CHANT(チャント) 日本代表

UAE戦の快勝を手放しでは喜べないワケとは

2017/03/27 20:12配信

武蔵

カテゴリ:コラム

日本が2‐0でUAEを下しました。

W杯最終予選という、ただでさえプレッシャーの掛かる中での

直前になりキャプテン・長谷部誠を失うという未曽有の危機に際して

何よりも大事である結果を出したことは喜ばしいことです。


ただ、この試合の勝敗は、まさに紙一重のものだったと言えるでしょう。

UAEには複数回の決定機を作られました。

特に日本の急造の中盤はとても不安定で

UAEの決定機の全てが、日本の守備が組織的に機能しなかった結果と言えます。

この試合において、勝敗の天秤は大いに揺れました。


では、この急造の中盤は、この日限りで見納めなのでしょうか?

いや、それがどうも、そうはいかないようなのです。


長谷部の手術(無事成功とのこと)と、今シーズンの全休が発表されました。

つまり長谷部は、28日のタイ戦はおろか、6月シリーズも絶望的であり

オーストラリア戦や、アウェイのサウジアラビア戦を含む8‐9月シリーズにおいても

試合勘とゲーム体力に不安を残すことが決定的となっている状況です。


そして、これは代表チームの活動であることから

長谷部抜きの急造グループ戦術のブラッシュアップには、あまり期待ができません。

つまり、UAE戦の内容が今後も大筋で続行される可能性があるのです。

UAE戦の内容を考えると、タイ戦も含め、今後も厳しい戦いが続きそうです。


では、UAE戦のどこがいけなかったのでしょうか?

UAEの決定機を中心に振り返ってみたいと思います。

決まりごとの徹底は最重要課題

横幅と裏抜けを組み合わせた素晴らしい攻撃で先制した日本ですが

この試合では、インサイドハーフ、特に香川真司の動きがカギとなっていました。


ビルドアップを2CBとアンカーで行い、相手が人数を合わせてくるのであれば

そこにインサイドハーフを落として、常に数的有利を作ろうとする狙いがありました。

そして、その狙いどおりにインサイドハーフのところでボールを持てたら

インサイドハーフが落ちてできたスペースにサイドハーフを絞らせ

空いた大外のレーンにSBを進出させるという形でした。

この役目は、同じインサイドハーフといっても

また、同じくクラブでインサイドハーフをやっている2人といえども

今野泰幸よりは香川の方が得手と言えましたし

これを狙った、香川の起用と433の導入だったことでしょう。


14分の先制点はその形です。

久保裕也は、この試合であまり大外に張るということはありませんでしたが

442に対して横幅を使うことで空くCBSB間を上手く使えていました。

これは、本田圭佑との差が垣間見えるものでした。

日本の問題点は、そのビルドアップに関することです。

23分のUAEの決定機は、UAEが同点ゴールを狙い、前に出てきた時間帯のものです。

日本のビルドアップ隊に対して、数を合わせたプレスを敢行しており

この場面では4対4となっています。


数的同数の場合は、GKや前線の選手をビルドアップに含めて数的有利を作るか

さもなくばロングボールを蹴るべきです。

まして、リードしている展開であればなおさらであり

大迫勇也へのロングボールは、アジアでは相当な勝率となるはずです。

にもかかわらず、山口蛍→森重真人と繋ぎ、奪われて被決定機となりました。


布陣と役割に不慣れであったことは仕方がありません。

不慣れというのは、チーム、あるいはグループの決まりごとの遂行に支障が出たり

そもそも、決まりごとが無かったり曖昧であったりすることを指します。

そこのところの不徹底が、プレー速度と精度を鈍らせてしまいます。

ここはタイ戦に向けた「修正」で対応してもらいたいところです。

組織的な守備とは

日本は、不慣れな上にもともと危険なスペースが空きやすい3センターを採りましたが

山口蛍の脇のスペースには、最終ラインの選手たちが出てきてケアをしていました。

吉田麻也は前半から何度も見せていましたし、森重も徐々に数を増やしました。


そして、両SBも例外ではありません。

この日の長友佑都は攻撃が自重気味で、今野と連携して

オマル・アブドゥルラフマンを消すことが主な仕事となっていました。

そのため、中に絞ることが多く、大外は原口元気が献身的に埋めていました。


それは右SBの酒井宏樹にも徹底されており、こちらも中に絞ることが多くありました。

ただ、こちらは久保が、原口ほどは献身的ではなく

大外にスペースを与えてしまう場面もチラホラと見受けられました。

48分のUAEの決定機はそこを衝かれた格好です。



ただ、もちろんこの場面における久保の責任は大きいとは言えますが

そもそもで言えば、SBが絞ることがチーム戦術であるならば

そう易々と、相手にサイドチェンジを許してはいけません。

まして、この場面で右で起点となったのは要警戒のオマルであり

要警戒であるからこそ、左利きであることは分かっているはずです。

右サイドにいる左利きの選手の左足は、もっとケアしなければなりません。



組織的な守備とは、ファーストディフェンスでボールホルダーに制限を掛け

プレーを限定し、ボールの動きを誘導することで

チームとして設定された、ボールを取る場所で取りやすくするというものです。


この試合の日本は、質の川島、量の吉田と、彼らの働きでゼロに抑えました。

MOMを決めるとすれば、彼らのどちらかになることでしょう。

ただ、守備時に相手を誘導する、意図的に動かすという組織的な守備で

こちらがボールを奪う、相手のチャンスを潰すというのは、ほぼありませんでした。


この日のUAEは主力を数名欠いており、特にビルドアップで精度を欠き

オマルがイライラし、下がったり左サイドに回ったりしました。

相手の事情を考慮する必要などなく、日本が結果を出したことは喜ぶべきです。

ただ、川島、吉田、今野らの個人的な働きこそあれ

中盤を含めた組織的な守備に関しては「間に合わせ」と言うに相応しいものであり

長期的な結果のために必要な内容は乏しいと言えました。


何よりも大事である結果は出ましたが

この「間に合わせ」の守備陣で危ない場面が作られたということと

長谷部不在により、これが続く可能性があるということは忘れてはなりません。

差し当たって、タイ戦に向けての「修正」が望まれます。

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