CHANT(チャント)

大宮に何が起こっているのか

2017/04/11 19:09配信

武蔵

カテゴリ:コラム

大宮アルディージャに、いったい何が起こっているのでしょうか?

開幕6連敗を喫し、現在J1で最下位となっています。

現在のチーム状況は、鹿島戦後にベンチで頭を抱える渋谷洋樹監督の姿に象徴されます。

大宮はどうしてこうなってしまったというのでしょうか?

選手の責任、監督の責任、フロントの責任

大宮は、昨季のJ1で5位、天皇杯ではベスト4と躍進し

クラブ史上最高のシーズンを過ごしたと言って良いでしょう。

J1再昇格1年目、再スタートのシーズンとしては、まさに上々の結果を収めました。


その上々だったシーズンから

今季、何が変わったのかといえば、主力選手が入れ替わりました。

今オフ、家長昭博を川崎、泉澤仁をG大阪に放出し

その代わりに、清水から大前元紀、群馬から瀬川祐輔

あるいは湘南から長谷川アーリアジャスールを獲得しました。

そして、かねてより補強ポイントであったボランチには、茨田陽生を獲得しました。

補強に関して重要なのは、戦術の柱となる主力が入れ替わった場合

その選手間に互換性があるかどうか、ということです。

それが無ければ無いほど、それまでと同じ戦術が採れません。

つまり、それまでの積み上げが無効となってしまう可能性が高くなってしまいます。

土台を取り崩さなくてはいけなくなるかもしれません。


結論を言うと、今オフの大宮の補強は

出て行った選手たちの穴を感じさせてしまうものであったということです。

昨季の大宮の攻撃のカギは、サイドにありました。

1つは2トップに位置した家長が、主に右サイドに流れて起点となること。

もう1つはサイドに張った泉澤の足下に入れ、そこからのドリブル突破。

これらが大宮の主な攻撃手段でした。


昨季の大宮が優れていたのは、彼らの個の力と、そこにボールを届ける

あるいは、彼らに仕事をしてもらうために、相手を動かしたりスペースを空ける。

そういったところのシステムにありました。

そして今季の大宮は、彼らの個の力が失われた状態でスタートしたのです。



サッカーの指導者に求められる資質は、しばしば調理師に例えられることがあります。

「有り合わせの材料でそれなりの料理を作る」というのは

確かに指導者にとって重要な資質であると言えるかもしれません。

ただ、物事には限度というものがあります。

例え、J1再昇格初年度に5位躍進に導いた指揮官とはいえ、です。


大前は、家長と同じくサイドに流れて能力を発揮する選手ではありますが

チャンスメーカーというよりはフィニッシャーであり

チームのエースであるムルジャとの関係、バランスは取れていません。

また、瀬川には泉澤ほど強力なドリブル突破は無く

ではマテウスはというと、先発起用に応えられるほどの守備は出来ません。



大宮の不調は、昨季とのメンバーギャップにあるのではないでしょうか?

昨季とは、主力の持つ能力があまりにも違いすぎます。


これを、監督の引き出しが少ないことのせいにすることは簡単でしょう。

ただ、選手の使用者責任が監督にあるように

その監督を起用するフロントにも責任があるということを忘れてはなりません。

そして、選手が能力を発揮できるシステムを作るのが監督の仕事であれば

監督が能力を発揮できるような選手を揃えるのがフロントの仕事であります。

「内容は良い」からの変化と危険な兆候

主力の顔触れが変わったことにより、前線の火力不足が明らかになった大宮ですが

何も現場は、手をこまねいていたわけではありません。


例えば、昨季も泉澤へ良い供給が出来ていたビルドアップにおいては

茨田と大山啓輔の2ボランチがそれをブラッシュアップすることに成功していました。

開幕戦の川崎戦や、2節のFC東京戦では、相手のプレスを空転させ

ボールを再現的に前線まで届けることが出来ていました。


この2試合に共通していたのは

内容は良いのに、なかなかシュートに持ち込めない、決定機も決められないでいると

勝利のため、得点のためにバランスを崩し、ピンチを招く、というものです。

特に開幕2戦目までは「あとは決めるだけ」と言われました。

現在の大宮の最大火力はムルジャと大前の2トップでしょう。

しかし、4戦目に大前とムルジャが全快し、揃って先発した試合でも同じでした。


こうなると、いろいろとイジりたくなってくるのは仕方の無いことです。

ただ、絶対に避けなくてはならないのが、いわゆるイジりすぎというものです。

つまり、チームをイジった挙句、良い部分を捨て去ってしまうことです。


現在の大宮に残された良い部分とは、ビルドアップの部分ではなかったでしょうか。

5節の鹿島戦において、茨田と大山が揃ってスタメンから外れたことは象徴的です。

結果はご存知のとおりですが、内容の良さまで失われることとなりました。


鹿島戦はそれまでとは違い

ラインが低めに設定され、カウンターを狙う局面が多く見受けられました。

これは危険な兆候です。

良い部分を捨て去ってしまっては、浮上のきっかけをどこに見出すというのでしょうか。



6節の神戸戦にも敗れ、開幕6連敗となってしまった大宮ですが

解決策としては、もう1度、強みを思い出し、徹底することを挙げたいところです。

確かに、昨季のような個の力は期待出来ないかもしれません。

ただ、昨季の土台は未だに残されているはずです。


渋谷監督に求められているのは、昨季に囚われないことではありません。

昨季から続く、良い部分を思い出し、それを徹底することです。

Good!!(0%) Bad!!(0%)

この記事も読んでみる