CHANT(チャント) 流通経済大学サッカー部

【RKU】 悲観的ではないドロー。日々発見を摘み成長しながら抱く共通の想い『1日でも長くこのチームで―。』 【流通経済大学】

2017/10/31 22:39配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


【JR東日本カップ2017 第91回関東大学サッカーリーグ戦 1部後期】

明治大学 1-1 流通経済大学

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雨が続いていた関東に、久々の太陽が地を照らし暖かさを通り越した暑さを感じさせた前日とは打って変わり
再び雨を降らせるであろうと感じさせる厚い雲が空を覆った 10月28日。

埼玉県さいたま市。
大宮アルディージャのホームスタジアムであるNACK5スタジアムにて行われた 関東大学サッカーリーグ後期 第19節 明治大学×流通経済大学。

9月、大阪で行われた総理大臣杯 準決勝で対戦し、明治大学に敗れた流通経済大学にとって 絶対に負けられない相手だった。
昨季リーグ前期で勝利をしてから、明治大学にはリーグでもカップ戦でも敗戦が続いている状況。
ライバルと位置付ける関係ながらも、ここ2年間の対戦でほとんど勝利を挙げることができていない現実を 試合前にホワイトボードに中野雄二監督が書き出し、選手たちに伝え挑んだ一戦となった。

総理大臣杯準決勝での悔しい敗戦を経て、その後すぐに再開され後期を迎えたリーグ戦では6連勝で進み、迎えた大一番。
前節、2位を走る順天堂大学との直接対決で敗戦を喫し、リーグ後期初の黒星という結果となった。
流通経済大学は3位の位置で、この日の明治大学戦を迎えた。
「大事な時期に連敗を絶対にしない」。
そう選手たちはシーズン開幕当初から口にしてきた。
前期に喫した3連敗が今でも勝ち点の部分で響いていることもあり、その痛みの大きさを知っている。

―結果は、1-1のドロー。
「勝てなかったが、悲観的なドローではない」。
中野監督は試合後、先を見据えた手応えと自信を持って、そう言葉にした。


●リーグ戦初ゴールをマークした星野 大学サッカー界屈指の最強ともいえる攻撃陣

立ち上がり前半6分、ゴールネットを先に揺らすことになったのは、流通経済大学だった。
ゴールを決めた星野秀平(4年)は、力強いガッツポーズと共に雄叫びを上げた。
「4年目で初なんですよ、リーグ戦のゴール。うれしかったですね。」
試合後、その瞬間を振り返ると、素直に喜びを口にした。

「でも、意味ないですね。勝ちに繋がるゴールにしないと。」
自らのゴールで先制点を奪いリードしながらも、「試合前に監督から伝えられていたのはセットプレーに気を付けろ、ということだった」と選手たちが試合後話したように、
警戒していたはずのセットプレーで同点とされたことを悔やんだ。

現在、流通経済大学の前線は大学屈指の強力なラインナップが揃っているといって良い。
最前線に位置する星野秀平、ウイングにベガルタ仙台に内定しルヴァンカップ準決勝にてJ公式戦デビューも果たしたジャーメイン良(4年)に立花歩夢(4年)。
この日はトップ下に森永卓(4年)が入り、この4人は高円宮杯プレミアリーグにて高体連のチームとして初の優勝を果たした流通経済大学付属柏高校出身の選手たちだ。

「このメンバーでやれることが楽しいし、何年も一緒にやってきてるだけに、お互いを理解しあってプレーすることが出来ている」。
ジャンボの愛称で呼ばれる大型FWである星野を含め、立花、ジャーメインとプロサッカー選手以上ともいえる強靭な肉体を武器に、練習時であっても力強く当たることを恐れず、
ひとつの武器として突き進む姿が印象的だ。

この日は出場せずだったが、アルビレックス新潟内定の渡邉新太(4年)も流通経済大学の強力な攻撃陣として、存在感を放っている。
後期に入りジャーメイン5得点、渡邊4得点を筆頭に、攻撃陣が得点をしっかりと刻んできたことが流通経済大学の強みだ。

