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【RKU】 FC東京に5失点完敗。大学サッカーの先輩たちが感じていた『気持ち』と『気迫』の伝統 それを引き継ぐ戻ってきたチームの柱 【流通経済大学】

2018/03/27 12:07配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム

関東大学リーグ開幕まで残り2週間となった、3月24日。
流通経済大学サッカー部は、FC東京との練習試合に挑んだ。

この週は、中2日というスケジュールで練習試合を3試合 組んできた。
柏レイソルとのTMでは1-3、東京農業大学との対戦では4-2、そして3連戦の最終となったFC東京とのTM。
体力的にも疲労がみられる試合であったことは間違いないないが、結果は厳しい0-5というものだった。

日本代表活動期間のため、Jリーグが中断していることもあり、FC東京の主力と戦える機会となったこの日。
Jクラブと多く練習試合を行う流通経済大学だが、Jクラブは控え選手中心となることが多いだけに、主力揃うチームと対戦できるのは貴重な機会である。
J1と大学。というと当たり前に力の差があるのが当然かもしれないが、それにしても厳しい結果だった。
0-5。5失点を喫しての大敗となった。

数字的な差だけではなく、はじめて流通経済大学というチームを観た人たちに、何の印象も残すことができなかったであろう90分だった。
「観ての通りです。全然ダメですね。」
中野雄二監督の表情は硬かった。

宮崎で合宿を兼ね行われた大学チームと対戦するフェスティバルでも、1勝しかできなかったと、中野監督。

インカレ優勝後、主力選手たちが選抜やJクラブへの練習参加、負傷による離脱などもあり
全員が揃って練習を行うことが難しい状況が続いてきているが、それは流通経済大学に限ったことではなく、毎年のこと。

学年が入れ替わり主力とされるメンバーが大幅に変わっても、
昨季のインカレ優勝校という大きな看板を背負って戦うこととなる今季。

0-5というFC東京に突き付けられた完敗から得たものは
今後、どんな材料となるか―。

●プロの舞台で輝きを放つ大学サッカーを経て戦う選手たちから見た 流通経済大学とは。

厳しい試合内容ではあったものの、試合序盤は手ごたえを感じる場面もあった。
FC東京の多彩に繰り出される攻撃を前に、先手を取って対応するシーンも多く、中盤で関大和(2年・U19代表)が相手の攻撃を遅らせる仕事をこなした。
改めて感じさせた小池裕太(4年)の存在感は大きく、サイドバッグの選手ながらもチームの中心であることを示し、プロ相手でも果敢に自分の持ち味を出した。

「プロで活躍することを目標にするからには、プロと(対等に)やれないと意味がない。
大学生とやるのとは明らかに違うし、こういった機会だからこそ個人として吸収できないと、と思う部分はある」と、小池。

「FC東京の右は室屋さんなので、マッチアップが楽しみだった。絶対にやられたくないと思って意識した」

明治大学時代から世代別代表で活躍し、五輪代表やJリーグの舞台でも存在感を発し続けてきているFC東京・室屋成の存在は、
大学でプレーするサイドバックの選手たちにとって最大の目標となっているだけに、実際にマッチアップできることは貴重な機会だった。

流通経済大学と明治大学の対戦は、お互いが強く意識するライバル関係にある。
試合後、室屋に大学時代 対戦時に特別な意識があったかと聞くと、

「かなり意識していました。リーグも強いけれど、特にトーナメントでの戦いでは本当に流大の強さというのを感じていたし、
それまで以上の力を持って突き付けてくる。気迫というか、強い気持ちでくるので、こちらもそういった部分に負けない気合いが必要でした。」

法政大学を卒業後、FC東京で現在プレーしている山田将之も、この日久しぶりに対戦した流通経済大学の印象を
「今までは流大といえば、『気持ち』という印象が強くて。田上選手 (田上大地/2016年卒 現 V・ファーレン長崎)等、気持ちが強くて気迫のあるプレーをする選手がいて。
でも今日対戦したチームからは、テクニックのチームなのかなという印象を持った」
と、話した。

大学サッカーで戦った現在プロサッカー選手という立場に在る2選手から、共通して出た流通経済大学の印象は「気持ち」「気迫」。
公式戦と練習試合では、気持ちや気迫の部分に差が出るが、
実際に対戦してきた選手が持つ流通経済大学の印象は、気持ちや気迫によって引っ張る選手がいて、引き出されるチーム力、というもの。
流通経済大学サッカー部にある、「伝統」のひとつだが、それを感じさせることは、この日の試合ではこの日のチームでは、できなかったということが厳しい事実だ。

