CHANT(チャント) 日本代表

タイ戦後の本田のコメントに見る、日本の守備の問題点

2017/04/13 16:41配信

武蔵

カテゴリ:コラム

サッカーにとって内容とは、長期的な結果を得るために必要なものです。

これがサッカーにおける内容と結果の関係である、と言えます。


ただ、特にプロフェッショナルのサッカーには

どんな内容であっても結果がほしい、という時があります。

日本代表にとってのロシアW杯最終予選は、まさにそれでしょう。


日本代表は「ノルマ」と言われるW杯出場へ向けて最終予選を戦っています。

ピッチ内外で代えの効かない長谷部誠を欠きながらも

3月シリーズで連勝し、グループの首位に躍り出ました。

3月シリーズの2戦は得点が6、失点はゼロです。

この立派な数字が、いわゆる「結果」というものです。

では内容はどうだったでしょうか?


確かに、UAEやタイに再三の決定機を与えるなど

不安定な試合運びであったことが、印象として深く残っています。

本田の「造反有理」

タイ戦後、大手サッカーメディアから

「本田圭佑がハリルに造反!」という見出しの記事が出ました。

お察しのとおり、これは本田がハリルに反旗を翻したという程のものではありません。

プロとして当然の主張というものでしょう。

そして、この本田の意見には、耳を傾けるだけの価値がありました。


本田の意見は以下のとおりです。

「(日本の)守備の時に両サイドアタッカーが引きすぎる」

「だから、こちらがボールを持った時に居るべき場所にいない」

「ボールを失うのは、攻撃や繋ぎよりも守備のやり方に問題があったのではないか」


タイ戦の日本はボールが落ち着かず、意図しない場所でのロストが多く

そこからタイに少なくない決定機を作られてしまったことは否定できません。

その「内容」に対して、本田はチームの守備戦術に問題があると提起したのです。

この問題提起が肯定されるべき一面を持つというのは

原口元気の出場時間とパフォーマンスが証明することでしょう。

今や左SHとしての地位を確固たるものとし、主力となっている原口ですが

タイ戦での出場時間は最終予選中で最も短いものでした。

また、守備時には相手SBに付き、左サイドの外のレーンを担当した献身性は

原口だからこそ安定して求めることができるものです。

ただ、それだけ負担は大きく、活動限界も早かったということでしょう。


この守り方は、日本代表のチーム戦術として継続的に行われていると言えます。

UAE戦では、オマル・アブドゥルラフマンを長友佑都(と今野泰幸)が見る形となり

大外のレーンは原口が埋めていました。

また、右サイドも久保裕也が埋めることとなっており

後半立ち上がりには、久保が間に合わないことで決定機が発生しました。


守備時にサイドハーフが労力を割いて戻り、大外を埋めることで

相手が攻撃に掛ける人数に合わせる、あるいはそれを上回る人数を費やすというのは

日本代表にとってのチーム戦術であると言えます。

それにより、日本代表のサイドハーフには

他の能力より、運動量と単純な足の速さが優先されている節があります。


これに対して、本田が不満を持つことは当然と言えます。

現在の本田の能力からすれば、全くの適性外と言えるからです。

問題が全てハリルホジッチ監督にあるワケではない

では、ハリルホジッチ監督はそれしかできないのでしょうか?

ハリルホジッチ監督に引き出しには、ラインを低くしてのマンツーマン

あるいは数的有利を作る守り方しか入っていないのでしょうか?


それは断じてNOであると言えるでしょう。

ハリルホジッチ監督のベストパフォーマンスと言える

ブラジルW杯でのアルジェリア代表を見ればよく分かることです。

ベスト16でのドイツ戦では、GKのノイアーまで詰めるプレッシングを見せ

ドイツの攻撃に時間を与えないことに成功し、あと一歩まで追い詰めました。

どうやら、ハリルホジッチ監督の引き出しには

低い位置で数的有利を作るだけの守備しか入っていないワケではなさそうです。

UAE戦やタイ戦で、この守備のやり方が90分の大半を占めたのは

1つ、理由として挙げられるのは、早い時間に点を獲ったからです。

タイ戦に至っては追加点まで早い時間に獲れたのですから

いたずらに前から追ってスペースを相手に与える必要はありません。


タイ戦でボールが落ち着かなかった要因としては、大迫勇也の不在が挙がります。

タイの守備陣に対して、最前線で質に勝る大迫がピッチに存在することを前提とした

低いラインでの守備、と言うこともできました。


そしてもう1つの理由としては

やはり、日本代表が欧州式のゾーンディフェンスを満足に行えないことがあります。

日本は、この効率が良く、欧州ではベースとなっている

つまり、これを根底として今日の応用へと繋がっている、そんな守り方を行えず

相手の攻勢に対して、数的有利に重きを置いた守り方をしているという部分があります。


ハリルホジッチ、アギーレ、そしてザッケローニまでが採りいれた

欧州式ゾーンに必要なチャレンジ&カバーを学ぶためのロープによるトレーニングは

海外では育成年代の初歩として採りいれるものです。

どの監督も、その初歩のトレーニングを採りいれるというのが

日本代表の戦術における現状です。

そして、歴代の監督たちは、時間が限られていることから、いずれも放棄し

現在の守り方に落ち着いている、ということは無視できません。

ハリルホジッチ監督は、例え相手がアジアでも格下の相手だとしても

研究し、弱点をあぶり出し、そこを衝く試合運びを見せる作戦家です。

そんな彼の現実的な選択が、UAE戦やタイ戦の日本の守り方だと言えます。

そして、彼はこの現実的な選択を以て「結果」を出しているということです。



まとめると、本田の提言はある意味で「ごもっとも」であることは確かです。

ただ、現実的ではない、という言葉が最も当てはまるのです。


今回の「造反」は、現実と理想がぶつかったものであると言えます。

そして、現在の日本代表が直面している現実は、その理想が

ブラジルW杯で砕け散ったことから発生したものだということは忘れてはなりません。

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