CHANT(チャント) 柏レイソル

【柏レイソル】 橋口拓哉Jデビュー ピッチに立ち溢れた想いと決意 忘れることのない1日。 【ルヴァンカップ】

2017/06/02 21:24配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


柏から世界へ―。
クラブのスローガンを チーム1の長身が高々と掲げた今季の新体制発表会。
新加入選手としてユニフォームを初めて身に纏い、サポーターの前に立った、あの日。

常に掲げられるそのスローガンを合言葉として常に念頭に置き、実現・達成のために力を尽くすことを誓い、目指す日々を過ごしてきた。

若手、と表現されるが大卒選手であるが故に若手だとは思っていない。
年齢的に即戦力でなくてはならないと常に危機感を持ち続けてきた。その一方で、すぐにピッチに立つことは難しいとも感じていた。
プロサッカー選手になると決まってから、これまで以上に険しく難しい道が待っていると覚悟を決めていた。

Jリーグが開幕し、リーグとルヴァンカップ合わせて18試合を消化した。
チームはリーグにて、暫定ながら首位に立った。
しかし、ここまで出場機会はなく、はじめてのメンバー入りはルヴァンカップ第5節 ベガルタ仙台戦でのことだった。

「リーグの首位に立つチームの一員であること、トレーニングを重ねていることは、自信に繋がる」。
ルヴァンカップ第7節 アウェイで戦う北海道コンサドーレ札幌との一戦。
ついに与えられた、チャンス。

柏レイソル 橋口拓哉が、ピッチに立った。

----------------------------------------------------

「予選リーグ敗退が決まり消化試合だという認識かもしれないけれど、自分にとっては人生をかけるくらいの気持ちで挑む試合。次に繋がるチャンスを掴みにいこうと思った。」
試合後、橋口はそう言葉にした。

ルヴァンカップ第5節、初めてのベンチ入りを果たしたものの 出番が訪れることはなかった。

ここまで、試合になかなか絡むことができず、メンバー入りさえも難しい状況が続いてきた。
「それは想定内。甘くないと思っていたし、レベルの高い中で競争があり、自分がもっと成長しなければならないと感じながらやってきた」。
「試合に出れなくても在籍できる場所ではない、と思っているから、少しのきっかけでもアピールができるよう日々良い準備をと心がけてトレーニングに向かっていた」と、いう橋口。

「できるだけ良い準備を常にしておくこと、と考えるようになった。少しのきっかけで運命が変わることを 自分が良くわかっていると思っている」

実際、橋口のサッカー人生は「きっかけ」で大きく変わり、今がある。
大学時代、大学のトップチームでプレーすることも少なく過ごしてきたが、
柏レイソルと行われた練習試合の前日に、トップチームの主力選手たちはリーグ戦を戦っていたことから、前日のリーグ戦のベンチメンバーを含む、控え選手たちとのその日限りの編成で、練習試合へと臨んだ。
そこで、長身の大型左利きセンターバック 橋口拓哉の存在が、柏レイソルの目に留まることとなった。

「自分は試合出場経験という経歴でみると、ほぼ『無』のようなものだったけど、(大学の)トップの試合に出場できない中でも、ずっとプロになりたいというモチベーションを維持して、努力を継続してきたという経験はある」
「だから、これまでなかなかメンバー入りもできていない状況を…決して良いとはもちろん思っていないけれど、苦しい時間ではなかった。努力をすることも我慢の時間も苦しくない。必要なこと」と言い切る。
「自分を高めながら、良い準備をして、チームの力になるために、と思ってやってきた」。

そして迎えた、ルヴァンカップ第7戦。
北海道・札幌の地で、戦うためのユニフォームを身に纏った。
「仙台の時にユニフォームは着たけど、試合にも出ることはなかったから。新体制発表会の時や、撮影の時等で着た時とはやはり違う。ピッチで戦うために着る特別なユニフォーム」
「チームのためにサポーターのために戦う、ピッチに立つ、という実感と重みを感じた」と、いう。

試合の約10日前に膝を負傷したが、「試合中は痛みとか怪我なんてまったく忘れていた」というほど、集中し、ピッチに立った。

試合前のアップ時、選手たちが登場するとゴール裏にいるサポーターたちから橋口へ向けて、名前が何度もコールされた。
橋口拓哉デビューを期待を込めて待っていてくれた 声だった。

この日、厚別競技場に集まった観客は3604人。
北海道コンサドーレ札幌のホームゲームとしては平日の夜開催ということもあり、平均よりもかなり少ないといえる観客数であったが、
それでも観客の声が、響いた。

「ピッチに立つとすごくサポーターの声が聞こえた。どちらのサポーターの声も聞こえて、経験したことのない感覚に身震いした」と、いう橋口。
これまでメンバーに入れない時は、日立台のスタンドから試合を見つめていたが、スタンドから見て感じるスタジアムの歓声や一体感と、中央に位置するピッチでひとつひとつのプレーに反応するサポーターの声は全然違ったものだった。
はじめて感じ、知る感覚。その場に立つということが、特別であることを改めて実感した。

