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【footballほぼ日】 日本代表×ウクライナ解説 ウクライナにあって日本になかった『意外性』その違いとは 【日本代表】

2018/03/29 12:56配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:コラム


日本代表戦が終わると必ず出てくるのが 誰が悪かった、誰が良かったという選手別評価です。
しかし、試合を今行う理由は 戦犯を見つけるためのものではないはずです。
チームとしての現在地を図り、4年間を積み重ねてきた日本代表がW杯に向かう最終調整、メンバー固めのための試合のはずです。

…が。
誰が悪いとか、誰が良いという問題ではなく
チームとしての組織、疎通ができていない
チームの決まり事もふわふわしているということがわかる試合をしてしまったと感じた 今回のウクライナ戦。

ウクライナ戦での、日本とウクライナにあった『差』を紐解きます。

●効果的な守備の連動性。前線の守備の決まり事は?なぜ日本代表はボールを奪われ続けたのか

ウクライナ戦をみていて、気になった第一は、すべて予測通りにボール進む、ということでした。

テレビ画面越しにみてみても、次にココにボールがでるだろうな、というところにボールが出ていました。
それが、どういうことなのか―。

観ている側がボールの出どころがわかるということは、ウクライナの選手たちにもそれが読めている、ということ。
では、なぜ読まれるのか。
素人でも予測できるようなところになぜ常にボールが出るのか。

それは、ウクライナの選手たちが効果的なプレスをかけていたからです。
コースをしっかり切るプレスをかけ続けていたため、ボールの出どころを集約することで、ボールの出しどころを限定する。
その結果、ココしかないというボールの出どころを狙ってあとはボールを奪取しに行けば良いだけとなり、
日本代表はボールを奪われてしまう場面が多くみられました。

最終ラインから、しっかりとウクライナのFWはコースを切る動きでボールの行先を限定し、
ボールをサイドに流させる。そして、サイドから中にボールを出せないよう中のコースをしっかりと限定するよう選手が動くことで
日本代表はサイドバックからサイドハーフの選手へと、縦のボールしか出せず
ウクライナはそこを狙ってボールを奪いにいっていました。

サイドからボールがひとつ前に出たところで、ぐしゃっとなってボールを奪われていたシーンが多かったのはそういうことです。
ボール奪取の狙いどころを、ウクライナの選手たちは効果的なプレスをすることで限定していくことができていた。

では、なぜ日本は逆にそういった攻撃ができなかったのか。

ウクライナの最終ラインのボールをまずFWが追いますが、コースを切ってサイドにボールを流させます。
ここまでは同じ。
しかし、そこからもうひとつ前に出た段階でプレスにいっても、逆サイドの最終ラインに戻される。
振られたそのボールに対して、FWが逆サイドまで再び行ってサイドハーフの選手と挟んでコースを消しにいくのか、それとも
前線の選手が再び行くには距離があるので追わずに、中盤の選手たちに任せるのか。

その2択というのは、チームによって守備のルールに違いがあることが多いので、
そこをおそらく決められてないことで、杉本選手・柴崎選手がどこまでボールを前線で追ってコースに入るのかというところが
うやむやになってしまっていたように感じました。

その結果、中途半端な形で動くことになりました。
プレスというのは選手が一人動けば全員が連動して動かなければ効果的ではありません。
各国代表のような速い攻守の中では特に。
一人がズレると全員ズレます。その結果、ズレが生じてできたスペースを狙われてボールを回される。
そのズレが生じたスペースに、ウクライナは選手たちが常に動くことでスペースを作り出して
シュートで終わるような効果的な攻撃を繰り返しました。

●世界と戦うために必要な『意外性』のあるプレー。戦いはボールのないところでも。

日本代表は、どこに次のボールが出る、というのがわかるようなパスが多かったのに対し
ウクライナ側は、こんなところにボールが出てくるのか、こんなところにスペースが、という意外性のあるプレーが多くみられました。

意外性のある動きが多い。
その理由は、ウクライナの選手たちはボールがこなくてもココにボールが出てくるかもしれない、と思わせる 選手たちの走りがあった、ということにあります。

例えばサイドの選手とFWの選手の間に、ボランチの選手が飛び込んできていたり
中でボールが回っていてもサイドの選手が走って上がってきていたり、といったような
ボールがないところでの選手たちの動きがあることによって、
日本のディフェンスはそこにボールが出てもいいように、気にかけなければならなくなりますし、
気にかけたことによって次の攻撃のときもココを警戒しなくてはいけないと準備するようにもなります。
ボールのないところの動きを繰り返すことで、相手を欺きやすくなり先を読みにくくする。
ウクライナはそれが出来ていたことで、日本のディフェンスにはズレが生じてしまい、狙いどころも決められずボールが奪えませんでした。

