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札幌vsG大阪 「選手層って大事」

2017/05/15 19:10配信

武蔵

カテゴリ:コラム

昇格組が健闘しています。

C大阪は徐々に上向き、戦力どおり上位進出を狙える位置に

清水と札幌も、大きく出遅れた既存のJ1クラブである広島、新潟、大宮を上回り

それぞれ目標である残留圏内に位置することに成功しています。


今年の昇格組のうち、1年でのリターンが一番危惧されているのが札幌でしょう。

予算のこともありますが、前回J1残留に成功したのは2001年のことであり

その間、3度の降格、うち2度は1年でのリターンとなっている実績があるからです。


「死んでも残留しろ」と野々村芳和社長が厳命するのは

続けてJ1に在籍できさえすれば、札幌の規模を拡大する自信があるからでしょう。

今年は特に、札幌というクラブにとって非常に重要なシーズンです。

とはいえ相手のクラブにとって、そんな事情など関係ありません。

G大阪はACLでの敗退が決まり、アウェイの札幌戦がリスタートの一戦となります。

リーグ戦までも、つまずくわけにはいきません。


ただ、G大阪にとって、過密日程に加えて鑑みなければならない事情があります。

それがU-20W杯による選手の離脱です。

堂安律、初瀬亮、市丸瑞希、高木彰人の大量4人が不在となり

特に堂安はレギュラーを確保しつつあった中での離脱で、やり繰りが必要となります。


この日、18歳・堂安のポジションに入ったのは実績十分、33歳・藤本淳吾でした。

そんな彼が結果を残すのだから面白いものです。

G大阪が「ダイヤ型」と言われたカラクリ

離脱といえば、代表活動で重傷を負った今野泰幸も不在のG大阪です。

これもあり、序盤の不調を脱した532を捨て、442へと再移行しつつあります。

そして、この日の中継においては

442は442でも、中盤がダイヤモンド型(4312)であるという表記を受けていました。

ただ、G大阪のこの日の中盤の形はあくまで相手に合わせた形をとった

ということが重要であり、数字は重要ではなかったと言えるでしょう。



札幌のポゼッション時は3142の形となります。

従って、G大阪が442で守る際には札幌の最終ラインが1人余るだけでなく

アンカーの宮澤裕樹も浮いてしまいます。


ここにマークに来たのが遠藤保仁です。

遠藤の第一の役割は宮澤番でした。


札幌は左にも順足の、つまり左利きのCBを置くことができており

この日のG大阪の運動量の多い2トップに詰められても

都倉賢を目掛けて蹴るようになっており、またその勝率もそれなりに高いため

宮澤が消されていても、ボールを運べないということはありませんでした。


その場合、遠藤は急いで戻って自分の空けたスペースを埋めるのかというと

そんなことはなく、そのまま残り、カウンターのリンクマンとしての役割を担いました。

これが遠藤の第二の役割でした。

これが、あまり守備での負担を掛けたくない遠藤をどう使うか

という問いに対する、答えの一端と言えます。


遠藤の空けたスペースには、CBが出て対応する場面が多く見られました。

これがダイヤ型の中盤であれば、インサイドハーフが絞って対応するのが一般的です。

しかし、この日のG大阪は532の時のようにCBが出て対応し

それに応じてSBが絞ってカバー、という場面が多くありました。


札幌はこれに対して、都倉をサイドに流すことで対抗します。

中央から1人割き、絞ったSBの外のスペースを使おうとします。

ただ、これは、金園が1トップとしての適性に欠けることと

右WBの早坂良太がWBに不慣れであることから、効果的ではありませんでした。


この日の中継でG大阪が「ダイヤ型の中盤」と言われたのは

遠藤が宮澤を意識した位置取りをしていたことの結果と思われます。

それでも遠藤がトップ下ではなくボランチであったと言えるのは

自陣からのビルドアップの際には

頻繁に相手2トップ脇に下りてきて、位置的優位を作ったからです。

また、藤本と倉田の両サイドハーフは、インサイドハーフと言える働きというよりは

やはりサイドハーフと言える動きをしていたように思えます。


先制点は、遠藤が動く分、アンカーの位置で舵取りを担った井手口を起点に赤崎、藤本

次いで3バックのCB間でお手本どおりの起点となった長沢駿を経由して

最後も長駆した藤本がトッティのようなゴールを決めました。


この場面、藤本も倉田もハーフスペースに位置取ってはいますが

横幅をSBが出しているためであり

また、フィニッシャーとして相手ゴール前まで積極的に出て行けるのも

やはりサイドハーフとしての意識があったからではなかったでしょうか。

札幌に足りないジョーカー

手堅い采配に定評のある長谷川健太監督率いるG大阪相手に

札幌は少なくとも1点を取らなければならない事態となりました。

G大阪は、それこそ442で守る時間帯が多くなり

札幌はボールを持つ時間が多くなります。


WBとしてはイマイチな早坂を下げてマセードを入れたのは

ボールが持てて、2トップを中で構えさせた上でクロスの質を求めたのでしょう。

しかし、この時間帯からマセードにまともなボールが入らず

どちらかというと左WBの菅大輝が目立つようになっていました。

マセードからのクロス自体が、それほど上がらなくなったのです。


札幌は次に、金園を下げてジュリーニョを入れます。

左足のテクニシャンであり、都倉を中央の仕事に専念させる役割を負いつつ

身長が低くなく、クロスに合わせることもでき、非常にバランスの取れた選手です。

ただ、この日はコンディションが整っていないのか

あまり後方からのボールを引き出せませんでした。

また、ジュリーニョのペースが上がらず、都倉の1トップ仕事の支援も不足でした。

この時間帯になるとチーム全体のペースも落ち

2トップと後ろの距離が離れてしまう結果となりました。


ここまで、チームを加速させるような選手交代が出来ていません。

ただ、能力がある選手を続けて入れることはできました。

従って、3枚目はそれらを生かすカードの投入といきたいところです。

それにより、オセロのように引っくり返ることもあるでしょう。


ここで必要なのは、離れてしまった前線とのリンクマンであり

かといって守備もおろそかにしない、ボックスtoボックスで走れる選手です。

クロッサーを入れているワケですから、クロスに強い選手が望まれます。


そしてコトは、札幌にそのような交代カードが無いという話です。

3枚目の小野伸二に、中央から動かないようにしている都倉と

技術は見せるものの、ペースの上がらないジュリーニョの2トップと後方とを

繋げる役割を期待するのは酷というものでしょう。


大げさな表現ではありますが、小野投入によって

ドイツW杯のオーストラリア戦のような状況となってしまいました。



反対に、G大阪はアデミウソンや泉澤仁などをベンチに控えさせており

彼らは少ない時間で1つずつ決定機を手にし、そのうち泉澤の方は決め切りました。


この日に限って、G大阪と札幌との差は選手層としか言いようがないでしょう。

札幌も万全ではなかったかもしれませんが

それでも代表とケガで大量離脱しているG大阪よりは損耗率が少なかったでしょう。


しかし、結局はカードの質量で劣る結果となりました。

G大阪は、ここまで出番の少なかった藤本と泉澤が結果を出し

しぶとく勝ち点3を積み上げたのです。


札幌が自力で残留するためには、選手層の充実が最重要課題でしょう。

それは夏補強で補うこともできますし、もちろんしてくるでしょうが

自慢のユース出身の若手にも期待したいところです。

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