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【日本代表】 アジアでの『強者』と世界での『挑戦者』という二極性。日本代表『自分たちのサッカー』の確立とは 【W杯】

2017/07/27 17:03配信

飯守 友子 (CHANT編集部)

カテゴリ:コラム


日本代表の決戦が、8月に迫っている。
現在、日本代表はW杯アジア最終予選を戦っており、グループリーグの2位に位置しているが、
次戦であるオーストラリア戦での勝敗によって、その後が天と地という極地を迎えていると表現して良いであろう。

オーストラリア戦で勝利すると予選突破が決まり、6大会連続となるW杯への出場が決まる。
しかし、引き分けまたは負けるような事態となると、最終試合まで行方が分からなくなるが、プレーオフに回る可能性も出てくる。

ホームで戦う、宿敵ともいえるオーストラリア戦は、W杯出場に向けて 限りなく負けられない戦いといって良い。

ブラジルW杯から4年。
「自分たちのサッカー」を掲げ、世界の一番高きところを目指して挑んだ前回W杯は、
世界の高さというよりも分厚さを痛感した結果で、3戦1分2敗という厳しい結果でグループリーグ敗退となった。

「自分たちのサッカー」を掲げた ザッケローニ監督率いた日本代表から3年。
日本代表が世界と戦う上で、必要な武器となる日本の戦い方とは―。

●日本代表における『自分たちのサッカー』と世界

これまでの歴代日本代表の中で、世界に最も近づいたのは、日韓W杯でのベスト16、そして南アフリカW杯でのベスト16だった。

トルシエ監督が率いた2002日本代表は、世界を代表する多くの強豪国との試合も重ね、コンフェデレーションカップではグループリーグ1位で準決勝へと進み勝利、決勝で敗れたものの準優勝という結果を残した。
A代表だけでなく五輪代表監督も務め一貫したトルシエismを浸透させ、『フラット3』を戦術の基盤として徹底させ戦った日韓W杯。

自国開催だったこともあり、シード枠だった日本代表の組み合わせもプラスしたこともあり、2度目のW杯出場でグループリーグを突破。ベスト16という結果となった。

それからドイツ大会での3戦1分2敗という厳しい結果を受けて、迎えた南アフリカ大会。
ドイツ大会を終えて代表監督となったのは、Jリーグでその手腕が注目され評価されたオシム氏。
しかし、オシム氏は急病により急遽退任し、その後監督となったのは2度目のW杯を目指すこととなった岡田武史氏だった。

シード枠も当然ない中、強豪オランダ・カメルーン・デンマークと同組となった日本は初戦を勝利すると、2戦目はオランダに0-1と惜敗するも、3戦目ではデンマークに3-1で勝利し、グループリーグを突破。
決勝トーナメントではパラグアイと対戦し、PK戦まで縺れ込み、敗退。
日本中が涙した戦いとなったことは、記憶にまだ新しい。
この南アフリカ大会が日本代表が挑んだW杯の中で、最も世界と近づいた時だったのではないであろうか。

なにかと日本代表を語る上で出てくる「自分たちのサッカー」というフレーズだが、
自信を持って組織的に戦ったブラジル大会では、世界の壁にぶつかった。
掲げた『自分たちのサッカー』では世界の分厚さに刺し込むことはできなかった結果となったのだ。


では、果たして『自分たちのサッカー』とはどういったものであるべきなのか。

例えば、スペイン代表の組織的で華麗なパスサッカーや、ドイツ代表の高さをいかしつつポゼッションしながら縦に速いサッカー、ブラジル代表の個人技溢れるドリブル・トラップ・シュートの技術高しサッカーや、イタリアの鍵をかけるカテナッチオサッカー…
といった、国として一貫された伝統ともいえるカラーあるサッカーの確立は長い目でみると必要なのかもしれない。
が、日本代表としてはまだ世界を獲るほどの歴史を確立していないだけに、今はまだカラーを作るまでの段階にはない。

