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誤審は"敗因のひとつ"でしかない。「レフェリーを裁く」のではなく、ファンに大切な誤審との向き合い方。

2017/03/18 13:29配信

サッカー君

カテゴリ:コラム


今季のJリーグでは、試合後に異議があった場合、審判とクラブが意見交換を行うことになっています。
そして17日、日本サッカー協会の審判委員会でブリーフィングが行われて審判と各クラブの意見交換が行われました。

そこで、G大阪vsF東京戦で、今野のPKはノーファール。
神戸vs清水の決勝点は、オフサイド。
横浜Mvs札幌戦のウーゴ・ヴィエイラのゴールも、本来は反則。
J2名古屋vs岐阜戦で、名古屋の櫛引のプレーは本来はPK。

と、4つのいわゆる「誤審」を審判委員会が公に認めました。

これは、これまで長い間、審判が誤審問題を公に認めることがなかった中で、大きな出来事であったと思います。

いわゆるレフェリングに対しては、クラブ・選手の間には「不公平感」という溝がありました。
その原因は、明らかな誤審でもそれを認めてこなかった審判委員会の姿勢が、大きな一因であったと思います。

そして、海外では、疑惑の判定があると、サッカー番組では何度もリプレーして検証などを行います。
しかし、日本のメディアは、まるで触れてはいけない領域かのように「う~ん、微妙な判定ですね~」で片付ける。

言ってしまえば、審判のジャッジについては、ある意味「聖域」となっていました。

サッカーに限らず、企業などあらゆる組織でも、「聖域」は必ず不公平感を生みます。
その不公平感が積もりに積もって、「日本の審判はレベルが低い」という確立したイメージが選手、ファンにも根付いてしまっていたのだと思います。

そのため、今回の審判委員会の姿勢は、とても前向きで素晴らしいものでした。




ただし、ここで「ふざけるな!勝ち点返せ!」「やっぱり、日本のジャッジは信用できないな!」という反応は、賢い反応ではないと思います。
確かに、誤審を受けた側としては、取り返しのつかないたまらない問題であるとは思います。

しかし、ここでクラブ・選手、ファンが理解をしていなくてはいけないことは、「誤審はあって、当たり前」ということです。
(はじめに断っておくと、誤審を正当化しているわけではありません)
その理由は、簡単です。

そもそもあの広いフォールドで走り回る22人を、たった3人審判が、走りながらすべてを漏れ無く見渡すことは、物理的に考えて不可能です。

そして、さらに言えば、「ミスをしない人間などいない」ということです。

監督や選手だって、試合の中でミスを繰り返します。
その昔、カズこと三浦知良選手が「サッカーは、ミスのスポーツ」と話したように、サッカーの得点の多くは華麗な技術からではなく、相手のミスから生まれるものです。

監督や選手がミスをするのに、審判だけにミスを許さず完璧を求めるのは、不可能な話であり、これもまた「不公平」なことだと思うのです。


もっと言えば、「誤審による1点で負けた」という見方もありますが、それは事実とは違うと思います。
確かに審判のミスで与えられたPKによる失点で負ければ、「ふざけるな!」とイラつき納得できない感情は残ります。

しかし、冷静に考えると、1試合を通して「決定的なシュートを外す」「シュートを撃つべきシーンをパスに逃げてカットされる」というシーンもあったはずです。

特に、決定力が乏しいJリーグにおいて、「明らかな決定機を外す」のはよく見る光景です。
そして、この「決定機を外す」ということも、本質的には「失点」と同じです。
つまり、誤審と同じく、選手たちも「1点を失うミス」を多くしているのです。

仮に誤審による失点で負けたとしても、誤審は「敗因の一つ」であって、「敗因のほとんどはチームにある」ということは、忘れてはいけないことだと思います。


このような意見は、おそらく審判擁護と受け取られ、反対の意見も多いと思います。
重ねてになりますが、審判のミスを肯定して、責められるべきではない、と言っている訳ではありません。

言いたいことを、まとめると、

・大前提としてフェアな試合のため、誤審は徹底的に減らす努力をしなければならない。

・これまでは、審判がミスを認めなかったため、クラブと審判に溝があった。

・今回の誤審の公表は、その溝を埋めるのに大きく前進した。

・ただ、ここでファンが「やっぱ、審判ダメだな」となっては、また溝が広がってしまう。

・人がやる以上、ミスは絶対に起こりうる。

・監督や選手だって1つの試合の中でたくさんミスをしており、それで点を失っている。

・それを理解して、今後も、このような誤審をレビューする機会を設けて、審判の質を一緒に高めていこう。

ということです。


これまで、審判に聖域があって不公平であったことは、紛れもない事実です。
しかし一方で、「日本の審判はレベルが低いな!」と過剰に批判されている、という側面もあったと思います。

不満を審判にぶつけることは簡単ですが、 あまりに審判に対する風が冷たいと、目指す人が減って、結果的にさらに審判の質が下がってしまう恐れもあります。

今回の誤審の公開は、審判の「公開処刑!」のような受取り方ではなく、ぜひ日本のサッカーが前に進むための肯定的な出来事として、クラブ・選手・審判・ファンが同じ方向を向いて受け取れればと思います。


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