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FC東京vs浦和 「FC東京の稚拙な守備」

2017/04/19 19:39配信

武蔵

カテゴリ:コラム

7位のFC東京は、前節・昇格組の札幌に敗れ

何かと話題を振りまく大久保嘉人の影響もあり、内紛の匂いも漂ってきています。


ただ、浦和をホームに迎える今節は、その大久保が欠場。

他にも高萩洋次郎やウタカが欠場し、太田宏介もベンチスタートということで

良くも悪くも、大型補強と言われた今オフの上積みを生かせない今節となりそうです。

2位の浦和の懸念は、戦術面には無く、コンディションにあります。

浦和はリーグ戦に加え、ACLでも好調です。

火曜日にはアウェイで敗れた上海上港に、ホームでリベンジを果たし

グループFの首位に立ちました。


ただ「ダブル」を取りにいくとなると、やはり状態面での不安はかさんでいきます。

週中のルヴァンカップも無かったことで、中7日で臨んでくるFC東京に対して

金満で成る中国勢との激闘から中4日ということで

やはり日程面での不利は無視できないものがあります。

最高気温27度を記録する中での試合で

FC東京はコンディションの良さを生かした守備を見せました。

ただ、そのやり方は、収支が見合ったものとは言えないものでした。

FC東京のやりたいことは2つ

立ち上がり1分も経たずに、FC東京は決定機を得ます。

それは、FC東京のチームコンセプトとも言えるゲーゲンプレスによるものです。


阿部拓馬が、自身の縦パスが潰されたところにプレスを仕掛け

たまらず阿部勇樹が下げたところに永井謙祐が詰め、再び阿部拓馬に渡り決定機。

これはシュートが西川周作の真正面、リフレクトも空振りに終わりました。


篠田善之監督が福岡時代から志向するハイプレス、ゲーゲンプレスは

昨季の好調時にもよく見受けられたものです。

今年はメンバーが入れ替わったこともあってか、おとなしめではありましたが

ここで目に見えて復活したのは、メンバーチェンジのおかげでしょうか。

浦和は良くも悪くも、やることは変わりません。

415を形成し、西川を含めたビルドアップで数的有利を作り、相手をいなします。

FC東京はそれに対して、人数を合わせに行く場面もあり

時には西川まで詰めていくことさえありましたが

この暑さの中では、次第に落ち着きを取り戻していかざるを得ませんでした。


浦和の得意技といえば、横幅を使った攻撃が1つ挙げられます。

まして、この暑さの中では相手を動かすことが重要さを増します。


FC東京はそれに対して、両SHが相手のWBを見ることで解決を図ります。

この形はJリーグでもありふれた形と言えます。

11分に森脇良太から宇賀神友弥へのサイドチェンジを

永井が長い距離を走ってカバーしたシーンが象徴的です。


とはいえ、両SHは攻撃のキーマンでもありますので、下がってばかりもいられません。

また、両SHが下がるのであれば、前線の人数が足りないため

ボールの出どころにプレッシャーが掛からず、高いラインを敷くことができず

結果として、全体が押し下げられてしまいます。

この日は前田遼一がアバウトなボールに競り勝つことが出来ていたので

低い位置からも攻撃に繋げることはできていましたが

必然的に、両SHの走る距離は長くなってしまいました。

そこでFC東京は、永井をよりWBに付ける形とし、相手の5トップに合わせました。

東もWBにパスが出た際には、SBに任せずに自分がマークを主張してはいましたが

永井ほどには献身的に下がらず、その分、前線で2トップを助けました。

前半12分のチャンス未遂は、2トップを追い越した東が落として

阿部拓馬のリターンを受ける形でした。


永井は最高速度が速いため、守→攻移転時に

例え低い位置からでも攻撃参加が可能であるという利点が生かされました。

ただ、その分、負担も大きく、最初の交代カードで下がることになりました。



浦和は動き出しがあまり多くなく、能動的な攻撃が繰り出せずにいました。

序盤はFC東京が、2つのやりたいことをハッキリと示すことができており

それは、やはりコンディション面を含めた

この試合への準備の度合いが強く影響したと思われます。

FC東京に欠ける、重要な守備の概念

しかし、その直後に浦和が先制に成功します。

きっかけはFC東京のゲーゲンプレスでした。


ゲーゲンプレスとは

「ボールを失った直後に、すぐさま奪い返すべくプレスを掛けること」

という解釈で使われています。


大事なのは、そのプレスを掛けた際のリスクを最小限にすることです。

つまり、ボールを奪われた地点に人数を掛けるワケですから

その選手が空けたスペースを、誰が、どう埋めるのか

コースを消し、どうボールを前進させられないようにするか

