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【RKU】 壮大に拡がる 成長というステップアップの先にある 全員で描く未来予想図 小池裕太 【流通経済大学】

2017/06/08 21:16配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


「アシスト王を狙いたい」―。
昨年の同じ時期にそう言った時は、今振り返ってみると、自信という過信に満ち、必ず達成できるという不確かな確信を持って、堂々と笑みを含みながら言い切っていた。
その時の姿が遠い日のように感じるほど、成長した『今』が在る。

「完全に調子に乗ってましたね(笑)」と、当時を振り返る。

1年という振り返ればあっという間の期間ながら、おそらく彼の今後を語る上で、外すことのできない大きなターニングポイントとなった2016シーズン。
流通経済大学サッカー部を率いる中野監督が、常に念頭に置き欠かすことのない「人間形成」「教育」という部分に自然な形で触れ考え、浸透、理解と歩み進んだ。

現在、JR東日本カップ 関東大学サッカーリーグ戦1部にて上位を走る 流通経済大学に欠かせない存在。
3年 小池裕太。

1年生から主力として出場し続けているが、昨季の転機を経験し、考え方も取り組み方も表情も立ち振る舞いも、変化した。

リーグ7節まで、フル出場。8節は負傷によりメンバーから外れたが、チームの大きな存在。
小池裕太の 大学サッカー3年目の挑戦がスタートしている。

迎えた新シーズン、ユニバーシアード大会を目指す全日本大学選抜に選出され、デンソーチャレンジカップへと出場していた、小池。
しかし、準決勝でアクシデントがあり、肋骨にヒビが入った。
痛みを圧して決勝に出場したものの、プレーを続ける時間が経過するほど痛みが激しくなり、その後のドイツ遠征は不参加を決めた。

全日本大学選抜で共に戦う選手たちが、ドイツで大きな刺激を受け充実した日々を送っている頃、小池は肋骨の治癒のため龍ヶ崎に残り、安静に過ごしていた。
ドイツ遠征で全日本大学選抜は、ドイツ・ブンデスリーガにて戦う日本を代表する選手たちからの激励があり、ドイツのプロチームとの練習試合やクラブ施設を周るなど、日本では経験できない刺激を受けていた。
小池は、日本でその報告の数々を受け止め、自分でも驚くほど冷静に受け止めていた。

肋骨部はギプスができない箇所のため、ただただ安静にすることしかできない。
その歯がゆい期間を 昨季序盤の小池ならば、焦りや苛立ちを抱いていたかもしれない。

「特に焦りもなく、冷静に過ごすことができました。全日本はチームで結果を出さなくては選ばれない場所だからこそ、まずはチームのために自分は治すこと、そしてチームのシーズン前の練習に1日でも早く戻ることが大切だと思っていた」
と、振り返る。
この期間を今後のチームのための安静と位置付け、全日本大学選抜が経験する日々、自分が参加できなかった事実と自分の怪我ともしっかりと向き合い、治癒に専念した。
昨季序盤には持ち合わせていなかった 冷静になって自分を見つめることができる、という、成長の部分だ。


その後、3月下旬に行われたチームの宮崎合宿では、戦線に復帰。
関西や関東、東海で戦う強豪大学と連日試合をこなし、試合を重ねていく時間と共に、チームに土台が生まれ固まっていく感覚に、改めて今季のチームに自信を持った。

「1年はもちろんですけど、2年で迎えたシーズン前よりもずっと重みがあった。自分がチームを引っ張っていく存在の一人にならなければ、という自覚と責任が自然と生まれていた」と、話す。

リーグ前に行われた、天皇杯茨城県予選決勝では、ライバルである筑波大学と対戦。
0-3という敗戦ではあったが、下を向くことはなく、むしろ敗戦でも今季のチームで公式戦スタートを切ったことに、充実しているような表情を見せた。

「0-3での敗戦となってしまったのは、決して良いことではないが、やってきていることは間違いじゃないと自信を持っている。」
「このチームで、このメンバーで、やれることはまだまだこんなものではないという確信があるし、みんなで今日の課題をひとつひとつ共有して、リーグ優勝を目指したい。」と、チームへの確信を持ち、今季の目標を力強く語った。

「ここで負けてよかった。自分たちの自信が過信にならないように、という負けだったのかもしれない。練習でやれていることができなかったし、負けてもっともっと高めなくてはいけないと気づいた部分も多かった」

「負けから始まるこれから、ですね」

昨季、自身の『変革』を迎え、自然と周囲を見れるようになった。
それまでは、無意識に自分のことだけを考え、自分の結果にこだわって進んでいたが、それでは選手としてもチームとしてもプラスにはならないという答えに辿りついた。
立ち止まって周囲を改めて見渡してみると、たくさんのことがわかった。

