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【RKU】 流通経済大学2017 迎える『流経魂』漲るプラチナと呼ばれる世代 【大学サッカー】

2017/03/27 21:31配信

CHANT編集部

カテゴリ:コラム


今季は例年から少し変化がある、「新しい」シーズンが始まろうとしている。

流通経済大学サッカー部の今季最初の公式戦は、今季から開催が早まった 天皇杯予選となる。
例年では関東大学リーグがシーズンの初戦となるが、今季は天皇杯予選を戦い、その後関東大学リーグが開幕し、天皇杯予選を勝ち進んだ場合には天皇杯本戦もすぐに開幕する日程となっている。
公式戦スタート直前となった今、チームは最終調整を迎えている。


●振り返る 全国行きをすべて逃した昨季 しかし確実に存在した「力」

昨季は総理大臣杯、天皇杯、インカレ。
すべての大会で、全国行きを逃す結果となった流通経済大学。

春に開幕した関東大学リーグ前期では、開幕から思うように結果を積み重ねることができず、リーグ全体が混戦する中、明治大学に勝利するなど存在感を示したものの勝ち点を順調に積み重ねるには至らず、選手たち自身も手ごたえを掴むことができない日々を過ごした。
JFLでは流経大ドラゴンズが快進撃を続け、JFL前期で優勝という歴史的な結果を挙げ、ドラゴンズで戦っていた選手たちの一部がトップチームへと合流。
総理大臣杯予選を兼ねるアミノバイタルカップを迎えたが、1回戦にて東京都リーグ所属の立正大(昇格し今季から関東大学リーグ2部)と戦い、敗戦を喫した。
「運ではなく、普通に負けた」と選手たちが話したほど 力が足りない、うまくいかないと実感しての敗退だった。

その後、総理大臣杯に出場できなかった夏には、過酷なキャンプを決行。とにかく試合を多く重ねた。
「試合のことは試合じゃないと起こらない。試合のことは試合じゃないと、学べない」
を理由に、体力の極限と闘いながら、全員で何度も何度も課題と向き合った。

体力と精神の極みを尽くした夏を乗り越たからこそ結果として掴みたかった天皇杯・茨城予選決勝では、ライバル筑波大と対戦。
0-0のまま迎えたPK戦にて、惜敗。
とにかく一つの勝利がほしいと、全員で手を伸ばし続けたが、結果として欲しかった勝利を掴むことはできなかった。

関東大学リーグ後期に突入しても、勝利はとにかく遠かった。
勝つためにはどうしたら良いのか。どうやって勝っていたのか。
そんな迷いが頭に浮かんでしまうほど、勝利に飢え苦しんだ。
やっとのことで掴むことができた勝利は、10月7日のこと。6月の勝利から約4か月ぶりのことだった。

関東大学リーグでは、リーグ終盤まで残留争いをしたものの2位以下混戦となった昨季、最終節までインカレ出場の可能性を残していたが結果的にインカレ出場には届かず
流通経済大学の2016シーズンは、11月12日で終わりを迎えた。


苦しんだシーズンだった―。
「苦しんだからこそ、その先を戦わせたかった。非常に残念。」とスタッフ陣が話し、周囲からもそういった声が多く聞こえた。

もがき苦しんだシーズンだったからこそ、さまざまなことを乗り越えながら時間をかけて「チーム」になった。
形となるには遅かったのかもしれないが、上位を苦しめるなど存在感と爪痕はしっかりと残していた。
うまくいかないからこそ改めて見つめ直した チームとは。選手とは。勝利とは―。

全国に進めなかった、昨季を経て。
今季の流通経済大学の歩みが、始まる。


●迎えるプラチナ世代。大学で戦う4年目に魅せるもの。

今季の流通経済大学は
いよいよ迎える、プラチナ世代との前評判が高い。
と、いうのも、流通経済大学付属柏高校が高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグにて、初めて高校チームとして優勝を果たした時の選手たちが、今季4年生を迎えることが大きな理由の一つでもある。

