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武藤をもとに考える 「ブンデスで成功する日本人」ってどんなタイプ?

2015/06/29 19:50配信

武蔵

カテゴリ:コラム

日本人選手の成功と失敗

ドイツ1部・ブンデスリーガへと移籍する日本人

これが増えていることは、今さら言うまでもありません。

昨シーズンは13人もの日本人選手が、ブンデスリーガに在籍しました。

このUEFAリーグランキング2位のリーグへの

挑戦とも言って良い移籍は、当然、成功もあれば失敗もありました。

それらを分けたものとはいったいなんなのでしょうか。

武藤嘉紀はドイツで成功できるのか?

そして2015-16シーズンから、武藤嘉紀(FC東京→マインツ)が

海を渡り、その挑戦に続きます。

頑張ってほしいとは思うのですが

気になるのは、武藤が成功できるのかどうか。

今回は、今までの成功例や失敗例をもとに考えていきたいと思います。

よく、海外での成功のカギとして語られるのは

語学面に関することです。

先日の女子W杯・オーストラリア戦で決勝ゴールを挙げた岩渕真奈は

2012-13シーズンからドイツでプレーし続けており

チームの公式インタビューに、ドイツ語で受け答えをしているほどです。

また、ドイツではありませんが

FC東京から海外へと飛び出したという意味では

武藤の先輩にあたる長友佑都は

チームのムードメーカーと言える存在となっていることは有名です。

ただこの場合、語学はなんのための語学であるかと考えると

それは戦術理解を図るため、という点が大きいと言えます。

意思疎通を図るのもそのためです。

つまり、語学に関することは競技に対する副次的なものだと考えます。

そのため、ここでは戦術面において

武藤がブンデスで通用するかどうかを考えていきたいと思います。

攻撃面と守備面の2つの観点から見てみます。

攻撃面でカギとなる、武藤の身体的特徴の変化

まず、武藤はどのポジションで起用されるのでしょうか。

マインツ強化部の丁寧な説明によれば

4231の2列目の左右、特に左が有力とのことです。

このポジションで最も成功したと言える日本人は

フランクフルトの乾貴士でしょう。

ブンデスで74試合7得点を記録し

3シーズン続けて2ケタの試合出場を果たしています。

乾の特徴といえば、小回りの利いたドリブルを基に

そこからパスやシュートなど、決定的な仕事ができるところです。

では、武藤にそのような特徴はあるのでしょうか。

武藤は、乾とは身長差が10cmほどあるため

乾のように小回りが利いたドリブルでブンデスの屈強なDFを

手玉に取ることは難しいかもしれません。

ただ、昨年のベネズエラ戦や東京時代の清水戦のような

身体的なキレを生かしたドリブルシュートが特徴の選手ですので

サイドからの仕掛けが通用する可能性はあります。

https://youtu.be/_ACASJaz6cs

↑昨年清水戦でのゴール

このゴールで振り切ったDFは

カナダ代表でも活躍するヤコヴィッチです。

国際レベルでの力量が測れるゴールでした。

ただこれは従来の、昨季までの武藤です。

今季の武藤は、また違った選手になりつつあります。

それが「武藤はドイツで通用するのか」を

一筋縄では語れない理由でもあります。


今季の武藤はチーム事情から、FWでの出場がほとんど全てです。

ボールを収めるための強さ、1試合を走り切るための持久力

また、チームではロングカウンターが多くなるため

キレというよりは30m~50mのスピードを重視した

身体作りとなっている傾向にあります。

このためか、最近の日本代表やJ1の舞台において

ドリブル突破ができなくなっているというのが現状です。

4月から続くコンディション不良の影響はあるでしょうが

気になるところではあります。

また、武藤はフィジカルの強さを重視したため

クロスからの得点が増えています。

今季の公式戦での得点は12点(うちPKが3点)です。

流れの中からの得点は9点となりますが

そのうち、過半数の4点がクロスに合わせたものとなり

そのうちの3点が、ファーサイドに位置してのものです。

マインツの攻撃パターンを考えると右からのクロスが多い傾向にあります。

印象的だったのは24節の3位・ボルシアMG戦で

20本のクロスを上げ、結果として2得点を奪っていますが

そのうち右からのクロスは18本を数えました。

右からのクロスを左から入ってきた武藤が決める、というシーンを

どれだけ作れるかが、武藤にとっての活躍のカギとなるでしょう。


そういう意味では、岡崎慎司は参考になるかもしれません。

言わずと知れた、ブンデスの日本人の中でもトップの成功例である岡崎ですが

その特徴は、ゴール前でフリーになるための

限りない動き出しの回数と質です。

武藤もJリーグでは毎試合、チームトップのスプリント回数を誇り

運動量豊富な点も、動き出しの回数をある程度は保証するものと言えるでしょう。

ブンデス仕様の動き出しの質の高さを

いかに身に付けるかが重要となってくるでしょう。

ドイツで重要となる「守備のやり方」

では、それができればドイツでは通用するのかといえば

それだけでは不足と言えるでしょう。

なぜなら、攻撃と守備を足して合わせたものがサッカーだからです。

特に日本人の移籍するクラブは、スモールクラブが多く

守備を固めてカウンター、という戦術が多く見られます。

武藤の移籍するマインツも、そのご多分に漏れません。

今まで日本人のドイツでの失敗の原因として上がるのは

この手の、まずは守備という戦術にマッチしなかったというものが多くあります。

例えば、大前元紀はJリーグを代表するアタッカーではありますが

ドイツ1部・デュッセルドルフでの挑戦は

結果としてポジティブなものではありませんでした。

大前の失敗の原因は

・サイドの守備におけるフィジカルの強さの不足

・冬移籍による連携不足

これらを挙げることができます。

武藤はこの2つはクリアしていると言って良いでしょう。

フィジカルの強さはJリーグでもトップレベルですし

夏移籍なので、連携面の不安も少なくて済みます。

ただ、心配な点も1つ。

武藤のJリーグでの守備は

いささか深追いが目立つ面があります。

相手を追い回し、時にはプレスバックでボールを奪い取り

味方の守備陣を助けるといった面がありますが

前線へのプレスで深追いが目立ち、切り替えで遅れる場面もあります。

これは武藤がFC東京ではFWであるからという面もありますが

ドイツでは、守備面の質の高さを示さねばなりません。

サイドの守備で重要なのは

・数的不利を作らないこと

・相手にスペースを与えないこと

などが挙げられます。

つまり、Jリーグで見られるような

相手を深追いする守備は禁物ということです。

武藤にとっては、守備のやり方をドイツ流に調整できるかどうか

それが成功のカギとなってくるでしょう。

武藤嘉紀、未来の先例たれ

ここまで、成功例や失敗例を挙げながら

武藤がブンデスで成功できるかどうかを

そして、ブンデスで成功する日本人のタイプについて考えてみました。

ここで分かったことは

武藤は今までにいなかった選手だということです。

今までブンデスに挑戦してきた選手の中では

特殊な例だということが言えます。

今までの例には当てはまらない部分が多くあるということです。

つまり、今までの例は例として

また新しい「ブンデスでの日本人像」を

確立してくれることを、期待したいところです。

武藤はブンデスの日本人にとっての

新たな成功例となることができるでしょうか。

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