「少しでも長くこのメンバーでサッカーがしたいという気持ちが、強くある」と、星野。
残りのリーグ戦、その後に続くためにインカレ出場を決め、一番長く戦うために一番高いところを目指す覚悟を持って、「少なくなってきていると感じている」という日々を戦っている。


●際立つ絶対的な存在感『流経大に守田、在り』。

この試合でとにかく際立った存在感を放ったのが、流通経済大学 川崎フロンターレに内定している守田英正(4年)だった。
「2.3点守田が防いでくれたかな、という試合だった」と試合後、中野監督が言葉にした通り、
長けている危機察知能力による危機を摘む役割と、試合の流れを把握しながらゲームの主導者となり締める働き、ミスのない判断とプレーによって
明治大学の攻撃の前に立ちはだかったのは常に、守田だったといっても過言ではないのではないかというほどの存在感を魅せた。

危険な場面となりえるボールには先に動き身体を入れ、ボールを奪う。
マイボールにしてボールを切ることができる能力、相手との距離、全体のバランスをみながらゲームを動かす能力、そしてミスをほとんどしない安定感。
『流経大に守田在り』を魅せつけた90分だった。

この日、ボランチに位置していた守田は、後半途中からセンターバックへとポジションを移した。
ペナルティエリア内で迎えたあわや、という場面で守田は、難なく自信を持って、ボールを処理した。
その足はしっかりと、ボールへいっていた。

観客席からは今のはPKだ!という声が多く上がったが、あの場所で守田がPKになるようなプレーを選択するはずがない。
そう自信を持って思えるほど、守田のプレーに絶対的な信頼を持って観ることができる。

「あの場面は、オビ(GK・2年)が弾くだろうと動いていたから、ボールに行ける準備ができていた。審判の見る角度によっては(ボールにいっていても)PKを取られることもあるが、
審判の位置もあらかじめ見てこの角度ならボールにいったことをしっかりと見てくれるだろうと。その上でボールにいけるという確信があったので。」と守田は振り返った。

「後半の感じでうちが追加点を取るには難しいと思ったので、追加点を取られないということ、負けないということに重点を置きました」とセンターバックに入ってからは最低でも勝ち点0よりも勝ち点1と定め、チームの舵取りを行った。

数週間前に軽い肉離れを起こし、チームから離脱。大一番となった2位順天堂大学との一戦を含め、2試合を欠場した守田だが
肉離れの影響も、欠場の影響も感じさせない姿をみせた。

今季は関東選抜でデンソーチャレンジカップを戦い、MVPに選出された。
その後すぐにユニバーシアードを戦う全日本大学選抜の度重なる強化合宿とチームと2つの活動をしながら、川崎フロンターレの合宿に参加したりと
多忙なスケジュールを消化しながらも、各所でさまざまな刺激と結果を得て、内容濃い今季を過ごしてきている。

重ねてきたスケジュールの負担が出る時期を迎えているが、負った肉離れの程度もレベル1と軽く、2週休んで復帰することができた。
大学サッカーの舞台では「自分が思うように試合を運んでプレーできる、と感じる。だからこそ責任も重い」とチームでの自分の在り方を話した守田。

責任感を強く持ち、キャプテン石田とコミュニケーションを密に保ちながら、チームの縁の下で個性溢れる選手たちをまとめようと常に空気感や行動にも気を置いてきた。
守田英正という存在は今、流通経済大学で大学サッカー界で大きな大きなものとなっている。


●己を追求し高める選手たち。満足はしていないと先に向かい、走る。


「総理大臣杯準決勝で負けた相手。あの時の悔しさを忘れてはいないし、あの試合の相手だったということを意識しないわけがない」
と語ったのは、小池裕太(3年)。

正確なキックにより磨きがかかったように感じる、美しい弧を描く配球が目立ったが
「止まっているボールに関しては蹴れているが、最近は動いた中で蹴るボールに自分自身納得がいっていない。もっと追求する必要がある」と自らに厳しく課せていた。
自分の特徴を研き澄ませながら、もっともっとと高め続けていることが伝わる。