2013年。
高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグが3年目を迎えた年。
プレミアイーストで戦っていた流経大柏高は、プレミアイーストにて優勝。
高円宮杯全国の頂点を決めるチャンピオンシップでは、プレミアウエストを制したヴィッセル神戸U-18にPK戦の末勝利し、高校チームとして初めてとなる頂点に立った。
その年にはインターハイでも準優勝と、全国的に流経大柏高の存在感を大きく示した年代となった。

そのときのチームから、多くの選手が流通経済大学へと進んだ。
毎年、多くの「付属生」たちが流経大へと進む。
サッカー部の中でも特段に際立つ「付属生」の存在だが、流経大柏高だからといって有望選手の全員が流経大へと進むわけではないという。

プロサッカー選手となりJリーグへと進む選手はもちろん、付属という繋がりが在っても、関東の有名大学へとサッカー以外の将来を考え進学を選択する選手も存在するが、
毎年多くの選手たちが高校から積み重ねた「流経魂」を持って、流経大へと進学する。

全国優勝を経験した彼らだが、大学に入ってからの日々は決して順風満帆だったわけではない。
もちろん全国優勝をしたからといって特別待遇も存在しない。
むしろ全国を獲った選手は「難しい部分がある。タイトルを獲ったことで満足してしまう選手もいるだけにそこからの4年間は難しくなる」と中野監督はこれまで輩出してきた多くの選手たちを振り返り、何度も口にする。


1年生からトップチームで活躍を続ける FWジャーメン良。
彼も流経大柏高 優勝メンバーの一人であるが、決して常にトップを走ってきたわけではない。
チームの中で存在感を放つが、責任ある年代になるにつれて自分に足りないもの、課題を見つけ重く受け止めている。

昨季は「流大からまだ得点王が出たことがない。歴史を変えたい」と意気込んだシーズンだったが、思うように得点を奪うことはできなかった。
その理由を「今まで自分は周りに点をとらされていたんだ、と気づいた」と話す。

「自分の特徴であるスピードの部分には自信があったが、それもこれまでは周囲にいかされて成り立っていたんだと気づいた。
自分だけでやっているわけではなかった。自分の特徴を自分で出せるようになることはもちろん、自分も周囲を生かせるような存在にならなくては、チームに得点は増えないと感じた」という。

昨季は10を背負い、チームのエースとしての自覚と責任を背負ったシーズンだったが、
得点を重ねられなかったことによってチームの勝利を継続できなかったことに責任を感じ、それによって結果がでなかったシーズンになってしまった、という後悔もある。

今季は全日本大学選抜でもプレーすることが多くなることが予想され、大学サッカー界を代表する選手となるための自覚も強く持っている。

「チームで結果を出すことができなれば、全日本にも呼ばれない。
全日本で得た刺激をチームに反映することも必要だと思っているが、まずはチームで結果を出すこと」という。

「高校の時はなんで自分が出れていたのか、正直今振り返るとわからないというほどに、なにも良いところはなかったと思う」と振り返る。
「慶(現アルビレックス新潟・小泉慶)という存在がいて、いつも比べていた。今も追いつこうとしているけど、プロでやっている慶を見ると負けられないと思うけど、まだまだ自分は足りていない」
「それでも、高校の時は今思えば良さがなかった自分だったが、大学に来てから得たものがあると思っている。大学で周りに刺激されながら自分で気づくよう監督に促されながら、向き合って得てきたものが確実にある」
と、話した。

最終学年を迎える、今季。
エースとしての存在感を示し、大学サッカーといえば、というほどの「顔」となるべく、覚悟を持ってピッチへと立つ。

●今季キャプテンはこの選手しかいない―。「キャプテン」の中の「キャプテン」強い存在感。

今季のキャプテンは、4年生 石田和希に決定した。
石田は流経大柏高時代、高円宮杯頂点を獲ったときのキャプテンでもある。

新チームとなり周囲は自然と、新キャプテンを迎えるにあたり「石田がキャプテンをやる」という空気になっていたという。
キャプテンは、石田しかいない―。
チーム全体ですでに信頼を置き、石田の答えだけを待っていた。

