【Jリーグ】 1stステージ4強まとめ セカンド/年間優勝を目標とする今後の戦い 【2016】
2016/06/29 11:52配信
カテゴリ:コラム
6月25日。
J1は1stステージ17試合を終えた。
鹿島アントラーズが1stステージ優勝を決め、7年ぶりのリーグタイトルを手にした。
16節にて、それまで首位を走っていた川崎フロンターレがアビスパ福岡と引き分け、鹿島アントラーズはヴィッセル神戸に勝利したことで逆転首位に立っていた。
2位川崎フロンターレも1stステージ最終戦をホーム等々力競技場にて史上最多入場者数を記録するほど超満員の中で戦い、5位大宮アルディージャに勝利。
鹿島アントラーズも優勝する瞬間を共有しようと集まった多くのサポーターが埋め尽くすカシマスタジアムにて、アビスパ福岡に2-0で勝利をおさめ、2位川崎フロンターレに勝ち点1差上回り、1stステージ優勝を決めた。
●圧倒的なリーグ最少失点。「勝ち方」を知っている伝統を踏まえ新たな鹿島で掴んだステージ優勝
1stステージを制した鹿島アントラーズは、ステージ優勝と同時に今季チャンピオンシップ出場が決定したこととなる。
鹿島の重ねた勝ち点は39。12勝3分2敗と敗戦数でいくと川崎フロンターレの1敗に比べると1つ負けが多いものの川崎は引き分けが5と多く、鹿島は引き分けが3。勝利した試合数が鹿島の方が1試合多く12と、勝ち分け敗けすべてのトータルの勝ち点が改めて影響した1差だったと感じる。
総得点は29得点、そして失点は17試合でわずか10失点と、断トツのリーグ最少失点だった。
得点力はリーグ1ながら失点が常にネックとされてきた川崎だが鹿島に続き、失点が少なく15だったものの 川崎と鹿島の失点数でも5点の開きがあったほどに鹿島の失点が少なかった。
17試合中無失点が9試合(ひとつはスコアレスドロー)と半数以上の試合で無失点という結果を残した。
GKベテラン曽ヶ端とセンターバックを務める日本代表・昌子とリオ五輪代表候補である植田のコンビとの連携は、より深さを増し鉄壁となり鹿島らしい剛と柔を持っての守備を感じさせた。
さらにSB西のポジションを越えた広範囲に渡るパフォーマンスや、1対1での強さ、判断能力の高さ
ボランチ小笠原と柴崎の相手をも巻き込む全体的なバランスを取りながらの90分通しての舵操作など、全体的に鹿島はより「鹿島らしく」なり質が高く、ひとつになっていた印象の1stステージだった。
Jリーグ初年度から強さを誇る鹿島という印象ながらも、ここ数年はチームの世代交代もあり経験不足や若さがマイナスに出てしまう印象もあったことは否めない結果もあったが、
今は全員が「鹿島らしく」経験も積み重ね、自信と鹿島アントラーズであることの意識を持ってプレーしていることが伝わり、なによりその豊富なクラブとしての経験からか、大事な場面での勝ち方や試合の終わらせ方、そして優勝への歩み方を感じさせた。
これまで経験を積んできた選手たちだけでなく、その先輩たちに臆することなく強い己を持ってチャレンジする杉本など、若い選手の台頭も鹿島にとって今度さらにチームとしてプラスになるであろう材料が多いことも強さを感じさせる。
ステージ優勝を決めても、鹿島の選手たちの歓びは大きなものではなかったように感じる。
目指しているものはココではないと小笠原が口にしたように、鹿島アントラーズとして目指している場所は年間優勝だ。
すぐに始まる2ndステージ初戦は、1stステージと同じくガンバ大阪。
再び鹿島の挑戦がはじまる。
●失点の大幅な減少とリーグ1の得点力の健在。川崎の目指すべきサッカーを極める先は―。
川崎フロンターレは今季も「継続」を続け、風間監督の目指すサッカーがより明確に表現されたことに大きなポイントとなったのは守備面の向上があげられる。