敬意を持ってひとつひとつ丁寧な言葉で印象を話してくれた プロの舞台で戦う大学サッカーの先輩選手たち。
大学でプレーしていた選手たちが、プロのピッチで輝きを放ちながら先を走っていてくれることは、大学で『今』を過ごす選手たちにとって目指すことのできる、希望となっている。


●15分間の出場。戻ってきた小野原和哉が入れたスイッチ

デンソーチャレンジカップにて、関東B・北信越選抜が初優勝の快挙を達成したが、
その立役者となりMVPを獲得したのが、小野原和哉(4年)。
同大会では、流通経済大学から2年連続のMVP選手の輩出となった。

大会後、膝に痛みを感じたままチームの和歌山合宿にて三部練習に参加していたが、痛みが強くなり負傷していることが発覚。
その後、リーグ開幕に照準を合わせ治療とリハビリという時間を過ごしてきたが、この日残り15分でピッチに投入され復帰となった。

小野原がピッチに入ると、それまで失点を多く重ねたこともあり、体力の消耗とともに精神の消耗も激しく、後手に回り続け攻撃に出ることも難しく防戦一方となっていたチームに
水を与えるかのように、小野原が周囲に声をかけ、気迫を持って引っ張り押し上げていった。

終盤、攻撃に転じFC東京ゴールに迫るシーンがみられたことも、投入された小野原の刺激の影響が大きく
スイッチが入ったことによるものだった。

「今日15分でもやっと出られたことが嬉しかった」と、小野原。
2年時の夏に、JFLで戦う流経大ドラゴンズからトップチームへと昇格し、さまざまなポジションで起用されてきた小野原。
特に3年生だった昨季は、チームに欠かせない存在へと成長し、大事な試合とされる試合で重要な役を任されてきた。

「監督はどんな時も自分を使ってくれた。ダメな時でも我慢して使ってくれたと感じたこともあったし、
いろんな場所で自分を使ってくれて、信じてくれた。」
「監督にはすごく感謝しているし、計り知れない恩がある。
それを必ず形にして返したいと思っているし、それを意識したシーズンになる」と、小野原。

中野監督も昨季、小野原についての話を多く口にしていたことが印象的だ。
「小野原は本来、攻撃の選手。その小野原が監督、俺ボランチがやりたいです!ボランチで使ってみませんか!?と直談判してきた。
そういう思い切りの良い選手は最近時代もあってか、なかなかいない中で小野原は伝えてきた。
ピッチの中ではすぐカッカしてしまう場面もあるけど、それでも落ち着いてきたし、元々攻撃の選手だから攻撃に出たいとうずうずしてるところも見てわかる。
それでもよく我慢してくれているし、攻撃のスイッチが入るとスルスルと上がっていって相手に脅威を与えることもできる。
精神面も含めて本当に成長した選手」と、語っていた。
この日も「小野原を残り15分で入れることができたのが大きい。このチームはまだまだ、でも小野原が戻ってきたというのは良い材料になる」と中野監督は話した。

プロへの挑戦へと旅立った先輩たちが、すぐにプロのピッチで戦っている姿を見て、自分の進んできている道は間違っていないと確信となる勇気を日々もらっている。
デンソーチャレンジカップでMVPを獲得し、大学サッカー界を代表する顔となり今、プロの世界で戦っている守田英正(川崎フロンターレ)の背中を常に見て感じて勉強して追ってきた小野原。
自身も同じ大会で、MVPを獲った。

守田という大黒柱が卒業したが、守田の「物凄さ」は小野原が一番近くで感じてきた。
だからこそ、受け継がなくてはならないものを受け止め、自分がやらなくてはならないことも、見えた。

「今年は、自分がやらなきゃいけないという意識を強く持っている。これまで好き勝手やらせてもらってきた。
先輩が自由にやらせてくれていたから。でも(最終学年の)今年は、自分がしっかりやる」。


過去に対戦してきた、現在プロの舞台で戦う選手たちが口にした流通経済大学の「気持ち」と「気迫」。
その伝統を今年担い引き継ぐのは、小野原和哉を中心にということになるであろう。

伝統にはまだ足りない、今季チームの気持ちと気迫。
おとなしく感じたこの日のチームは、5失点を喫し爪痕を残すことなく、完敗した。

2018シーズンを間もなく迎える 流通経済大学サッカー部。
順調とはいえない状況だが、苦しい時期や状態との向き合い方を知ることも、強くなるには必要なこと。

関東大学リーグ初戦は、4月7日。土曜日。
味の素フィールド西が丘にて、専修大学との戦いに、挑む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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