石田は周囲の空気に気づくことなく、一人考えていたという。
自分はキャプテンをやるのか。やれるのか。やっていいのか―。

流経大柏高では、1年生の時から学年のキャプテンを務めてきた。
「かなり個性的な選手が多かった」と振り返る同年代だったが、一人一人と向き合い時間をかけてうまくひとつになることを意識していた。
高円宮杯プレミア優勝という大きな結果を刻むチームとなったことも、同じく戦ってきた選手たちは「石田がキャプテンだったことが大きい」と振り返る。

能力も高く、責任感も強い。
周囲をよく見て、よく気づく。
まなざしも非常に強く、存在感がある。
何事も真面目に取り組み、物事に対し自分の意見をしっかりと持つ。

「キャプテン」という理想像にピタッと合う。それ以上の理想像を超えるようなキャプテンシーを持つ。
そういったものが伝わってくる選手だ。

それでも、石田は悩んでいた。
自分がキャプテンを務めるのか、と。

責任感が強いこともあり、流経大のこれまでの歴史も昨季の結果も非常に重く受け止めている。
昨季、自身は流経大ドラゴンズでプレーした。
続いた怪我もあり、トップでプレーすることはほぼなく、ドラゴンズの一員としてプレーした。
トップが全国に届かなかった厳しい戦いをしていたからこそ、今年はより目指す先を明確にし、復権を目指し求められる。
プラチナ世代を迎えるからこそ、流経大柏高のプライドも持って、結果は必ず出さなくてはと強く覚悟として刻んでいる。
付属生として、4年間の成長をまとめあげなくてはならない。

さまざまなことを考えていた。
これまで見てきた先輩たちのキャプテン像を重ねながら、個性の強いメンバーを想った。
それだけ「キャプテン」というものに、大きな意味を重ねているからこそ、悩んだ結果だった。

キャプテンをやろう、と決めた。
チームメイトに告げにいくと、チームメイトたちは「石田で決まりだったんじゃないの?」と笑った。
そう迎えてくれた仲間たちを前に、石田はホッとしたと話す。

誰よりキャプテンらしい、キャプテン。
仲間の少しの変化を感じると、対話をする。なにかを背負っているならば、自分も共に背負う。
方向性にズレが生じても、仲間の考えていることを聞き、自分の考えをとことん話して、共に求める先を寄せる。
石田は、そういうキャプテンであり、人間性を持っている。

チームを強力に引っ張るキャプテンが在るときにこれまでチームは大きな結果を残してきている、と中野監督は振り返る。
金光大阪高校でキャプテンを務めた経験と、昨季チームの主力として活躍を重ね今季は関東A選抜としてデンソーチャレンジにてMVPにも選出された、守田英正。
そして同じ高校サッカー戦国の地である千葉県・習志野高校にてキャプテンを務めた経験を持ち、昨季は石田と同じくドラゴンズで経験を重ねた田中龍志郎の二人が副キャプテンを務める。

昨季は鹿島アントラーズ初となる特別強化指定選手を経験し、全日本大学選抜としても期待される3年生を迎える小池裕太は、
「ピッチ内外で石田さんが引っ張ってくれていると自然と感じる。石田さんについていこうという気持ちにさせられる」と、話す。

注目の今季は、天皇杯予選がまず最初の公式戦となる。
準決勝を流経大FCと戦い、決勝に明確な目標を定める。予選を勝ち取り、天皇杯本戦へと進むこと。
そこがまず大きな一つ目の目標となる。

デンソーチャレンジで不在だった選手たちや全日本大学選抜の強化合宿で不在だった選手たちがチームに合流し、3月は宮崎県にて全国の強豪大学を集め強化キャンプを行った流通経済大学。
長いシーズンを戦う最終準備段階を迎えている。

まずは天皇杯予選。そして4月15日に開幕する関東大学リーグにて流通経済大学は4月16日 味の素フィールド西が丘にて東京国際大との初戦を戦う。


向かうのは、すべてのタイトル。
流通経済大学の2017シーズンが、始まる―。

Writing Tomoko Iimori / Photo Yasuko Tohyama , Yuka Matsuzaki

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