川崎特有の速いボール回しと動きながら流動的に進める試合運びの中で、動きながら守りつつ攻撃にも繋がるボールをという流動したディフェンスを実現し、今季DF奈良やGKチョンソンリョンが加入したことも大きく失点が大幅に減った。
昨年の1stステージの失点数が26だったことに比べると、今季1stステージは失点15と減少したことは大きく、多くの勝利に結びついたといえるであろう。
得点力はリーグ1。中村憲剛を中心に前線に配球される多彩なボールの数々が届けられ、大久保そして日本代表・小林悠を中心に得点力が今年も爆発。リーグ1の33得点を奪った。
リーグのほとんどを首位の位置で過ごした川崎は長年目指し続けているタイトルへ向けて邁進したものの、前節タイトルを目前に引き分けてしまったことが響く結果となってしまった。
ステージ優勝に届かなかった勝ち点はわずか1。
ステージ優勝は成らなかったものの、年間首位の道はもちろん、2ndステージ優勝の可能性も多いに秘める。
昨年、ドイツ・ドルトムントと試合を行い目指すべきサッカーを実際に体感した川崎フロンターレ。
速いボール回しと、選手たちが常に流動し「動くサッカー」の世界観を持って、自分たちのサッカーを長い時間を持って確立させているが
今後さらにチームとして熟成したとき、タイトルという結果が待っているかもしれないと感じさせるチームである。
●厳しい戦いが続いた6月。3連敗からの脱却に成功し年間首位を目指す浦和
3位は浦和レッズとなったわけだが、浦和は川崎に勝ち点5差。鹿島には6差つけられてのフィニッシュとなった。
5月下旬から厳しい戦いが続き、苦しい6月を過ごした。
やはり大きく響いたと振り返らざるを得ないのが、ACLラウンド16の2戦目。FCソウルのホームで戦った敗戦だった。
延長でも決着がつかずPK戦までもつれ込んだこの試合の敗戦が、大きく選手たちのメンタルを奪ったことは確かだった。
その後中2日で迎えたリーグ鳥栖戦では、疲れはもちろんメンタルも回復はせず、スコアレスドローで試合を終えると、上位陣や難敵ばかりと対戦する連戦の6月を迎え、上位対決となった鹿島との戦いではゲームの運び方で違いを見せつけられる形となり、完敗。
連戦でアウェイ・ガンバ大阪との試合では、ガンバに対して苦手意識があると言われてしまうほど大事な場面で敗戦を喫してきた相手だからこそ勝って6月の連戦に勢いをつけたかったものの敗戦。
連戦により埼玉には帰らず広島でミニキャンプを組み挑んだライバル・サンフレッチェ広島との試合ではガンバ戦に続き早い時間に失点を許してしまうもののその後前半の時間に2点を奪い、逆転して折り返すも後半には3失点。
チームに精神的なダメージが大きくなってしまう「らしくない」ミスから喫した失点も含めて、今季最大の4失点で敗戦という痛すぎる3連敗を経験した。
それでも連戦は待ってはくれない。
ACLラウンド16への進出によって順延となり開催されたFC東京戦では、2失点を早い時間帯で喫しながらも、諦めることなく戦った浦和は選手交代によって流れを掴むとスタジアム全体がひとつになって戦った結果、逆転に成功し3-2で勝利。
長いトンネルを抜けたような逆転勝利は大きな勝利となった。
迎えた1stステージ最終節では、神戸に3-1と勝利したものの、優勝した鹿島には勝ち点6差を付けられての3位という位置で1stステージを終えた。
しかし、浦和も目指すところは年間首位の座だ。
年間で一番高いところに立つことが真のタイトルとの考えをチームとして統一して持っている浦和レッズは、シンプルに一番高いところを目指し、戦う。
●エースがついにゴール。上昇気流に乗った広島は昨年の強さを越えられるか
4位にはサンフレッチェ広島。