「序盤は少し戸惑いもあり、冷静さを欠いている部分もあって、ボールを積極的に取りに行くことができなかった」
と、プロデビューの緊張もあり、自分のミスでやられたくないという気持ちが先行し、前には行けなかったと話す。
しかし前半、ボールが止まった際に、ボランチ細貝が橋口に駆け寄り、声をかけた。
「ロストしても俺たちがいくから、もっと思い切ってやっていいと言われた」
試合経験豊富であるチームメイトからそう声をかけてもらったことで、少しずつ緊張が解けていったという。

「冷静になってくると、日々のトレーニングと比べることができた」
「日々の練習の中では、うちの選手たちが、かなり前から圧をかけてボールを奪いに来る。練習だから10分や15分の中でやるからこそ、90分の配分を考えずにものすごく前から(プレスに)来る。」


「それに比べると、前からの圧はそこまで強くないと思うことができて、日々の練習が自信になり、大丈夫と感じるようになった」
「そうすると、徐々に自分より前の状況が見えるようになってきた。ボランチが見え、その前が見え…という感じで、前線を狙うボールを供給することもできた」と振り返った。


「リーグで主力で出場し、得点も多く決めチームのエースである都倉さんを自分のところで潰さなければいけないと思っていたけれど、フィジカルの違いやちょっとした細かい部分での勝負の在り方など違いを感じさせられた」
と、はじめての公式戦で対面した大型FWの実力を実感する形となったことを話した。
「2失点目の場面も、小野伸二さんの身体の方向もその前の目線も別の方向だった。だからそっちを切りにいったのだが、ノールックで身体の方向も違う方を向いていたのに、脚を巧みに操り全く見当違いの脚の動きで別の方向にボールを出されてしまった。
そんなことがあるのか、この状況でそっちに出すのか、と…勉強になった」と、いう『衝撃』も経験した。

試合は、1-2で敗戦。
柏レイソルは予選リーグ敗退となり、今季のルヴァンカップを1勝2分3敗で終えた。


対戦相手であった北海道コンサドーレ札幌を指揮する四方田監督とは、S級ライセンス取得講習会にて出会い、指導されたことがあった。
S級ライセンス取得の講習の中には、監督としてチームに戦術を説きチームを動かす講習があるが、その講習に流通経済大学から選手が派遣されている。
四方田監督がS級ライセンスを取得する際の実技講習で、自らのチームの選手として橋口拓哉を起用していたという。

「試合後に四方田さんから声をかけてもらった。S級の講習時に四方田さんに指導してもらって、すごく勉強になった」
「その時はまだ全然自分は大学で出られない状況だったけど、その時から気にかけてくれて評価してくれていた」と、いう。

そういった縁があったこともまた、札幌の地でデビューというのを引き繋げたのかもしれない。

Jデビューは、どんな試合でもどんな出来でも、人生に一度きりの特別な試合となる。
この日の試合のことは、時間が経てば経つほどに、もっとこうやるべきだった、あの場面はこうできた…と何度も何度も振り返り、思い返すことになるであろう。
二度とない瞬間であり、忘れられない試合だ。

試合後、デビュー戦を戦い切った興奮と、試合終了の瞬間から溢れる反省の数々、
そして敗戦したこともあり、言葉を選びひとつひとつなるべく冷静に言葉にしていた印象だが、

会場を後にする際、
「…楽しかった!」と、少しホッとした表情を見せた。

試合に負けた状況で、誰にもそう口にすることが難しく、
自身のミスも反省もあり、楽しかったという表現が適すかと考え、口に出来ず、言うか迷った一言だった。
ずっと目指してきた プロのピッチで戦うこと。
サポーターが応援してくれる中、力の限りを尽くして戦った90分―。
橋口拓哉は、楽しかったと、素直に言葉にしたことで、やっと緊張の糸が切れた、そんな表情を見せた。


J公式戦デビュー。
次の目標は、見えている。

「ホームに比べると平日の遠い北海道ということもあり、サポーターはホームよりも少ないというが、それでもすごくハッキリと声も気持ちも届いた」
「黄色に染まるホーム日立台で、再びユニフォームを着て、ピッチに立ちたい。その気持ちがより強くなった」。

1月の新体制発表会でユニフォームをはじめて着た橋口は、その想いを
「すごく重く受け止めている。柏レイソルの一員として誰でも着れるわけではないこのユニフォームを着て戦うということをしっかりと胸に、柏レイソルのために戦っていきたい」
と誓いの言葉として語った、橋口。

ルヴァンカップにて、ついにピッチに立った。
デビューだけでは、もちろん満足はしていない。
ピッチに立ったことでより貪欲に、またピッチに立ちたいという強い気持ちを持った。

チームのために、走り、守り、戦い抜く。
橋口拓哉の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

(Writing Tomoko Iimori / Photo Yasuko Tohyama Photo by 2017.5.25)

Good!!(100%) Bad!!(0%)

天皇杯でも良いから一度日立台デビューさせてあけだい!

名無しさん  Good!!1 イエローカード0 2017/06/03|20:47 返信

橋口も記者もいいね。熱意が伝わってくる

名無しさん  Good!!4 イエローカード0 2017/06/03|16:49 返信

この記事も読んでみる