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【RKU】 「サッカーができない時期もあった」オーバートレーニング症候群を乗り越え戻ったピッチ 優勝という最高の瞬間 【流通経済大学】

2017/12/25 11:09配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


全日本大学サッカー選手権大会。
1年を締め、チームを締め括る全国大学の頂点を決めるこの大会で 優勝を飾ったのは、流通経済大学。

今大会は、ディフェンスラインに毎試合変更を重ねながら勝ち上がってきた。

初戦となった2回戦 IPU環太平洋大戦では4年生の田中龍志郎、今津佑太が守備の真ん中に位置した。
1-0という流通経済大学がチームの基盤としてこだわりを持つスコアで勝ち上がったが、
「内容としてはうちが握ってシュートがポストに嫌われたりという場面も何度もあったが、結果的に1点。
しかし、大量得点を得てしまうとその後緩むことも考えられるので、堅い試合となったことは良かったのかもしれない」
と、中野監督は話したが、この日のディフェンスラインに関して問題があったことも口にした。

「この日ピンチを迎えたのが3回。すべて龍志郎のところで起きてしまったピンチだった」
「今日の試合であのミスが起きてしまうのならば、これより上での戦いは難しい」。

そして、準々決勝では田中龍志郎の名前はメンバーの中から消え、スタンドで応援する姿があった。

ピッチからスタンドへの戦いの場を変えたことに、悔しさがないわけがないが、
それでも田中は寒い冬空の下、戦う選手たちに半袖のトレーニングシャツで全力で心からピッチで戦う選手たちに
声援を送った。

試合の時も、大きな声で最終ラインから共に戦う選手たちにポジティブな声をかける。
それはスタンドでも変わらない。
練習中でも同じく、田中龍志郎らしさを持って声を出し、全力でプレーする姿がある。

準決勝では、ベンチに名を連ねた。
そして昇りつめた、決勝の舞台。

初戦と同じく、田中龍志郎・今津佑太の4年生コンビでセンターバックを務めた。
試合途中にミスが出て選手交代を告げられたが、最後のピッチに立てたことへの感謝の言葉を口にする。

「初戦でミスを繰り返してしまって。インカレだけでなく、今年は自分のミスで勝てなかったり迷惑をかける試合も多くて。
それでも試合で使ってくれる監督に本当に感謝していました。自分を信じてこんな大事な試合でも自分を立たせてくれた。
本当に感謝しかありませんね」

キャプテン石田和希、副キャプテンに守田英正。もう一人の副キャプテンが田中龍志郎だった。
3人は共に高校時代にもキャプテンを務め、チームに対する想いを強く持っている選手たち。
新チームとなって、中野監督やスタッフ陣も今年のチームをまとめる選手として早くから3人の名を挙げ、
タイトルを本格的に獲るチームとして、3選手が中心となり走り出した。

責任感の強い3選手それぞれに色があるが、田中は特に大きな重圧を背負い、
トップチームで試合に出場するプレーヤーとしての責任と、個性溢れタレント揃いのこのチームをけん引する責任の重圧を
自分で重く重くし、背負い続けていた。

そして、夏に発症してしまったオーバートレーニング症候群。

自身の足りない部分を追及しただけでなく、重きに置いた責任感によって
精神も限界を迎え、サッカーが続けられない状態となった。

真っ暗闇の中となってしまった、心。
こんなことをしてる場合じゃない、という反動が逆に苦しみを生む。
中野監督は当時、「龍志郎は真面目ですごくチームのことを想うあまり、オーバートレーニングになってしまった。
それに気づいてあげられなかった自分たちにも責任がある。とにかく今はサッカーから少し離れて、龍志郎という人間の部分を取り戻してほしい。
サッカーがあるから龍志郎がいるわけじゃない。田中龍志郎がサッカーをしてるわけで、もしこれからサッカーに向かうことができなくても龍志郎が大事な仲間であることには変わりない」
と、話していた。

監督だけでなく、選手たちからも聞かれた心配の声。
キャプテン石田は「俺たちがどこか頼りすぎたりしていた部分もあったのかもしれない。龍志郎はすごくサッカーが好きなんですよ。
それを知ってるからこそ、サッカーができないつらさは人一倍で苦しいと思う。自分たちができることはサッカーの部分だけではないから、龍志郎を連れて戻りたい」
と、仲間のことを想った。

苦しかった、サッカーに向かうことができなかった夏を経験し、
あらためてサッカーができる日々に当たり前ではないことを痛感し、重ねてきた日々だった。

「自分はサッカーができない時期があった。本当に苦しくてつらかったけど、
最後にこういう最高の結果となったことで、そのこともこうして話せる」
「それでも監督が、自分を使ってくれた。ミスしてもサッカーができなくても、待っていてくれたし、使ってくれた。
本当に感謝しかないです」


「監督としてはダメなんでしょうけど。4年生を立たせてあげたいと思っちゃうんですよ」と中野監督。
調子の良い選手だけを起用して強さと結果だけを求めることはいくらでもできる。
しかし、それだけでなく4年間をサッカーだけでなく、全寮制で選手たちを預かり日々の生活の問題やピッチ以外での取り組み、
日常会話から、一緒に笑った瞬間まで。
そういったところに在る情を中野監督は大切にしてきた。

真面目ながら、大学生らしく弾けて周囲を笑わせるために身体を張ることもある。
大きな声を張り上げて、気合いを伝え、集中する。

チームメイトに愛され、中野監督や多くのコーチに愛され、慕われてきた。
田中龍志郎は、流通経済大学にとって欠かすことのできない「オンリーワン」だった。

初戦で、ミスによるピンチを生んでしまい
このレベルでミスをするならば難しいとした中野監督だったが、最後にピッチに送り出した。

(Writing Tomoko Iimori / Photo Yasuko Tohyama)

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