自分がやりやすいように差し伸べられている、たくさんの手。
不安定だったメンタルに、寄り添おうとしてくれる、声。
生意気な自分から出る甘えの愚痴を 同調するフリをしながら落ち着かせてくれた、先輩の存在。
自分の力を最大限チームに生かしてくれようとする、周囲のプレーの数々。

うまくいかない、と感じていた時。
ふと立ち止まり改めて、自分は一人で歩んでいるのではない、と気づき迎えた『転機』。


新チームになり、キャプテンを務める石田和希(4年)の背中を見る日々に、純粋に影響を受け、
「石田さんの姿にただただ、すごいな、と。憧れるというか。まずは石田さんのやっていることを取り入れようと意識した」と、話す。
私生活や、練習の準備の部分、取り組み方にも意識を持った。

「みんなが面倒と思うことを率先してやるように、意識するようになりましたね。」
「みんなからみると、まだまだ全然やっていないと感じるかもしれませんけど…それでも自分ではこれまで調子に乗っていたこともあって、全然やらなかったんです」

「例えば準備。ゴールを運んだりとかそういった当たり前のことが、恥ずかしながら今まではできなかった。試合に出てる選手はやらなくていいでしょと思ってしまっていた部分もあった。でもそうじゃない。
サッカーをやれることが当たり前じゃない。ひとつひとつの用具や行動に愛情を持って取り組める石田さんの姿を見て、やろう、と思った。」
「食べる物のことも考えるようになったり、マイナスになる言葉は発しないようにしたり。」

「石田さんはいつもモチベーションが高くて、プラスの言葉をかけてくれる。
今日も(足を痛めていたが)、『次の試合は大切な試合になる。絶対に連敗はできない。お前のポジションで俺がやるよりも、ずっとお前の力の方がチームのためになる。痛みがあるのはキツイけど、チームにお前が必要だから、出てほしい』
と、言ってくれた」。

キャプテン石田にそう声をかけてもらえたことで、「負傷した箇所は痛いけれど、ココは大一番だから出なくては、チームのために力にならなきゃ、と思う。」と、決意を話した。
石田の言葉によって、次の試合は無理かもしれないと思っていたマイナスから、出れるためにどう動くか、というプラスになった。

強いキャプテンシーを持つ石田が引っ張ってくれるからこそ、自分の力を最大限にチームで発揮したいと、より強く感じ取り組めているという。

痛みを圧して、出場した桐蔭横浜大学戦。
前試合では、0-3で東洋大学に敗戦し、「その前の試合で日体大に5得点を獲って勝利したこともあって、どこかで自分たちの緩みが出てしまった。試合前に監督にも言われていたのに…。情けなかった」
「絶対に連敗はしてはいけない。リーグ優勝を目標にしているからこそ、絶対に連敗はできない重要な試合」
と意気込み、出場した試合は 4-2で流通経済大学が勝利。

迎えた8節 慶応大学戦。
小池の名前はメンバーの中にはなかったが、中野監督はその理由について、
「8節の試合は小池にとって地元・栃木で行われる試合だったから、その試合にはかなり出たいという気持ちがあったはず。」
「でも、紅白戦をした時点で痛みが強いから外してくれと言ってきた。これまでの小池だったら地元開催だから無理してでも出るという選択をしたと思う。でも今回は自分の状態を考えてチームに迷惑がかかるとか、ベストじゃない自分が出るのは、と考えたんだと伝わってきた」
「もっと言えば、もしかしたらその次に控えている上位対決が天王山になると考えて、状態を少しでも良く迎えるために、と考えたのかもしれない。本当に大人になりましたよ」
欠場は、小池が自ら選択した決断だったことを語った。

この決断だけではなく、昨季から少しずつ変化してきた過程をしっかりと中野監督、スタッフ陣は見つめ、受け止めてきた。

「プロになりたいから活躍したい選手、ではなく、そこからもう一段階ステップアップした形。今後のために自分がどう在るべきか、どうすべきか、を冷静に第三者のような視点から見つめられるようになった」と、中野監督。
これまで多くの選手を育て・関わり・送り出してきた中野監督だからこそ、見える小池裕太の『今』がある。

今年の目標をあえて問うと、
「アシスト王を狙う」と、力強く言葉にした。

昨季、生意気盛りで放った同じ言葉とは、全然違った意味が伝わってくる確信を込める一言。
その背景には、1年で知り気づき得たもの全てが詰まっている。

去年、描いていた未来予想図は壮大であったが、簡単にはいかず浅はかだった部分も多くあった。
そういったことに気づき、改めて自分の周囲を見つめ直したからこそ、再び描いた未来予想図が在る。
未来に登場するのは、もう自分一人ではない。

数字ではなく、結果ではなく、確かに刻んだ大きな成長が在った昨季は、今後の最大の武器となる。


今季『チーム』のために走る小池裕太は、天下無双となる―。

Writing Tomoko Iimori / Photo Yasuko Tohyama

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