまだ1ヶ月あることも考慮しても、パフォーマンスを万全に戻すことができる可能性が高く、選出濃厚だ。

松原健(アルビレックス新潟)は、手倉森監督がアギーレJAPAN発足時にこの世代から日本代表へと推した選手でもあり、この世代で早くから大きな期待をかけられてきた選手だ。
松原もまた重ねた半月板損傷の大きな負傷明けだが、アルビレックス新潟でも試合に出場しており、残り1ヶ月を考えても充分な期間がある。
ただし、負傷明けを狭い枠の中で2名選出するという選択肢があるかどうかという点で考えると難しい。
左右もできる亀川諒史(アビスパ福岡)の選出となるであろうか。

MFの当確ラインは、ボランチの2名がまずは思い浮かぶ。
キャプテン遠藤航(浦和レッズ)は間違いなく当確ラインであろう。
肘の状態に加え、リーグにACLと戦った浦和レッズで疲れが蓄積している感は否めないが、それでも浦和に移籍し今季得たものは大きく、より自身に自信もついた半年だったのではないであろうか。

そして日本代表にも選出された大島僚太(川崎フロンターレ)もこの世代を長く引っ張ってきた選手であり、キャプテンを務める可能性のある選手である。
大島も川崎フロンターレで中村憲剛の隣で多くの経験を積み、レベルの高い中で己を磨いてきた選手である。
一時期は世代別代表でも良いパフォーマンスができずにいた時期もあったものの、選手としての逞しさが増した印象がある。
川崎では守備面での貢献度が高く目立つが、この世代ではボールを落ち着かせることや前線への攻撃のシフトも期待される役割となるであろう。
日本代表へと選出されたことも、これからこの世代からA代表へと進む一人として考えられているからであり、今後に繋がる選手の一人となりそうだ。

MFは6名と予想される。
ボランチに3名、もう一列前に3名と考える。

MFとして名を連ねることになるであろう矢島慎也(ファジアーノ岡山)と南野拓実(ザルツブルグ)も当確であろう。
そして南アフリカ戦でゴールを決め完全復活を魅せた中島翔哉(FC東京)も当確といって良いであろう存在感を示した。

残り1枠のボランチには、どの選手の選出となるのであろうか。
やはりJ1で定位置を掴み、複数のポジションで高いパフォーマンスを魅せることができる橋本拳人(FC東京)であろうか。
試合にコンスタントに出場していることで状態も良く、ゴールも記録しているだけあり勢いもある。
メンタルも強く、試合の状況を覆す力を持つところも魅力的だ。

FWは4名の選出になるのではと予想する。
FWは興梠慎三(浦和レッズ)がオーバーエイジ枠で選出されることが内定しており、アーセナルからオファーが届いていると報道された浅野拓磨(サンフレッチェ広島)、久保裕也(BSCヤングボーイズ)、と3名は間違いないであろう状況。
もう一人の枠は誰になるであろうか。

明日、発表されるリオ五輪代表。
W杯に五輪…かならず涙を流す選手が存在する。
今、当落選上にない選手たちであっても過去にこの世代で常連だった選手や、招集されてきた選手たちがたくさんいた。
すべての選手たちの想いを背負い。代表として。

リオデジャネイロの地ですべてを出してきてもらいたい。
そして残り1ヶ月。
最高の準備をして、迎えてほしいと願う。


リオデジャネイロ五輪、サッカー男子代表選手発表は
7月1日 14時。

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