キャプテン石田は、アミノバイタルカップで負った怪我を治癒するため、総理大臣杯終了後から治療に時間をかけていた。
後期初出場となったチームの精神的支柱であるキャプテン石田は、ピッチに入りすぐに大きな声でチームに厳しく声をかけた。
しかし、自らのプレーには「全然ダメでしたね。怪我明けで自分の100%を出すのは難しいと思っていたけど、ここまで出来ないとは。(チームに)申し訳ないですね」と話すように、石田らしさからは離れたプレーが多かったのも事実。
それでも石田の復帰は、今後チームに絶対的に必要な材料だ。
「みんなに迷惑はかけられないんで。しっかり戻してプラスになる存在にならないとダメですね」と反省しきりだったが、頼れるキャプテンの復帰は大きい。

「試合前に監督からセットプレーには警戒しろと言われていたのに、セットプレーで失点してしまって結果的にドローにしてしまった」
と話したのは、ゴールマウスに立ったオビ・パウエルオビンナ。
「あの場面で(明治大の得点場面、ヘッドで決められた)本当にあのボールが取れないものだったのか、と考えている」というオビは、とにかく何度も失点場面を繰り返し思い出し、遠藤GKコーチと確認する。

この日も、試合後すぐに遠藤コーチとセットプレー時の守備に関しての確認が行われていた。
前期、明治戦で明治大1年・中村健人に直接FKを決められた。
同じような位置で同じような時間帯、直接狙うであろうFKの場面があり、キッカーは中村健人。
結果、ボールはわずかに枠を外れたが、その際のポジショニングと壁の作り方、ゴールマウスの配分をどう考えていたかということについて、確認のすり合わせをしていたのだ。

今シーズンからGKコーチとして就任した遠藤大志コーチは、FC東京やモンテディオ山形でプロサッカー選手としてプレーした後、ソニー仙台で選手兼コーチとして在籍。
今季から流通経済大学GKコーチとして、トップチームにてGKを中心に指導している。
細かな確認や指導に充分な時間を使い、お互いの意思や意識の確認をしている場面を何度も目にしている。
いつでも近くに寄り添い、気づいたところはすぐに細かく修正や確認を経て、指導をする遠藤コーチとオビの距離感は近く、共に戦っている存在だ。

現在の自身の状況を「自分的には今は全然ダメ。調子でいえば全然良くない。失点も多いしチームに迷惑をかけているので、この先もっと後ろに信頼を置いてもらえるようにならないと」
と話した、オビ。
入学してすぐにゴールマウスに立ち続け、昨季は新人賞を受賞。
今季は自身初となる総理大臣杯も経験したが、「まだなにも成し遂げられていないのは、自分の責任であるところも大きい」と課す。

現状に満足はできない。もっと先へ―。
選手たちは全員で創り築き上げる先に行きつくため、個々を高めることにも余念がないのだ。


首位の筑波大学との勝ち点差は10。2位順天堂大学との勝ち点差は8。
「優勝は現実的ではなくなった」と中野監督。しかし、リーグ優勝を目標としてきたチームだけに、終盤に向けチームは集大成を迎え上向き状態である手応えと確信を持つ。
「ずっと明治さんには勝てない状況が続いていた。今日は勝てなかったが、結果はドロー。力のあるチームを相手に一歩進めたと感じている。これから続く上位との対決を前に、良い戦いができたのでは」。

今季関東大学リーグは、残り3試合となった。
インカレへと続くため、1日でも長くこのチームで戦うため。

全身全霊、全力で駆け抜ける。

CHANT編集部

Writing 飯守 友子 / Photo 遠山ヤスコ

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