鹿島とは勝ち点が10離れているが、優勝の可能性が絶たれた中でも次に繋がる大きな勝利を重ねたことは、今後目指す2ndステージタイトルや年間タイトルに向けてプラスとなったことであろう。
宿敵・浦和レッズとの対戦で4-2という逆転勝利をしたこと。そしてその試合では久しぶりの出場となった多くの人々が待ち望んでいた佐藤寿人が出場し、相手のミスを逃さずゴールネットを揺らしたことはサンフレッチェ広島にとって大きな大きな出来事となった。
今季の広島はリーグ序盤は昨年末のセカンドステージ優勝、そして年間首位の座を獲ってからの、チャンピオンシップ。そしてリーグ優勝。
クラブワールドカップでは熱戦で日本中を湧かせ、その後の天皇杯も戦い続けた。
連戦が続きシーズンを終えたが、ACL開幕へ向けた準備のためキャンプインから短い期間で今季の土台を作り、シーズンスタートからゼロックス杯、ACL開幕、そしてリーグ開幕と3連戦をこなさなくてはならない王者故の厳しい現実があった。
ACLとリーグの両立をチームの選手総動員で戦ったものの、なかなか思い描く結果を出すことができず苦しんだ時間もあった。
しかし、今年新たに加入したピーター・ウタカが早い時期からフィットしたことは、広島の新たなポイントとなったことに加え、昨年のクラブワールドカップでの台頭目立った茶島等、サンフレッチェ広島の可能性をさらに拡げた。
ACLは残念ながら予選敗退となってしまったものの、広島はリーグ中盤チームの中心の一人である森崎和幸が負傷から戻ったことで守備の連係が安定し、広島らしいサッカーを呼び戻すと、調子が徐々に向上。
1st終盤には今季背番号10を背負う浅野が今季初となるゴールを決めたことでチームの明るい材料となると、出場機会が激減してしまっていた佐藤寿人が出場しゴールを決め、広島のエースとして待望の姿を魅せたことでチームに一体感がより増すと、
続く試合では佐藤寿人がスタメンで出場。ウタカと並んで2トップを組むという、広島の新しい形を引き出し、1stステージ最終節を3-0で快勝し4位で終えた。
今まさに、サンフレッチェ広島は向上の時期真っ只中。
自らの悔しい想いもあることながらチームのためにベンチでできることのすべてを出し戦っていたエースがピッチに立ち、ゴールを決めたことはなによりも広島のプラスとなったことであろう。
今季の「これから」に向け、広島は今、上昇気流に乗っている最中だ。
昨年もリーグ中盤から強さを発揮した広島だが、今季はさらに強力である可能性を感じさせる。
リオ五輪時期にOA枠で選出が決定しているDF塩谷、そしてFW浅野が選出されることが濃厚であり広島の戦力としてはキープレイヤー2名がチームを離れることは大きいが、
昨年のクラブワールドカップ、天皇杯、今季のACLとリーグと総動員で戦い経験を積んだ選手が多くいるからこそ、広島らしく戦える選手が揃っているはずだ。
大きな怪我をして戦慄を離されている選手もいるが、仲間のために強い力を発揮できるところも、広島のチームとしての絆の深さでもある。
これからの広島はリーグの中心となる可能性を大いに秘めている。
上昇気流の中にいるからこそ、2ndステージがはじまることも広島にとっては利点かもしれない。
今の勢いを持って年間首位そして2ndステージタイトルを狙っていく。
これから過酷な夏場を迎え、はじまるJ1 2ndステージ。
今年はリオ五輪が開催されるため、主力選手が長期不在となるチームも出てくる。
さらにはJリーグYBCルヴァンカップ ラウンド16、天皇杯が始まり、日本代表のW杯アジア最終予選もスタートする過酷な日程が再びスタートする。
2016シーズンの戦いは、まだ半分を終えたばかりだ。
勝ち点0から再びはじまる2ndステージ。
そして前半期に重ねた勝ち点からの積み重ねとなる年間順位。
まだまだJリーグは、何が起こるかわからない。