プレスを突破された際の相手の攻撃を、どう遅らせるのか、というのが重要です。

つまり、ボールマーキングの概念です。

そうでなければ、リスクばかり大きくなり、多くの場合で収支が合いません。

FC東京の失点のシーン、2ボランチを含む6枚が相手陣内にいます。

取り切れればビッグチャンスなのでしょうが、リスク回避は難しい状況です。


FC東京の姿勢として注目すべきは橋本拳人の位置取りです。

橋本は柏木陽介へのマンマークのような位置取りをしていますが

密集を突破されてしまったのち、柏木からボールを取れずに失点シーンを迎えます。


リスク回避の優先順位を上げるなら、柏木への対応は

ボールを取ることよりも前を向かせないこと、もしくはそこでプレーを切ることです。

そうではなく取りにいったということは

チーム戦術として、そこでボールを取るという合意が存在するということです。

もう1つ挙げたいのは、この日のボランチの役割分担です。

前半から梶山陽平が積極的に前へ行き、橋本が残る場面が多くありました。

両者共にフル出場している以上、ペース配分の関係とは言えず

もしかすると、密集を突破されたところで相手のパサーを潰す

というのが、この日の奪いどころの本命であったのかもしれません。

で、あるならば、より広範囲に動けて瞬発力の高い橋本を

ボールサイドではなく後ろに残した狙いというのも見えてくるというものです。

ただ、それは結果として裏目に出てしまいました。

ことサッカーにおいて、正誤はおいておくとして

たとえ間違った方向であっても、全員で同じ方向を向く必要性は高いものがあります。

リスクを負うのはリターンを追うが故のものであり

そのリスクの高さだけを見て、一概に否定できるものではありません。



FC東京の失点の原因は、増大したリスクだけの問題ではありません。

ボールマーキングの概念が足りないことが

ゲーゲンプレス以外の部分でも弊害をもたらしていました。


密集を抜けられたものの、一度ショートカウンターを食らっている浦和は

自身のポゼッションに、良くも悪くもリスクを負っていませんでした。

ここも、後ろ体重な陣形からカウンターが始まっています。

浦和は枚数を掛けることができず、FC東京は4対3を作ることができています。

足りないのは人数ではなく、守備の質でした。


守備時には、ボールホルダーにプレッシャーを掛け、プレーを制限する必要があります。

それがファーストディフェンスとなり

それを基準に、他の選手は位置取りを決めることが推奨されます。

この場面で、一番ボールに近いのは森重真人です。

相手のドリブルスピード、体の向き、目線を考えながら距離を詰め

相手にしたいプレーをさせないことが求められます。


ただ、この場面での森重は、自身が最終ラインの選手であるからか、腰が重く

後ろの枚数は足りているのに、ボールホルダーになかなか近づこうとしません。

コースを切っているにしては、首振りの回数が少なく

興梠慎三の動き直しを確認できているとは思えません。

実際に、足下のパスコースを消せておらず、そこを使われ

丸山祐市が興梠に守備のデュエルで敗れ、失点してしまいました。



問題は、同様のケースが後半29分にも起きているということです。

つまり、再現性がある問題であるという点です。

またもラファエル・シルバと興梠に最終ラインが晒された場面ですが

4対2でも、フリーのラファエル・シルバに必要なプレスが掛かっていません。

結果としてラストパスに繋がる決定機を作られてしまっているということを

どう受け止め、次はどう防ぐかというのを選手は考えねばなりませんし

監督はグル-プ戦術の指導をせねばなりません。



この日の浦和は、やはりコンディション面の不安からか

前半からペースが上がらず、具体的には動き出しが少なく

チャレンジのパスも実を結ばないことが多くありました。

つまり、FC東京が1失点に抑えたというよりは、浦和に問題がありました。

ただ、浦和の問題点はハッキリとしているのが救いです。

ACLで勝ち進んでしまうと、なかなか解決を見ないというのは問題ですが。



FC東京はゲーゲンプレスを以て、勝利や得点という目に見えた結果は出ずとも

決定機をいくつか作り、リスクを負った割には、試合が壊れることはありませんでした。

ただ、それは浦和に助けられた面があると言わざるを得ず

最後は攻撃の方も、現実的な浦和の守備に沈黙しました。


FC東京には、この試合で起きた守備の問題をどう解決するのか。

ケガ人が帰ってきて、その基準をどれだけ適用することができるのか。

そもそも、この問題がちゃんと問題視されているのか、という

根本的な悩みが尽きません。

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