ただし、まずは日本がどのように世界と戦えば良いのか、というところを突き詰めていかなければならないであろう。

日本代表だけができるサッカー。
世界の強豪と戦っても負けない武器は、という部分を見出す必要があるであろう。

●挑戦者が強者に挑むサッカーの確立

これまでの歴史の中で、日本代表が『世界と戦うために』戦ったのは、岡田監督率いる南アフリカW杯の日本代表だったのかもしれない。

当時の日本代表は、W杯直前に行われた強化試合で結果を出すことができず、大きく戦い方を変更した。
岡田監督のその機転が、日本代表が『世界と戦える』チームを生み出した。

自分たちでボールを持って戦うのではなく、相手にボールを持たせてカウンターを狙う。
ファールを得て、セットプレーを狙う。守備をしっかりと敷き、攻守をハッキリとした。

世界の選手と戦うために、互角の体格の選手を優先したり、フィジカル的に優れた選手を入れることは間違いではないのかもしれない。
が、世界の選手と対等な体格の選手を揃えても、どうしても同じだけのプレーはできない。
世界のトッププレーヤーたちを前にして個で戦うことは難しい。

弱者が強者に勝つためには、どうしたら良いのか。
と、いうところを追求したサッカーがそこには在った。

決して日本代表は世界では「強者」ではない。
ただし、アジアでは違う。
アジアの戦いでは日本や韓国、オーストラリアなどを目指すチームが「強者」として扱い、倒しに向かってくる。

しかし、世界に出ると日本代表は「強者」ではなく、言葉は悪いかもしれないが、まだ世界トップクラスに肩を並べたことがない「弱者」という位置となる。
アジアで戦う方法と、世界と戦う方法。同じサッカーで戦おうとしても分厚い扉を開くこととなる可能性が高いかというと難しいであろう。

Jリーグでも例えば浦和レッズを相手にする時には、日頃はポゼッションサッカーをするチームであっても、
ブロックをしっかり敷いて戦う策を取るチームがあるように、日本代表も世界で勝つための『策』が必ず必要となる。

トルシエ監督はフラット3という最終ラインを徹底したタイミングで上げ下げするというかなり緻密な条件を揃えた戦術を用いながら、強者たちに立ち向かった。
岡田監督率いる日本代表は、しっかりと守りながらセットプレーやカウンターに徹し、世界の強者たちに切り込んだ。

真っ向からぶつかっても重ねた『歴史』や『経験』にぶつかることになるのなら、日本代表はまだまだ及ばないのは仕方ない。歴史は年数を重ねれば重ねるほどにお互いに重ねていくものであり追いつくことはできない。
しかし、日本代表だけの世界との戦い方が、策が。あるはずなのだ。

アジアの戦いをしっかりと突破した上で、W杯に向けて世界と戦う準備という部分で、ハリルホジッチ監督の手腕が一気に際立つのではないかと期待が募る。
ハリルホジッチ監督はブラジル大会で、アルジェリア代表を指揮し、初となるベスト16まで勝ち上がりアルジェリア旋風を巻き起こした手腕は、確実に『挑戦者が強者に勝つ』ための方法として、最善の策を執ったことにあるであろう。

日本代表はアジアでは強者として君臨しなくてはならず、世界では挑戦者として強者に挑まなければならない。
そこで同じサッカーをしてしまっては、おそらく再び世界とぶつかることになるであろう。

1分1秒刻々とW杯の開催までの時が進んでいるからこそ、早めにW杯出場を決めて、世界と戦うための準備に取り組みたいところだ。


4年前。世界を痛感させられたあの時から、3年が経過した。
再び日本代表が世界で戦うためには、まずアジアを通過しなければならない。

決戦は8月31日。
埼玉スタジアムにて負けられない試合に勝利し、世界への挑戦権を掴むことが重要となる。

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