CHANT(チャント) ガンバ大阪

【ガンバ大阪】長谷川健太監督が退任、彼の残した功績と罪過

2017/09/13 22:08配信

武蔵

カテゴリ:コラム

今月7日、ガンバ大阪は長谷川健太監督との契約を来季は更新しないことを発表した。

今季はここまで11勝6分け7敗で7位(9月8日現在)。常に勝利が義務付けられる強豪としては、到底満足できない数字だろう。

特に7月5日の鹿島アントラーズ戦以降、リーグ戦2勝1分け5敗とチームは低迷。

ホームの吹田スタジアムにこだまするブーイングの声も日増しに大きくなっていった。

そうしたチーム状況を顧みて、今回長期政権の終幕に踏み切ったようだ。

本指揮官がガンバ大阪の監督に就任したのは2013年。2012年にJ2降格を喫したクラブの立て直しを期待されての抜擢だった。

その期待に応えて見事J2優勝。1年でのJ1復帰を果たす。そして、印象深い2014年シーズン。

エース宇佐美の負傷もあり前半戦こそ低迷したものの、後半戦に突入するやいなや本領を発揮。

大逆転でリーグ優勝を収め、ナビスコカップ、天皇杯と合わせて、国内3冠を達成した。その翌年には天皇杯2連覇を達成。

近年は結果に恵まれなかったものの、長谷川健太監督がガンバ大阪に残したものは大きい。今回は彼の残した功績と罪過について考えていこうと思う。

長谷川健太が植え付けた“守備の意識”

長谷川監督がガンバ大阪にやって来てまず最初に着手したこと、それは“守備面の改革”だった。それまでのガンバ大阪のスタイルは超攻撃型。

遠藤や二川といった独創性溢れるゲームメイカーを中心に西野監督が築き上げたパスサッカーは当時多くのサッカーファンを魅了した。

しかし、ド派手で華麗な攻撃を披露する一方、守備面では粗さが目立つことも多かった。

J2降格を味わった2012年は、総得点がリーグ1位の67だったのに対し、総失点は65。良くも悪くも大味なチームだったのだ。

長谷川監督は、そんなガンバ大阪の守備意識にメスを入れた。

中盤にハードワーカーを配置することで、ガンバの代名詞であったポゼッションを犠牲にする代わりに守備面でのインテンシティーを向上させ、

守備の安定化を図ったのだ。

つまり、ガンバ大阪は、西野政権の下で培われてきたパスサッカーを基礎とする“魅せるチーム”から、より現実的な“勝てるチーム”に変貌していったのである。

その結果、穴だらけだった守備は大幅に改善され、J1復帰1年目での国内3冠という偉業を達成することができたのだ。

個人主義の反動

近年、ガンバ大阪がタイトルから遠ざかっている原因としては、攻撃面における個人主義の反動が挙げられると思う。

先ほど説明したように、長谷川監督はガンバ大阪のスタイルをより現実的な、より効率的なスタイルへ変化させていった。

チームの安定化のために守備に人員を割き、攻撃は宇佐美やパトリックのような“個”で勝負できるタレントに頼る。

そうしたリスクの低いサッカーを選択していくうちに、攻撃面における個人への依存度が高まっていってしまったことが、現在の不調に繋がっているのではないだろうか。

2014年の国内3冠の立役者である宇佐美が去った2016年、パトリックの不調も響き、チームは明確なプレービジョンを確立できないまま無冠でシーズンを終えることになる。

今季も同じだ。阿部浩之や堂安律ら主力流出の影響もあり、いまだに確固とした攻撃の形を見つけ出すことができていない。

つまり、かつて西野監督が築き上げたパスサッカーを犠牲にしたことに起因する、チーム全体に共有される戦術的ビジョンの乏しさこそが長谷川監督が生み出した罪過なのではないかと思うのだ。

ガンバ大阪が現在の位置からさらなるステップアップを目指すのならば、宇佐美と同等あるいはそれ以上のタレントを連れてくるのか、

チームとして新たなプレービジョンを確立していくのか、道は2つに1つだ。

いまガンバ大阪は変革の時を迎えている。国内3冠を達成した監督が去り、遠藤や今野など今までチームを支えてきたベテランたちの高齢化も進みつつある。

次期監督が誰になるのかは明らかになっていないが、ガンバ大阪というチームがこれからどのように変化していくのかに注目していきたい。

そして、もう一度自分たちのスタイルを取り戻したガンバ大阪がJリーグの頂点に返り咲くのを楽しみにしている。

Good!!(0%) Bad!!(100%)

この記事も読んでみる