日本代表は、終盤にそれがやっとできるようになりました。
それを象徴した場面が、中島翔哉選手がボールを持っていた場面で背後からサイドに走り込んだ長友選手にボールを出さずに
自分で切り替えしターンをして相手を振り切ったシーン。
あのシーンは長友選手がサイドに走り込んだことで、中島選手と対峙した選手がサイドにボールが出ることも警戒しなくてはいけなくなり
その瞬間的な隙間を突いて中島選手が抜き去りました。
選手たちはちょっとした体重移動による身体の体勢や視線を使ってフェイクを入れる場合もあるので、
もしかするとサイドに出すぞという視線や軸足に体重を乗せたフェイクを入れて、抜き去った可能性もあります。
そこまでは画面では確認できないので、わかりませんが。

それまで単調となってしまっていた日本代表の攻撃にはなかった「意外性」によって決定機を生み出したシーンでした。

相手にいかに読まれずに、意外性を持って欺くプレーができるか。
それを生むためにはボールを持っていない選手が、スペースに走り込む動きを何度もすることで、
どこから狙ってくるかわからないという警戒心を相手に与えることが大切です。

しかし。
日本代表が終盤それを仕掛けることができたのが、ウクライナがかなり疲れた時間帯だったからということも
忘れてはいけない点です。

ウクライナは終始、試合中にボールのないところで動き、守備でも効果的なプレスに走っていましたから
終盤はかなり疲れていました。
それでも体力がなくなった終盤であっても、要所をきちん決めて押さえることで、守備が脆くなることはなく90分を戦っていました。

ウクライナにサイドチェンジされる場面が多かったですが、あの長い距離のあるボールをきちんと人が動いた状態で
きちんと蹴れるということ。
サイドに振ることで、逆サイドで行われていた日本代表のプレスが全部無駄となり、逆サイドにボールを振ることで
日本代表の守備形態が整わずバタバタしてしまうところを突いてシュートまでいくこと。

完全なる、チーム組織の差が出た形となった試合でした。

ウクライナは強かった。明らかに日本代表よりも技術も組織も上でした。
しかし、ウクライナはW杯には出場しないチーム。出場できないチームであることを理解しなければいけません。

W杯に出場するチームはもっともっと、上です。
そこに出場できる日本も、もっとチームとして完成していなくてはいけないはずなのです。

試合後の選手たちのコメントを見て、
長谷部選手の何も良いところがなかったという言葉や、柴崎選手の守備に関してのお話がありましたが
選手たちはやっている側ですし、サッカーを書く人間といえどもこんなピッチに立っているわけではない素人が見て感じるのですから
日本を代表する選手たちはもっと重々理解しています。
日本代表がどうやられたのか。どうすべきだったのか。
どこに問題があったのか。


誰が良くて、誰がダメという議論ではなく
なにをどうするために、個人個人がこれから所属チームでそれを意識して取り組むことができるか。
日本代表の短い招集の時間の中で、トレーニングでそれをどうチームに落とし込むのか、というところが重要であると思います。

日本代表とJリーグや海外の各リーグ。
関係ないようですごく関係があって選手たちが所属するチームでどれだけ意識して取り組めるか。
ボールのないところでの動きや、相手を欺くプレー。隙を突く動きや意外性。
連動するとはどういうことなのか。
それを突き詰めて高めることができるということが「意識」ある選手なのだと思います。

選手たちは日本トップクラスの選手たちだけに限らず、高める意識を持っているならば常に全員が持っているはずです。

次は、W杯メンバー発表前日の試合。

W杯、本当にあるの?というほどの今の状況。
日本代表の熟成度もそうですし、日本サッカーの盛り上がりも。
正直、W杯が今年開催されるという雰囲気には現在ない、と言えます。

細かい小難しいことを解説してきましたが、
サッカーを観る人たちも、サッカーを観ない人たちも
魅力を感じる点はただ一点。

勝つか負けるか、ではなく(もちろん勝利が一番ですが)
ワクワクするかドキドキするかというところだと思います。

日本を背負って、ドキドキワクワクさせてくれる戦いを
日本代表に、そしてそこを目指す日本、そして世界で戦うすべての選手たちに

改めて、心から期待したいと思います。

 

 

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