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高円宮杯チャンピオンシップ 柏レイソルU-18に見る 柏レイソル・トップチームの未来

2014/12/26 19:07配信

武蔵

カテゴリ:コラム

高校生年代の頂点のカテゴリーと言える高円宮杯プレミアリーグは

Jクラブのユースや高校の部活サッカーが入り乱れて最高峰を決める大会です。

その8ヶ月に及ぶリーグ戦を勝ち抜いた東西のチャンピオン同士がぶつかる

高円宮杯チャンピオンシップが、14日(土)

埼玉スタジアムで行われました。

今年は、2011年のトップチームに続き

プレミアEAST昇格初年度での優勝を成し遂げた柏レイソルU-18と

最終節に優勝の可能性を残すチームが4チームあった大激戦を勝ち抜いたセレッソ大阪U-18の対戦となりました。

このチャンピオンシップも2011年の第1回から数えて4回目となり

2種年代ファンにとっては、すっかり定着したと言っていいでしょう。

年末から年明けのJユースカップや高校選手権の前に

リーグ戦に区切りを付ける集大成と言えるでしょう。

それを、今年は上記の2チームで争うことになったのです。

噛み合う2チーム、それぞれの特徴

チャンピオンシップに進出してきた2チームには

それぞれ特筆しやすい特色をもった「組織的なサッカー」

しかしその特徴は、全くの正反対と言えるでしょう。

まずC大阪U-18ですが

こちらは「ドルトムントと似通ったところがある」と大熊裕司監督が自称するスタイルです。

442で守備ブロックを形成するや否や、FWから2列目から3列目からと

ドンドンと、前へ詰めるようにプレスをかけていきます。

最後まで落ちない運動量で、相手のポゼッションに息つく暇を与えません。

対して柏U-18ですが、GKからショートパスを連続して繋ぐいわゆるバルサスタイルで勝ち抜いてきました。

「全クラブの中で、日本で一番バルセロナに近いチーム」とも評されるその完成度は一見の価値があります。

このような特徴の2チームが対戦する場合どちらが持ち味を出すかというところに興味は尽きません。

2種年代で、同じカテゴリー、同じJクラブのユースとなれば力関係はほぼ互角と見ることが出来ますし

柏U-18がパスを繋ぎ倒すのかはたまた、C大阪U-18が柏のポゼッションを無効化してしまうのか

焦点はそこに絞られていたと言えるでしょう。

持ち味を出せなかった柏U-18。C大阪U-18が勝った理由。

結果から言うと、C大阪U-18が勝利を収め、この年代の頂点に付きました。

柏U-18は得意のポゼッションを用い「自分たちのサッカー」を進めようとしますが

ゲームとボールをコントロールすることは出来ませんでした。

ハッキリ言って、90分のうちで1回しか上手く運ばなかったように思います。

C大阪U-18は442の隊列を組み、積極的に前からプレスを敢行し

目論見通りの「自分たちのサッカー」でペースを握りました。

90分の半分以上で、その鬼プレスを実行出来るという驚異さが売りのチームですが

その鬼プレスをしない時間帯であっても

相手のポゼッションのキーマンである433のアンカーの手塚康平を

2枚のFWがガッチリマーク。

真ん中を経由させないことで、相手は攻めにくく、味方は守りやすくという形を作りました。

これにより、相手のポゼッションを機能不全にし

相手を推し込むことが出来たC大阪U-18がセットプレーで先制点をもぎ取り

1-0で勝利をつかむことに成功しました。

このセットプレーというのも

相手を相手陣内に押し込み、苦し紛れのクリアをひろったところで

ファウルを受け、そのFKからのゴールだったことから

目論見どおりにゴールを陥れたと言えるでしょう。

より「自分たちのサッカー」を体現したことがC大阪U-18の勝利の理由と

言えるでしょう。

Jユースカップは既に敗退しているため有終の美を飾る事になりました。

柏U-18から見る、トップチームの未来

対する柏U-18は残念でした。

「自分たちのサッカー」が体現出来ませんでした。

Jユースカップも既に敗退しているため、悔しい、このチームでの最後の試合となってしまいました。

さて、ここから柏レイソルのトップチームの今後について少し。

柏レイソルはネルシーニョ監督が今季限りで退任。

後任として吉田達磨強化部ダイレクターの就任が内定しています。

吉田達磨氏といえば、このバルサスタイルの柏の下部組織を創った

中心人物として知られています。

U-18ではなく下部組織という表現を使うのも

このバルサスタイルでその年代の世界大会を席巻した柏U-15が存在するからです。

つまり、来期の柏は否が応にも激動の年となると見られています。

そして行き着く先は、これらのバルサスタイルなのではないでしょうか。

しかし、チャンピオンシップを見る限りでは、一抹の不安が残ります。

ネルシーニョ体制での柏のスタイルをあえて言うなら

ズバリ「ヴィトーリア」だったと言えるでしょう。

ポルトガル語で勝利を意味するチームのスローガンであったことは有名ですが

それをまさに体現したチーム、クラブでした。

途中就任した2009はJ2降格を免れませんでしたが

2010年のJ2優勝を皮切りに、Jリーグ、天皇杯、ヤマザキナビスコカップの3大タイトルをまさに毎年獲得してきたことがなによりの証明です。

重要な試合やタイトルマッチで必ずヴィトーリアをもぎ取ること、

その勝負強さや劇的に勝つ試合運びが柏のスタイルだったと言えます。

しかし、今回のチャンピオンシップではそれが発揮されませんでした。

「自分たちのサッカー」に固執した感がありましたし、トップチームのような

勝利から逆算されたような試合運びを見せることは出来ませんでした。

そういう意味で「ヴィトーリア」を体現するべきチームの下部組織とは

胸を張って言うことは出来ません。

トップと下部組織と、同じく「先」へ繋がる内容が求められます。
サッカーは内容が伴わなければ、結果も続かないからです。
しかし、トップと下部組織では、その「先」の性質が異なると言えます。
未来のトップチーム、また、トップチームのこれからのプレーモデルたる
下部組織が、チャンピオンシップの結果はもちろん、内容を続けるようでは
先は暗いと言わざるを得ません。

また、トップチームの性質にも目を向けなければいけません。
プレミアEAST制覇という成功体験があるとはいえ
なにがなんでもの勝利よりも「自分たちのサッカー」にこだわる姿勢で
サポーターの共感が得られるでしょうか。
人々は、とりあえずいまのところは、気持ちを見せることで
共感を呼び、サポートしようという気持ちを呼ぶようです。

吉田達磨強化部ダイレクターといえば

柏がアトラクションやスタジアムグルメに比較的、力を入れていないのは

なによりも試合がメインであり、勝つことがファンサービスである

といった趣旨の発言が思い起こされます。

私はそれに賛同しますし、少なくともJリーグにそういう

クラブがあっても良いと思っています。

しかし上記の危惧の通り

ヴィトーリアの精神をスタイルとは別に受け継ぐことが出来なければ

口だけと言われてしまうことになるでしょう。

柏に対して、そんな不安を抱かせるチャンピオンシップでした。

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